Solaris 10 5/09 インストールガイド (インストールとアップグレードの計画)

第 4 章 システム要件、ガイドライン、およびアップグレード (計画)

この章では、Solaris OS のインストールやアップグレードに伴うシステム要件について説明します。また、ディスク容量の計画に関しての一般的な指針や、スワップ空間のデフォルトの割り当てについても説明します。この章の内容は次のとおりです。

システム要件と推奨事項

表 4–1 メモリー、スワップ、およびプロセッサの推奨事項

要件の種類 

サイズ 

インストールやアップグレードに必要なメモリー

  • UFS ファイルシステム: 推奨サイズは 512M バイトです。最小サイズは 384M バイトです。

  • ZFS ルートプール:

    • 最小メモリーは 786M バイトです。

    • ZFS 全体のパフォーマンスのための推奨メモリーサイズは 1G バイトです。


注 –

オプションのインストール機能の中には、メモリーが十分でないと有効にできないものもあります。たとえば、十分なメモリーが搭載されていないシステムで、DVD からインストールを実行する場合は、GUI ではなく Solaris インストールプログラム のテキストインストーラを使用します。メモリー要件の詳細については、表 4–2 を参照してください。


スワップ領域 


注 –

スワップ領域のカスタマイズが必要になる場合もあります。スワップ領域は、システムのハードディスクのサイズに基づいて決まります。


プロセッサ要件 

  • SPARC: 200 MHz 以上のプロセッサが必要です。

  • x86: 120 MHz 以上のプロセッサが必要です。ハードウェアによる浮動小数点サポートが必要です。

ソフトウェアのインストール時に、GUI の使用の有無とウィンドウ環境の使用の有無を選択できます。十分なメモリーがある場合は、デフォルトで GUI が表示されます。GUI を表示できるだけの十分なメモリーがない場合は、デフォルトでその他の環境が表示されます。ブートオプション nowin または text を使用すると、デフォルト動作を変更できます。ただし、システムのメモリー量や遠隔インストールに関して制限されます。また、ビデオアダプタが検出されない場合、Solaris インストールプログラムは自動的にコンソールベースの環境で表示されます。表 4–2 に、これらの環境と、その表示に必要な最小メモリー要件を示します。

表 4–2 表示オプションとメモリー要件

メモリー 

インストールの種類 

説明 

  • SPARC: 64 - 511M バイト

  • x86: 384 - 511M バイト

テキストベース 

画像は含まれませんが、ウィンドウとほかのウィンドウを開く機能が提供されます。  

text ブートオプションを使用している場合でシステムに十分なメモリーがあるときは、ウィンドウ表示環境でインストールされます。tip ラインを介してリモートでインストールする場合や、nowin ブートオプションを使用してインストールする場合は、コンソールベースのインストールに限定されます。

  • SPARC: 512 M バイト以上

  • x86: 512M バイト

GUI ベース 

ウィンドウ、プルダウンメニュー、ボタン、スクロールバー、およびアイコン画像が提供されます。 

ディスク容量とスワップ空間の割り当て

Solaris ソフトウェアをインストールする前に、ディスク容量の計画をたてて、システムに十分なディスク容量があるかどうかを調べることができます。

ディスク容量に関する一般的な計画と推奨事項

ディスク容量の計画のたて方は、ユーザーによって異なります。必要に応じて、次の条件に基づいて割り当てる容量を考慮に入れてください。


注 –

ZFS ルートプールのインストールに必要なディスク容量については、「ZFS インストールのディスク容量要件」を参照してください。


表 4–3 ディスク容量とスワップ領域に関する一般的な計画

容量割り当ての条件 

説明 

UFS ファイルシステム 

ファイルシステムを割り当てる場合には、将来の Solaris バージョンにアップグレードするときのために、現在必要な容量よりも 30% 多く割り当ててください。  

デフォルトでは、ルート(/) とスワップ領域 (/swap) だけが作成されます。OS サービスのためにディスク容量が割り当てられたときは、/export ディレクトリも作成されます。Solaris のメジャーリリースにアップグレードする場合は、システムのスライスを切り直すか、インストール時に必要な容量の 2 倍を割り当てる必要があります。Solaris Update にアップグレードする場合は、将来のアップグレードに備えて余分のディスク容量を追加しておけば、システムのスライスを切り直す手間を軽減できます。Solaris Update リリースにアップグレードするたびに、直前のリリースに比べておよそ 10% のディスク容量が追加で必要になります。ファイルシステムごとに 30% のディスク容量を追加しておくと、Solaris Update を数回追加できます。

UFS ファイルシステムの /var ファイルシステム

クラッシュダンプ機能 savecore(1M) を使用する場合は、/var ファイルシステムの容量を物理メモリーの倍のサイズに設定します。

スワップ 


注 –

ZFS ルートプールのスワップ割り当てについては、「ZFS インストールのディスク容量要件」を参照してください。


UFS ファイルシステムの場合、次のような条件では、Solaris インストールプログラムはデフォルトのスワップ領域 (512M バイト) を割り当てます。 

  • インストールプログラムによるディスクスライスの自動配置機能を使用する場合

  • スワップスライスのサイズを手作業で変更しない場合

デフォルトでは、Solaris インストールプログラムは、利用可能な最初のディスクシリンダ (SPARC ベースのシステムでは通常シリンダ 0) でスワップが開始されるようにスワップ領域を割り当てます。この配置によって、デフォルトのディスクレイアウト時にはルート (/) ファイルシステムに最大の空間を割り当てることができ、アップグレード時にはルート (/) ファイルシステムを拡張できます。

将来スワップ領域を拡張することを考えている場合、次のいずれかの手順を実行してスワップスライスを配置することにより、別のディスクシリンダでスワップスライスを開始できます。  

  • Solaris インストールプログラムの場合、シリンダモードでディスクレイアウトをカスタマイズして、スワップスライスを目的の位置に手動で割り当てることができます。

  • カスタム JumpStart インストールプログラムの場合、プロファイルファイル内でスワップスライスを割り当てることができます。JumpStart プロファイルファイルの詳細は、『Solaris 10 5/09 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』「プロファイルの作成」を参照してください。

スワップ空間の概要については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 20 章「追加スワップ空間の構成 (手順)」を参照してください。

ホームディレクトリファイルシステムを提供するサーバー 

ホームディレクトリは、通常デフォルトで /export ファイルシステムにあります。

インストールする Solaris ソフトウェアグループ 

ソフトウェアグループはソフトウェアパッケージの集まりです。ディスク容量を計画する際には、選択したソフトウェアグループから個々のソフトウェアパッケージを個別に追加したり削除したりできることを覚えておいてください。ソフトウェアグループの詳細は、「ソフトウェアグループごとの推奨ディスク容量」を参照してください。

アップグレード  

言語サポート 

中国語、日本語、韓国語などです。単一の言語をインストールする場合は、約 0.7G バイトのディスク容量をその言語用に追加して割り当ててください。すべての言語サポートをインストールする場合は、インストールするソフトウェアグループに応じて、最大で約 2.5G バイトのディスク容量を言語サポート用に追加して割り当てる必要があります。 

印刷やメールのサポート 

容量を追加します。 

追加ソフトウェアや Sun 以外のソフトウェア 

容量を追加します。 

ソフトウェアグループごとの推奨ディスク容量

Solaris ソフトウェアグループは Solaris パッケージの集まりです。それぞれのソフトウェアグループには、異なる機能やハードウェアドライバのサポートが含まれています。

Solaris ソフトウェアのインストール時には、選択した Solaris ソフトウェアグループに対してパッケージを追加したり、削除したりすることができます。パッケージの追加や削除を行う場合には、ソフトウェアの依存関係や Solaris ソフトウェアがどのようにパッケージ化されているかを知っている必要があります。

次の図は、ソフトウェアパッケージのグループを示しています。Reduced Networking サポートには、最小限の数のパッケージが含まれています。全体ディストリビューションと OEM サポートには、すべてのパッケージが含まれています。

図 4–1 Solaris ソフトウェアグループ

この図については本文中で説明しています。

表 4–4 に、Solaris ソフトウェアグループ、およびそれぞれのグループのインストールに推奨されるディスク容量の一覧を示します。


注 –

表 4–4 の推奨ディスク容量には、次の項目の容量も含まれています。

各ソフトウェアグループに必要なディスク容量は、この表に一覧表示されている容量より少ない場合があります。


表 4–4 ソフトウェアグループごとの推奨ディスク容量

ソフトウェアグループ 

説明 

推奨ディスク容量 

全体ディストリビューションと OEM サポート 

全体ディストリビューションのパッケージに加え、追加のハードウェアドライバが含まれています。これには、インストール時にシステムに存在していないハードウェアのドライバも含まれます。 

6.8G バイト 

全体ディストリビューション 

開発者システムサポートのパッケージに加え、サーバーに必要な追加のソフトウェアが含まれています。 

6.7G バイト 

開発者システムサポート 

エンドユーザーシステムサポートのパッケージに加え、ソフトウェア開発用の追加のサポートが含まれています。ソフトウェア開発のサポートとして、ライブラリ、インクルードファイル、マニュアルページ、プログラミングツールなどが追加されています。ただし、コンパイラは含まれていません。 

6.6G バイト 

エンドユーザーシステムサポート 

ネットワークに接続された Solaris システムと共通デスクトップ環境 (CDE) の起動と実行に必要な最小限のコードを提供するパッケージが含まれています。 

5.3G バイト 

コアシステムサポート 

ネットワークに接続された Solaris システムの起動と実行に必要な最小限のコードを提供するパッケージが含まれています。 

2.0G バイト 

限定ネットワークシステムサポート 

ネットワークサービスのサポートが限定された Solaris システムを起動および実行するために必要な最小限のコードを提供するパッケージが含まれています。Reduced Networking サポートは、テキストベースのマルチユーザーコンソールと、システム管理ユーティリティーを提供します。このソフトウェアグループを使用すると、システムでネットワークインタフェースを認識できますが、ネットワークサービスがアクティブになることはありません。 

2.0G バイト 

アップグレード計画

表 4–5 Solaris のアップグレード方法

現在の Solaris OS 

Solaris のアップグレード方法 

Solaris 8、Solaris 9、および Solaris 10 

  • Solaris Live Upgrade – 稼働中のシステムのコピーを作成し、それをアップグレードすることでシステムをアップグレードします

  • Solaris インストールプログラム - グラフィカルユーザーインタフェースまたはコマンド行インタフェースを使用して対話形式でアップグレードを行うことができます

  • カスタム JumpStart – 自動アップグレードを行うことができます

アップグレードおよびパッチ適用に関する制限事項

次の表に、特定の条件下でシステムをアップグレードする際の制限事項を示します。

問題 

説明 

詳細 

ZFS ルートプールの場合の、ほかのアップグレード制限事項 

ZFS ルートプールのアップグレードは、Solaris Live Upgrade を使ってしか行えません。  

要件および制限事項については、『Solaris 10 5/09 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の第 12 章「ZFS の Solaris Live Upgrade (計画)」を参照してください。

別のソフトウェアグループへのアップグレード 

システムのソフトウェアグループを、アップグレード時に別のソフトウェアグループに変更することはできません。たとえば、システムにエンドユーザーシステムサポートソフトウェアグループがインストールされている場合には、開発者システムサポートソフトウェアグループにアップグレードするオプションはありません。ただし、アップグレード中に、インストール済みのソフトウェアグループに属していないソフトウェアをシステムに追加することはできます。 

ソフトウェアグループの詳細は、「ソフトウェアグループごとの推奨ディスク容量」を参照してください。

非大域ゾーンがインストールされている場合のアップグレード 

Solaris インストールプログラムである Solaris Live Upgrade または JumpStart を使用して、非大域ゾーンがインストールされているシステムをアップグレードできます。次の制限が適用されます。 

  • Solaris Live Upgrade は、システムのアップグレードまたはパッチを行う際に推奨されるプログラムです。ほかのアップグレードプログラムでは、膨大なアップグレード時間が必要となる場合があります。これは、アップグレードの実行に要する時間が、インストールされている非大域ゾーンの数に比例して増加するからです。Solaris Live Upgrade を使ってシステムにパッチを適用する場合は、システムをシングルユーザーモードにする必要がないため、システムの稼働時間を最大限に活用できます。

  • Solaris フラッシュアーカイブを使ってインストールを行う場合は、非大域ゾーンが含まれているアーカイブがシステムに正しくインストールされません。

要件および制限事項については、「非大域ゾーンを含むアップグレード」を参照してください。

Solaris 8 または 9 OS からの、Solaris Live Upgrade を使用したパッチ適用 

アクティブなブート環境で Solaris 8 または 9 OS を実行している場合、Solaris Live Upgrade を使用して Solaris 10 の非アクティブブート環境にパッチを適用することはできません。Solaris Live Upgrade は、アクティブなブートパーティション上でパッチユーティリティーを呼び出して非アクティブブートパーティションにパッチを適用します。Solaris 8 および Solaris 9 のパッチユーティリティーは、Solaris ゾーン、サービス管理機能 (Service Management Facility、SMF)、および Solaris 10 OS のその他の拡張機能を認識しません。そのため、パッチユーティリティーは非アクティブ Solaris 10 ブート環境にパッチを正しく適用できません。この理由により、Solaris Live Upgrade を使用してシステムを Solaris 8 または Solaris 9 OS から Solaris 10 OS にアップグレードする場合は、パッチを適用する前に、Solaris 10 ブート環境をまずアクティブにしてください。Solaris 10 ブート環境をアクティブにしたら、このアクティブなブート環境にパッチを直接適用できます。また、別の非アクティブブート環境を設定し、Solaris Live Upgrade を使用して、そのブート環境にパッチを適用することもできます。 

Solaris Live Upgrade を使用したパッチ適用の詳細は、『Solaris 10 5/09 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』「ブート環境のネットワークインストールイメージにパッチを追加する」を参照してください。

Veritas ファイルシステムでのアップグレード 

Solaris 対話式インストールプログラムとカスタム JumpStart プログラムでは、次のような条件で Veritas VxVM ファイルシステムを使用している場合、システムをアップグレードする機会が与えられません。 

  • アップグレードするルートファイルシステムが Veritas の制御下にある場合。たとえば、ルート (/) ファイルシステムが /dev/vx/... デバイスにマウントされている場合。

  • Veritas の制御下にある任意のファイルシステムに何らかの Solaris ソフトウェアがインストールされている場合。たとえば、/usr ファイルシステムが /dev/vx/... デバイスにマウントされている場合。

Veritas VxVM が構成されている場合にアップグレードを行うには、次のいずれかの方法を使用します。  

アップグレードプログラム

Solaris インストールプログラムによる標準の対話式アップグレードか、カスタム JumpStart インストールによる自動的なアップグレードを実行できます。Solaris Live Upgrade を使用すると、稼働中のシステムをアップグレードできます。

アップグレードプログラム 

説明 

詳細 

Solaris Live Upgrade 

現在稼働中のシステムのコピーを作成することができます。このコピーはアップグレード可能で、リブートすると、アップグレードしたコピーが稼働システムになります。Solaris Live Upgrade を使用すると、Solaris OS のアップグレードに必要なシステム停止時間を短縮できます。また、Solaris Live Upgrade では、アップグレードに関連する問題も回避できます。たとえば、アップグレード中に電源障害が発生すると、アップグレードを回復することができなくなります。しかし、Solaris Live Upgrade では、現在実行中のシステムではなく、コピーをアップグレードするので、この問題は起こりません。  

Solaris Live Upgrade を使用する際のディスク容量割り当てを計画するには、『Solaris 10 5/09 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』「Solaris Live Upgrade の要件」を参照してください。

Solaris インストールプログラム  

対話式 GUI のガイドに従ってアップグレードを実行できます。  

『Solaris 10 5/09 インストールガイド (基本編)』の第 2 章「Solaris インストールプログラムによる UFS ファイルシステムのインストール (作業)」

カスタム JumpStart プログラム 

自動アップグレードを行うことができます。プロファイルファイルを使用し、必要に応じてプリインストールスクリプトやポストインストールスクリプトも使用して、必要な情報を指定します。アップグレード用にカスタム JumpStart プロファイルを作成するときは、install_type upgrade を指定します。さらに、実際にアップグレードを行う前に、システムの現在のディスク構成およびシステムに現在インストールされているソフトウェアに対して、カスタム JumpStart プロファイルが目的どおりのことを実行しようとしているかを確認する必要があります。アップグレードしようとしているシステム上で、pfinstall - D コマンドを実行して、プロファイルをテストします。ディスク構成ファイルを使用してアップグレード用プロファイルをテストすることはできません。

アップグレードでなく Solaris フラッシュアーカイブをインストール

Solaris フラッシュのインストール機能では、マスターシステムからインストール全体のコピーを作成し、これを多数のクローンシステムに複製できます。このコピーは Solaris フラッシュアーカイブと呼ばれます。アーカイブは、どのインストールプログラムを使用してもインストールできます。


注意 – 注意 –

非大域ゾーンがインストールされていると、Solaris フラッシュアーカイブは正常に作成されません。Solaris フラッシュ機能には Solaris ゾーン区分技術との互換性はありません。Solaris フラッシュアーカイブを作成する場合、そのアーカイブの配備条件が次のいずれかの場合は、作成されたアーカイブは正しくインストールされません。

また、ZFS ルートプールのアーカイブを作成することや、ZFS ルートプールにアーカイブをインストールすることもできません。


大規模なファイルを含むアーカイブの作成

Solaris フラッシュアーカイブを作成する際、デフォルトのコピー方法として cpio ユーティリティーが使用されます。個別のファイルのサイズを、4G バイトより大きくすることはできません。大規模な個別ファイルが存在する場合、flarcreate コマンドに -L pax オプションを指定すると、pax ユーティリティーにより、個別ファイルのサイズ制限なしでアーカイブが作成されます。個別のファイルサイズを 4G バイトより大きくできます。

アーカイブのインストールについては、次の表を参照してください。

インストールプログラム 

参照先 

Solaris Live Upgrade 

『Solaris 10 5/09 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』「ブート環境への Solaris フラッシュアーカイブのインストール」

カスタム JumpStart 

『Solaris 10 5/09 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』「カスタム JumpStart インストールを使用して Solaris フラッシュアーカイブをインストールする方法」

Solaris 対話式インストール 

『Solaris 10 5/09 インストールガイド (Solaris フラッシュアーカイブの作成とインストール)』の第 4 章「Solaris フラッシュアーカイブのインストールと管理 (作業)」

WANboot 

『Solaris 10 5/09 インストールガイド (ネットワークインストール)』の第 13 章「WAN ブートによるインストール (作業)」

ディスク容量の再配置を伴うアップグレード

Solaris インストールプログラムのアップグレードオプションとカスタム JumpStart プログラムの upgrade キーワードはどちらも、ディスク容量の再配置機能を提供します。この再配置により、ディスクスライスのサイズが自動的に変更されます。アップグレードするのに十分な容量が現在のファイルシステムにない場合、ディスク容量を割り当て直すことができます。たとえば、アップグレードに伴ってファイルシステムの容量を増やす必要があるのは、次のような場合です。

自動配置機能を使用すると、ファイルシステムに必要な容量を確保するようにディスク容量の再配置が行われます。自動配置機能では、デフォルトの制約にもとづいて容量の再配置が試みられます。このため、この機能によって容量の再配置が行われない場合は、ファイルシステムの制約を変更する必要があります。


注 –

自動配置機能には、ファイルシステムの容量を増やす能力はありません。自動配置機能では、次の処理によって容量の再配置が行われます。

  1. 変更の必要なファイルシステム上の必須ファイルをバックアップする。

  2. ファイルシステムの変更にもとづいてディスクパーティションを再分割する。

  3. アップグレードの前にバックアップファイルを復元する。


アップグレード時のパッチアナライザの使用

最初の Solaris 10 3/05 リリースに続く次のいずれかのリリースにアップグレードする場合に、パッチアナライザはシステムの解析を実行します。

すでに Solaris OS を実行していて、個別のパッチをインストール済みの場合、以降の Solaris 10 リリースにアップグレードしたときの動作は次のとおりです。

パッチアナライザを使用すると、削除されるパッチがどれであるかを判断できます。パッチアナライザの詳しい使用方法については、『Solaris 10 5/09 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の付録 C「アップグレード時のパッチアナライザの使用 (作業)」を参照してください。

アップグレード用のシステムのバックアップと再起動

Solaris OS のアップグレードを行う前に、既存のファイルシステムのバックアップを行うことを強くお勧めします。ファイルシステムをテープなどのリムーバブルメディアにコピーすれば、データの損失や損傷、破壊などを防止できます。

以前のリリースでは、再起動メカニズムによって電力損失などの問題が発生したあともアップグレードを続行できました。Solaris 10 10/08 リリース以降、再起動メカニズムは信頼できなくなりました。問題が発生した場合は、アップグレードが再起動されないことがあります。

ネットワークセキュリティーの計画

Solaris 10 11/06 以降のリリースでは、初期インストール時にネットワークセキュリティー設定を変更することができ、Secure Shell を除くすべてのネットワークサービスを無効にしたり、応答する要求をローカル要求だけに制限したりすることができます。このオプションを使用すると、リモートの攻撃者から攻撃や侵入を受ける可能性を最小限に抑えることができます。また、このオプションを利用することで、必要なサービスだけを有効にできます。このセキュリティーオプションを使用できるのは初期インストールのときだけで、アップグレード時には使用できません。アップグレードでは、以前に設定されたすべてのサービスの設定内容が保持されます。ただし netservices コマンドを使用すれば、必要に応じてアップグレード後にネットワークサービスを制限することができます。

使用しているインストールプログラムに応じて、ネットワークサービスを制限するか、サービスをデフォルトで有効にするかを選択できます。

制限されたセキュリティーの仕様

ネットワークのセキュリティーを制限する場合、多数のサービスが完全に無効になります。その他のサービスは引き続き有効ですが、ローカル接続のみに制限されます。Secure Shell は、完全に有効なままです。

例として、Solaris 10 11/06 リリースでローカル接続に制限されている ネットワークサービスの一覧を、次の表に示します。

表 4–6 Solaris 10 11/06 SMF で制限されているサービス

サービス 

FMRI 

プロパティー 

rpcbind 

svc:/network/rpc/bind

config/local_only

syslogd 

svc:/system/system-log

config/log_from_remote

sendmail 

svc:/network/smtp:sendmail

config/local_only

smcwebserver 

svc:/system/webconsole:console

options/tcp_listen

WBEM 

svc:/application/management/wbem

options/tcp_listen

X サーバー 

svc:/application/x11/x11-server

options/tcp_listen

dtlogin 

svc:/application/graphical-login/cde-login

dtlogin/args

ToolTalk 

svc:/network/rpccde-ttdbserver:tcp

proto=ticotsord

dtcm 

svc:/network/rpccde-calendar-manager

proto=ticits

BSD 印刷 

svc:/application/print/rfc1179:default

bind_addr=localhost

インストール後のセキュリティー設定の修正

制限されたネットワークセキュリティー機能を使用する場合、影響を受けるすべてのサービスが Service Management Framework (SMF) により制御されます。初期インストールの実行後に、svcadm および svccfg コマンドを使って任意のネットワークサービスを個別に有効にできます。

制限されたネットワークアクセスは、/var/svc/profile 内にある SMF アップグレードファイルから netservices コマンドを呼び出すことで実現されます。netservices コマンドを使用して、サービスの起動動作を切り替えることができます。

ネットワークサービスを手動で無効にする場合は、次のコマンドを実行します。


# netservices limited

このコマンドは、デフォルトでは変更が行われないアップグレードされたシステム上で使用できます。このコマンドは、サービスを個別に有効にした後で制限された状態に戻す場合にも使用できます。

同様に、次のコマンドを実行することで、以前の Solaris リリースと同様にデフォルトのサービスを有効にできます。


# netservices open

セキュリティー設定の修正の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』「SMF プロファイルを作成する方法」を参照してください。また、次のマニュアルページも参照してください。

ロケールの値

インストールの一部として、システムで使用するロケールの事前構成を行うことができます。「ロケール」によって、オンライン情報を特定の言語と特定の地域で表示する方法が決まります。また、日付と時間の表記、数字や通貨、綴りなどの地域的差異を表すために、1 つの言語に対して複数のロケールが存在することもあります。

システムロケールの事前構成は、カスタム JumpStart プロファイルまたは sysidcfg ファイルで行うことができます。

作業 

参照先 

プロファイルでのロケールの設定 

『Solaris 10 5/09 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)』「プロファイルの作成」

sysidcfg ファイルでのロケールの設定

『Solaris 10 5/09 インストールガイド (ネットワークインストール)』「sysidcfg ファイルによる事前設定」

ロケール値の一覧 

『国際化対応言語環境の利用ガイド』

プラットフォーム名とプラットフォームグループ

ネットワークインストールでクライアントを追加するときには、システムアーキテクチャー (プラットフォームグループ) を知る必要があります。カスタム JumpStart インストールで rules ファイルを作成するときには、プラットフォーム名を知る必要があります。

プラットフォーム名とプラットフォームグループの例を下記の表に示します。SPARC ベースのシステムの完全な一覧については、『Solaris Sun ハードウェアマニュアル』(http://docs.sun.com/) を参照してください。

表 4–7 プラットフォーム名とプラットフォームグループの例

システム 

プラットフォーム名 

プラットフォームグループ 

Sun Fire 

T2000 

sun4v 

Sun BladeTM

SUNW,Sun-Blade-100 

sun4u 

x86 ベース 

i86pc 

i86pc 


注 –

システムが動作している場合、システムのプラットフォーム名は uname -i コマンドで、システムのプラットフォームグループは uname -m コマンドで、それぞれ調べることもできます。


x86: パーティション分割に関する推奨事項

x86 ベースのシステムで Solaris OS を使用する場合は、次のガイドラインに従ってシステムのパーティション分割を行なってください。

Solaris インストールプログラム では、デフォルトのブートディスクパーティションレイアウトが使用されます。これらのパーティションは、fdisk パーティションと呼ばれます。fdisk パーティションは、x86 ベースのシステム上にある特定のオペレーティングシステム専用のディスクドライブの論理パーティションです。Solaris ソフトウェアをインストールするには、x86 システム上に 1 つ以上の Solaris fdisk パーティションを設定する必要があります。x86 ベースのシステムでは、1 台のディスクに最大 4 つの fdisk パーティションを作成できます。これらのパーティションは、個別のオペレーティングシステムをインストールして使用できます。各オペレーティングシステムは、独自の fdisk パーティション上に存在しなければなりません。個々のシステムの Solaris fdisk パーティションの数は、1 台のディスクにつき 1 つに限られます。

表 4–8 x86: デフォルトのパーティション

パーティション 

パーティション名 

パーティションサイズ 

第 1 パーティション (一部のシステムのみ) 

診断・サービスパーティション 

システムに既存のサイズ 

2 番目のパーティション (一部のシステムのみ) 

x86 ブートパーティション  

  • 初期インストールの場合は、このパーティションは作成されません。

  • アップグレードするときに、使用しているシステムに既存の x86 ブートパーティションがない場合は、このパーティションは作成されません。

  • アップグレードするときに、システムに x86 ブートパーティションがある場合:

    • あるブートデバイスから別のブートデバイスにブートストラップするためにパーティションが必要な場合は、x86 ブートパーティションがシステムに保持されます。

    • 追加のブートデバイスのブートにパーティションが不要な場合は、x86 ブートパーティションは削除されます。パーティションの内容は、ルートパーティションに移されます。

第 3 パーティション 

Solaris OS パーティション 

起動ディスクの残りの領域 

デフォルトのブートディスクパーティションレイアウトで保存されるサービスパーティション

Solaris インストールプログラムは、デフォルトのブートディスクパーティションレイアウトを使って、診断・サービスパーティションに対応します。システムに診断・サービスパーティションが含まれている場合、デフォルトのブートディスクパーティションレイアウトを使用して、このパーティションを保存できます。


注 –

診断・サービスパーティションを含まない x86 ベースのシステムに Solaris OS をインストールする場合、インストールプログラムは、デフォルトでは新たに診断・サービスパーティションを作成しません。システムに診断・サービスパーティションを作成する場合は、ハードウェアのマニュアルを参照してください。


システムで動作している Solaris OS のバージョンを確認する方法

システムで動作している Solaris のバージョンを確認するには、次のどちらかのコマンドを入力します。


$ uname -a

cat コマンドを使用すると、より詳細な情報が得られます。


$ cat /etc/release