Oracle Solaris 10 リリースのハードウェア関連の注意事項とバグ情報について説明します。
Oracle Solaris 10 9/10 リリースには、kstats を使った CPU パフォーマンスデータの可観測性を拡張する新機能が含まれています。この機能はデフォルトでは無効になっており、set cu_flags=1 エントリを /etc/system ファイルに追加してシステムをリブートすることで有効になります。Mx000 SPARC OPL プラットフォームでこの機能を有効にする前に、OBP プラットフォームのファームウェアを XCP1093 以降に更新してください。この機能を有効にする前に OBP プラットフォームのファームウェアを更新しない場合、その後の外部強制リセット (XIR) が失敗して、OBP がハングアップするか、kmdb コマンドが失敗する可能性があります。
詳細は、ダウンロードサイトにある XCP1093 ファームウェアに付属の README を参照してください。
実行中のシステムで ConnectX ファームウェアをバージョン 2.6.000 以降にアップグレードすると、一部の HCA や x64 プラットフォームで問題が発生することがあります。この問題は、Mellanox ブランドの HCA だけに影響を与えます。Sun ブランドの PCIe HCA、EM、NEM、および SPARC プラットフォームには影響しません。
システムをブートできなかったり、ブート中にシステムがハングアップしたりすることがあります。ibd (IPoverIB) インスタンス番号が変わり、それによってシステムがブートできなくなったり、ibd デバイスを plumb できなくなったりすることがあります。
回避方法 1: cxflash を使ってファームウェアを更新したあと、システムをリブートする前に、/etc/path_to_inst ファイルと /dev ディレクトリから ibd<x> インスタンスを削除します。次の手順を実行します。
root ユーザーとしてログインします。デバイスツリー情報は、次のようになります。
# ls -R /devices | grep 15b3 /devices/pci@0,0/pci10de,5d@e/pci15b3,634a@0 /devices/pci@0,0/pci10de,5d@e/pci15b3,634a@0/ibport@1,ffff,ipib /devices/pci@0,0/pci10de,5d@e/pci15b3,634a@0/ibport@1,ffff,ipib:ibd0 /devices/pci@0,0/pci10de,5d@e/pci15b3,634a@0/ibport@2,ffff,ipib /devices/pci@0,0/pci10de,5d@e/pci15b3,634a@0/ibport@2,ffff,ipib:ibd1 /devices/pci@0,0/pci10de,5d@e/pci15b3,634a@0:devctl |
デバイス仕様は、取り付けられている Mellanox ブランドのカードによって変わります。
path_to_inst ファイルを編集します。次の手順を実行します。
既存の path_to_inst ファイルのバックアップコピーを作成します。
# cp /etc/path_to_inst /etc/path_to_inst.backup |
path_to_inst ファイルを開きます。
# vi /etc/path_to_inst |
ibd と hermon が含まれる行を検索し、それらの行を削除します。
変更内容を保存し、ファイルを閉じます。
/dev ディレクトリで次のようにエントリを削除します。
rm /dev/ibd?* |
システムを再起動します。システムが正常にブートし、対応するデバイスツリーが次のようになります。
# ls -R /devices | grep 15b3 /devices/pci@0,0/pci10de,5d@e/pci15b3,5@0 /devices/pci@0,0/pci10de,5d@e/pci15b3,5@0/ibport@1,ffff,ipib /devices/pci@0,0/pci10de,5d@e/pci15b3,5@0/ibport@1,ffff,ipib:ibd0 /devices/pci@0,0/pci10de,5d@e/pci15b3,5@0/ibport@2,ffff,ipib /devices/pci@0,0/pci10de,5d@e/pci15b3,5@0/ibport@2,ffff,ipib:ibd1 /devices/pci@0,0/pci10de,5d@e/pci15b3,5@0:devctl |
回避方法 2: path_to_inst ファイルと /dev ディレクトリを更新する前にシステムをリブートした場合は、システムがハングアップすることがあります。このような場合は、次の手順を実行します。
システムの電源を切り、HCA をバスから取り外します。
HCA を取り付けないでシステムをリブートします。
システムが再開したら、回避方法 1 に記載された手順 2 から 3 を実行します。
システムの電源を切ります。
HCA を取り付け直します。システムを再起動します。
システムをリブートしても ibd インタフェースが自動的に plumb しない場合は、/etc/hostname.ib<?> ファイルが最新のデバイス構成に適していない可能性があります。正しい構成を表すようにファイル名を手動で変更します。
ZFS では、大規模なメモリー構成を備えたシステムのすべてのシステムボードにわたって、カーネルメモリーを割り当てることができます。メモリーを動的に再構成するには、動的に再構成するボードのメモリーを未使用のボードにコピーできるように、未使用のシステムボードが 1 つ必要です。ZFS が稼働している大規模なメモリー構成のシステムでは、メモリーを動的に再構成することはできません。SunFire ハイエンドサーバーでは、この問題を回避するためにカーネルページを再配置できます。これらのサーバーでは、32 を超えるコアを持つドメインに対してカーネルページ再配置 (KPR) が有効になっている必要があります。エラーメッセージは表示されません。
回避方法: /etc/system ファイルで zfs_arc_max パラメータを設定して、ZFS で割り当て可能なカーネルメモリーの量を減らします。次の例では、最大サイズが 512M バイトに設定されます。
set zfs_arc_max = 0x20000000 |
mpathadm show logical-unit サブコマンドでは、Current Load Balance プロパティーに対するグローバルな負荷分散設定値が表示されます。ただし、特定の製品の負荷分散タイプを変更する csi_vhci.conf 内のエントリは、その設定が有効になっている場合でも、mpathadm の出力に反映されません。
登録ツールのバックグラウンドプロセスが実行されたままになっていると、Elite3D および Creator3D フレームバッファーは電源管理を停止します。この障害が発生すると、システムが電源管理状態のときに節約される電力量が少なくなります。条件によっては、sys-suspend がハングアップすることもあります。エラーメッセージは表示されません。システムの保存停止処理または復元再開処理中に、そのシステムがハングアップすることがあります。
回避方法:
ログインしてから約 60 秒後に、毎回次のコマンドを実行してください。
# pkill -f basicreg.jar # pkill -f swupna.jar |
Oracle Solaris 10 OS には、新しい暗号化フレームワークが用意されていますが、バージョン 1.0 および 1.1 の Sun Crypto Accelerator 4000 ボードのソフトウェアとファームウェアはこのフレームワークを利用しません。したがって、これらのバージョンは Oracle Solaris 10 OS ではサポートされていません。
2.0 リリースでは新しいフレームワークを使用します。Oracle Solaris 10 OS の使用を予定している現在の Sun Crypto Accelerator 4000 ユーザーは、このリリースを無償アップグレードで利用できます。Sun Crypto Accelerator 4000 は輸出が規制されている製品であるため、Sun エンタープライズサービスまたは最寄りの販売ルートを通じて無償アップグレードを受ける必要があります。詳細は、Sun の製品サイト にある Sun Crypto Accelerator 4000 Web ページを参照してください。
一部の USB 2.0 コントローラは EHCI ドライバとの互換性がないため、サポートされていません。次のメッセージが表示されます。
Due to recently discovered incompatibilities with this USB controller, USB2.x transfer support has been disabled. This device will continue to function as a USB1.x controller. If you are interested in enabling USB2.x support please refer to the ehci(7D) man page. Please refer to www.sun.com/io for Solaris Ready products and to www.sun.com/bigadmin/hcl for additional compatible USB products. |
USB デバイスに関する最新情報については、http://www.sun.com/io_technologies/USB-Faq.html を参照してください。
この リリースでは、USB 1.1 と USB 2.0 の両方のデバイスをサポートします。次の表は、特定の構成で動作する USB デバイスをまとめたものです。接続の種類は、コンピュータに直接接続しても、USB ハブ経由で接続してもかまいません。USB 1.1 のデバイスとハブは低速または全速であることに注意してください。USB 2.0 のデバイスとハブは高速です。ポートと動作速度の詳細については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』を参照してください。
表 2–1 USB デバイスと構成
USB デバイス |
接続の種類 |
---|---|
USB 2.0 ストレージデバイス |
直接、USB 1.1 ハブ、USB 2.0 ハブ |
USB 1.1 デバイス (オーディオデバイスを除く) |
直接、USB 1.1 ハブ、USB 2.0 ハブ |
USB 1.1 オーディオデバイス |
直接、USB 1.1 ハブ |
USB 2.0 オーディオデバイス |
サポートされていません |
次のリストは、このリリースの Oracle Solaris 10 (x86 版) における特定のドライバとインタフェースの制限事項を示しています。
この機能は、すべてのデバイスタイプでオフになっています。detach() 関数の DDI_SUSPEND コードでは、DDI_FAILURE を返すようにしてください。
この機能は、USB デバイスでは利用できません。電源管理コンポーネントを作成しないでください。電源管理コンポーネントが作成されるときにだけ pm_raise_power() と pm_lower_power() が呼び出されるようにドライバを作成します。
リムーバブルメディアなどの対話型デバイスの電源管理は、モニターおよびモニターを制御しているグラフィックスカードの電源管理と連動しています。画面が有効になっているときは、CD-ROM ドライブやフロッピーディスクなどのデバイスは全電力モードとなります。モニターのないシステムでは、これらのデバイスは低電力モードに切り替わることがあります。CD またはフロッピーディスクの電力を元に戻すには、volcheck と入力して、各リムーバブルデバイスから最新の状態を取得します。
代替手段として、Dtpower GUI を使用して、使用しているシステムの電源管理を使用不可にすることができます。電源管理を無効にすることにより、これらのデバイスは常に通常の電力モードになります。
デフォルトでは、kdmconfig プログラムはシステムに接続されているキーボードタイプとして、一般的な US 英語 (104 キー) を指定します。システムのキーボードが US 英語キーボードでない場合は、インストール時にそのキーボードタイプを手動で指定する必要があります。指定しない場合、システムの実際のキーボードタイプと矛盾しているデフォルトのキーボード仕様でインストールが続行されます。
回避方法 1: システムのキーボードが US 英語キーボードでない場合は、インストール時に次の手順を実行してください。
「Proposed Window System Configuration For Installation」が表示されたら、Esc キーを押します。
キーボードタイプを含む「Proposed Window System Configuration For Installation」の情報は 30 秒間しか表示されません。構成の設定を変更する場合は、30 秒以内に Esc キーを押す必要があります。そうしないと、表示された設定でインストールが続行されます。
キーボードタイプをシステムのキーボードに対応するタイプに変更します。
Enter キーを押して変更を受け入れ、インストールを続行します。
回避方法 2: すでに Oracle Solaris 10 OS が動作しているシステムのキーボードタイプを変更する場合は、kdmconfig プログラムを使用します。システムで実行している X サーバーの種類に応じて、次のいずれかを実行してください。
Xsun サーバーを実行している場合は、次の手順を実行します。
kdmconfig を実行します。
「Change Keyboard」オプションを使用して、キーボードタイプを変更します。
構成を保存します。
デフォルトの Xorg サーバーを実行している場合は、次の手順を実行します。
kdmconfig を実行します。
Xsun サーバーを選択します。
「Change Keyboard」オプションを使用して、キーボードタイプを変更します。
構成を保存します。
kdmconfig をもう一度実行して Xorg サーバーに切り替えます。
次のホストバスアダプタ (HBA) がテープデバイスに接続されるときに、その HBA 用の jfca ドライバによってシステムパニックまたは入出力エラーが発生することがあります。
SG-PCI1FC-JF2
SG-PCI2FC-JF2
特定の操作が実行されているときに、これらの HBA 用の jfca ドライバは競合状態に陥りやすいため、エラーが発生します。特定の操作は、次のとおりです。
リンクのリセット
ループのリセット
スイッチのリセット
繰り返されるリンク障害
次の例のようなエラーメッセージが表示されることがあります。
入出力エラーメッセージ
jfca: [ID 277337 kern.info] jfca4: Sequencer-detected error. Recover immediately. last message repeated 18376 times jfca: [ID 716917 kern.notice] jfca4: ExgWarning: SendVerify(1): SHOULD ABORT THE ORIG I/O PKG=30007520bd8! scsi: [ID 107833 kern.warning] WARNING: /pci@1e,600000/SUNW,jfca@3,1/fp@0,0/st@w2100001086108 628,1 (st3): SCSI transport failed: reason 'timeout': giving up |
システムパニックメッセージ
panic[cpu1]/thread=2a100497cc0: BAD TRAP: type=31 rp=2a1004978d0 addr=a8 mmu_fsr=0 occurred in module "jfca" due to a NULL pointer dereference |
回避方法: テープデバイスを SG-PCI1FC-JF2 または SG-PCI2FC-JF2 の HBA に接続しないでください。
Quad FastEthernet (QFE) カードが次のアダプタのいずれかと同一バスを共有する場合、バスの競合が発生します。
Sun GigaSwift アダプタ
Sun Dual Gigabit Ethernet + Dual SCSI/P アダプタ
Sun Quad GigaSwift Ethernet アダプタ
これらのアダプタによって使用される ce ドライバの infinite-burst パラメータは、デフォルトで有効になっています。このため、同一バスを共有する QFE ポートに利用できるバス時間はほとんどないか、まったくありません。
回避方法: QFE カードをリスト内のネットワークアダプタと同じバス上に配置しないでください。
SunSwift PCI Ethernet/SCSI ホストアダプタ (X1032A) カードの SCSI 部分のデフォルトタイムアウトは、Sun の SCSI DVD-ROM ドライブ (X6168A) のタイムアウト条件を満たしていません。一部のメディアでは、DVD-ROM で頻繁にタイムアウトエラーが発生します。例外は、Oracle Sun Fire 6800、4810、4800、および 3800 システムだけです。OpenBoot PROM によって SCSI タイムアウト値を上書きする Sun Fire 6800、4810、4800、および 3800 システムのみです。
回避方法: ほかのプラットフォームでは、システムボード上の SCSI インタフェースまたは DVD-ROM 互換 SCSI アダプタを使用してください。次に例を示します。
X1018A (SBus: F501-2739-xx)
X6540A (PCI: F375-0005-xx)