Solaris Live Upgrade では、変更されているクリティカルなファイルがチェックされます。クリティカルなファイルの内容が 2 つのブート環境で異なっている場合、そのファイルはアクティブなブート環境から新しいブート環境にコピーされます。ファイルの同期は、新しいブート環境の作成後に /etc/passwd や /etc/group などのクリティカルなファイルが変更された場合のために用意されています。
/etc/lu/synclist ファイルには、同期するディレクトリやファイルのリストが記述されています。アクティブなブート環境から新しいブート環境にほかのファイルをコピーする場合もあるでしょう。必要に応じて、ディレクトリやファイルを /etc/lu/synclist に追加できます。
/etc/lu/synclist のリストにないファイルを追加すると、システムをブートできなくなる場合があります。同期処理では、ファイルのコピーとディレクトリの作成だけが行われます。ファイルやディレクトリの削除は行われません。
次の /etc/lu/synclist ファイルの例は、このシステムで同期される標準のディレクトリとファイルを示しています。
/var/mail OVERWRITE /var/spool/mqueue OVERWRITE /var/spool/cron/crontabs OVERWRITE /var/dhcp OVERWRITE /etc/passwd OVERWRITE /etc/shadow OVERWRITE /etc/opasswd OVERWRITE /etc/oshadow OVERWRITE /etc/group OVERWRITE /etc/pwhist OVERWRITE /etc/default/passwd OVERWRITE /etc/dfs OVERWRITE /var/log/syslog APPEND /var/adm/messages APPEND |
次のディレクトリやファイルなどは、synclist ファイルに追加してもよいでしょう。
/var/yp OVERWRITE /etc/mail OVERWRITE /etc/resolv.conf OVERWRITE /etc/domainname OVERWRITE |
synclist ファイルのエントリは、ファイルまたはディレクトリです。2 番目のフィールドは、ブート環境をアクティブ化するときに行われる更新の方法を示します。ファイルの更新には 3 通りの方法があります。
OVERWRITE – 新しいブート環境のファイルの内容を、アクティブなブート環境のファイルの内容で上書きします。2 番目のフィールドに動作を指定しない場合は、OVERWRITE がデフォルトの動作となります。エントリがディレクトリである場合は、サブディレクトリもすべてコピーされます。すべてのファイルが上書きされます。新しいブート環境では、ファイルの日付、モード、および所有者は前のブート環境のものと同じになります。
APPEND – 新しいブート環境のファイルの末尾に、アクティブなブート環境のファイルの内容を追加します。この追加によってファイル内のエントリが重複することがあります。ディレクトリには APPEND 動作を指定することはできません。新しいブート環境では、ファイルの日付、モード、および所有者は前のブート環境のものと同じになります。
PREPEND – 新しいブート環境のファイルの先頭に、アクティブなブート環境のファイルの内容を追加します。この追加によってファイル内のエントリが重複することがあります。ディレクトリには PREPEND 動作を指定することはできません。新しいブート環境では、ファイルの日付、モード、および所有者は前のブート環境のものと同じになります。