Solaris 10 5/09 インストールガイド (カスタム JumpStart/ 上級編)

package プロファイルキーワード (UFS と ZFS)


注 –

package キーワードは、UFS ファイルシステム、ZFS ルートプールのどちらのインストールにも使用できます。このキーワードの使用方法は、UFS のインストールと ZFS のインストールで同じです。


package package_name [add [retrieval_type location]| delete]

package は、初期インストールとアップグレードオプションの両方で使用できます。package キーワードを指定すると、次の処理が可能になります。

package_name

パッケージ名は SUNWname の形式で指定します。パッケージの詳細とその名前を表示するには、インストール済みシステムで pkginfo -l コマンドを使用します。

add | delete

指定されたパッケージを追加または削除します。値 adddelete も指定しなかった場合、デフォルトで add が適用されます。


注 –

プロファイルに別のパッケージエントリを追加し、場所を省略することで、複数のパッケージを追加できます。場所を指定しない場合、直前のパッケージの場所が、後続のすべてのパッケージに適用されます。


[retrieval_type location]

インストールする Solaris ディストリビューションに含まれないパッケージ (複数可) を追加します。retrieval_typelocation の値は、パッケージの格納場所によって異なります。以降の節では、retrieval_typelocation に指定可能な値と、package_name キーワードの使用例を示します。

NFS サーバーに格納されたパッケージ

パッケージが NFS サーバーに格納されている場合、次のいずれかの構文で package キーワードを使用します。


package package_name add nfs server_name:/path [retry n]
package package_name add nfs://server_name:/path [retry n]
package_name

パッケージ名は SUNWname の形式で指定します。パッケージの詳細とその名前を表示するには、インストール済みシステムで pkginfo -l コマンドを使用します。

server_name

パッケージを格納したサーバーの名前を指定します。

path

指定されたサーバー上のパッケージディレクトリの場所を指定します。パスに $HOST が含まれる場合、$HOST はインストールするホストシステムの名前で置き換えられます。

retry n

オプションのキーワードです。n は、インストールプロセスがディレクトリのマウントを試みる回数の最大値です。


例 8–12 NFS によるパッケージの追加

この例の package プロファイルキーワードは、NFS の場所 nfs://golden/packages/Solaris_10/ から SUNWnew パッケージを追加します。マウントに失敗した場合、NFS マウントが 5 回試行されます。

package SUNWnew add nfs golden:/packages/Solaris_10 retry 5

HTTP サーバーに格納されたパッケージ

パッケージが HTTP サーバーに格納されている場合、次のいずれかの構文で package キーワードを使用します。


package package_name add http://server_name[:port] path optional_keywords
package package_name add http server_name[:port] path optional_keywords
package_name

パッケージ名は SUNWname の形式で指定します。パッケージの詳細とその名前を表示するには、インストール済みシステムで pkginfo -l コマンドを使用します。

server_name

パッケージを格納したサーバーの名前を指定します。

port

オプションポートを指定します。port は、ポート番号でも、実行時に決定されるポート番号を持つ TCP サービスの名前でもかまいません。

ポートを指定しなかった場合、デフォルトの HTTP ポート番号 80 が使用されます。

path

指定されたサーバーから取得するパッケージの場所を指定します。HTTP サーバーを使用する場合、データストリーム形式のパッケージを使用する必要があります。

optional_keywords

HTTP サーバーからパッケージを取得するとき使用するオプションのキーワードを指定します。

表 8–6 HTTP で使用するオプションの package キーワード

キーワード 

値の定義 

timeout min

timeout キーワードには、HTTP サーバーからのデータ受信を待機する最長の時間を分単位で指定できます。この時間に達すると、接続が切断され、再接続のあと、再開されます。timeout 値として0 (ゼロ) を指定すると、再接続は行われません。

タイムアウトによる再接続が発生すると、パッケージの先頭からインストールし直されます。タイムアウト以前に取得されたデータは破棄されます。 

proxy host:port

proxy キーワードを使用して、プロキシホストとプロキシポートを指定できます。プロキシホストを使用すると、ファイアウォール越しに Solaris パッケージを取得できます。proxy キーワードを指定する場合は、プロキシポートを指定する必要があります。


例 8–13 HTTP によるパッケージの追加

この例の package プロファイルキーワードは、HTTP の場所 http://package.central/10 から、Solaris 10 ディレクトリ内のすべてのパッケージを追加します。データが取得されないまま 5 分以上経過すると、パッケージデータが再度取得されます。以前のパッケージデータは破棄されます。次のいずれかの形式を使用できます。

package SUNWnew add http package.central/Solaris_10 timeout 5 
package SUNWnew add http://package.central/Solaris_10 timeout 5 


例 8–14 プロキシポートを使った HTTP によるパッケージの追加

この例の package プロファイルキーワードは、HTTP の場所 http://package.central/10 から、Solaris_10 ディレクトリ内のすべてのパッケージを追加します。proxy キーワードを使用すると、ファイアウォール越しにパッケージを取得できます。

package SUNWnew add http://package.central/Solaris_10 proxy webcache.east:8080

ローカルデバイスに格納されたパッケージ

パッケージをファイルシステム指向のランダムアクセスデバイス (フロッピーディスク、DVD-ROM など) に格納している場合は、ローカルデバイスから Solaris パッケージを取得できます。package キーワードでは次の構文を使用します。

package package_name add local_device device path file_system_type
package_name

パッケージ名は SUNWname の形式で指定します。パッケージの詳細とその名前を表示するには、インストール済みシステムで pkginfo -l コマンドを使用します。

device

Solaris パッケージが格納されているドライブの名前を指定します。デバイス名が正規のパスである場合は、デバイスは直接マウントされます。正規のパスでないデバイス名を指定すると、インストールユーティリティーはパスに /dev/dsk/ を加えます。

path

Solaris パッケージのパスを指定します。指定したデバイス上のルート (/) ファイルシステムからの相対パスで指定する必要があります。

file_system_type

デバイス上のファイルシステムのタイプを指定します。ファイルシステムのタイプを指定しない場合、インストールユーティリティーは、UFS ファイルシステムのマウントを試みます。UFS のマウントに失敗すると、インストールユーティリティーは HSFS ファイルシステムのマウントを試みます。


例 8–15 UFS ファイルシステムのローカルデバイスによるパッケージの追加

この例の package プロファイルキーワードは、ローカルデバイス c0t6d0s0 の /Solaris_10/Product ディレクトリから SUNWnew パッケージを追加します。これは UFS ファイルシステムです。

package SUNWnew add local_device c0t6d0s0 /Solaris_10/Product ufs


例 8–16 HSFS ファイルシステムのローカルデバイスによるパッケージの追加

この例の package プロファイルキーワードは、ローカルデバイス c0t6d0s0 の /Solaris_10/Product ディレクトリから SUNWnew パッケージを追加します。これは HSFS ファイルシステムです。

package SUNWnew add local_device c0t6d0s0 /Solaris_10/Product  hsfs

ローカルファイルに格納されたパッケージ

システムをブートしたミニルートからパッケージをインストールできます。カスタム JumpStart インストールを実施する時に、DVD、CD または NFS ベースのミニルートからシステムをブートします。このミニルートからインストールソフトウェアがロードされ、実行されます。したがって、DVD、CD または NFS ベースのミニルートに格納したパッケージは、ローカルファイルとしてアクセスできます。package キーワードでは次の構文を使用します。


package package_name add local_file path 
package_name

パッケージ名は SUNWname の形式で指定します。パッケージの詳細とその名前を表示するには、インストール済みシステムで pkginfo -l コマンドを使用します。

path

パッケージの位置を指定します。このパスは、システムを Solaris SOFTWARE - 1 CD または Solaris Operating System DVD からブートしている間、システムにローカルファイルとしてアクセスできるものでなければなりません。Solaris SOFTWARE - 1 CD または Solaris Operating System DVD からブートしている間は、システムは /net にアクセスできません。


例 8–17 ローカルファイルによるパッケージの追加

この例の package プロファイルキーワードは、/Solaris_10/Product ディレクトリから SUNWnew パッケージを追加します。

package SUNWnew add local_file /Solaris_10/Product

package キーワードを使用する際の制約

package キーワードを使用する際には、次の制約があります。

package キーワードを使用したアップグレード処理

アップグレードに package を使用すると、JumpStart プログラムが次の処理を行います。