Oracle Solaris 10 9/10 ご使用にあたって

第 3 章 特定システムに関する注意事項

この章では、Sun のミッドレンジサーバーおよびハイエンドサーバーに固有の注意事項について説明します。現在の Sun のサーバーは Sun Fire システムファミリに含まれます。古いサーバーは Sun Enterprise システムファミリに含まれます。


注 –

Sun Validation Test Suite リリースノートは分離したドキュメントとなりました。これは http://www.sun.com/ で参照できます。


Oracle の Sun Fire ハイエンドシステムでの動的再構成

ここでは、Oracle Solaris 10 ソフトウェアを実行している Sun Fire ハイエンドシステムでのドメイン側の動的再構成 (DR) の主なバグについて説明します。対象となる Sun Fire ハイエンドシステムは次のとおりです。

Sun Management Services での DR のバグについては、使用しているシステムで実行されている SMS のバージョンに対応した『SMS ご使用にあたって』を参照してください。


注 –

この情報は、ここに記載されているサーバーで実行される DR だけに当てはまります。ほかのサーバーでの DR については、サーバーのリリースノート、プロダクトノート、または説明が記載された節を参照してください。


ソフトウェアおよびハードウェアの既知のバグ

Sun Fire ハイエンドシステムに関するソフトウェアおよびハードウェアのバグ情報について説明します。

GigaSwift Ethernet MMF のリンクが、DR 接続後の CISCO 4003 スイッチで停止する

Sun GigaSwift Ethernet MMF Option X1151A を備えたシステムと一部の CISCO スイッチの間でリンクが失敗します。次のいずれかのスイッチに接続されているシステムで DR 操作を実行しようとすると、この失敗が発生します。

この問題は CISCO 6509 スイッチでは見られません。

回避方法: 別のスイッチを使用するか、一覧に示したスイッチのパッチについて Cisco 社にお問い合わせください。

Oracle の Sun Fire ミッドレンジシステムでの動的再構成

ここでは、次の Sun Fire ミッドレンジシステムでの動的再構成 (DR) に関連する重要な問題について説明します。


注 –

この情報は、ここに記載されているサーバーで実行される DR だけに当てはまります。ほかのサーバーでの DR については、サーバーのリリースノート、プロダクトノート、または説明が記載された節を参照してください。


最小構成のシステムコントローラファームウェア

表 3–1 で、Oracle Solaris ソフトウェアと、DR を実行する各 Sun Fire ミッドレンジシステムのシステムコントローラ (SC) ファームウェアの許容可能な組み合わせを示します。


注 –

最新のファームウェア機能とバグ修正を利用するには、Sun Fire ミッドレンジシステム上で最新の SC ファームウェアを実行してください。最新のパッチについては、http://sunsolve.sun.com を参照してください。


表 3–1 各プラットフォームと Oracle Solaris リリースの組み合わせで最小構成の SC ファームウェア

プラットフォーム 

Oracle Solaris リリース 

最小構成の SC ファームウェア 

UltraSPARC IV+ が搭載された Sun Fire E6900/E4900 

Solaris 10 3/05 HW1 (限定リリース) または Solaris 10 1/06 

5.19.0 

UltraSPARC IV+ が搭載されていない E6900/E4900 

Solaris 9 4/04 

5.16.0 

Sun Fire 6800/4810/4800/3800 

Solaris 9 4/04 

5.16.0 

Sun Fire 6800/4810/4800/3800 

Solaris 9 

5.13.0 

Sun Fire ミッドレンジシステムのシステムファームウェアは、ファームウェアイメージが格納されている FTP または HTTP サーバーに接続することによってアップグレードすることができます。詳細は、README ファイルと Install.info ファイルを参照してください。これらのファイルは、使用しているドメインで動作中のファームウェアリリースに含まれています。パッチは、Web サイト (http://sunsolve.sun.com) で入手できます。

DR ソフトウェアの既知のバグ

ここでは、DR に関する重要なバグについて説明します。

プログラムでネットワークデバイスが開いた状態に保持されていると、デバイスの取り外しが失敗する (5054195)

プロセスによってネットワークデバイスが開いた状態に保持されていると、そのデバイスが関連する DR 操作はすべて失敗します。参照カウントを保持しているデーモンやプロセスによって、DR 操作が中止されます。

回避方法: スーパーユーザーとして次の手順を実行します。

  1. /rplboot ディレクトリを削除するか、またはディレクトリ名を変更します。

  2. NFS サービスを停止します。


    # sh /etc/init.d/nfs.server stop
    
  3. ブートサーバーサービスを停止します。


    # sh /etc/init.d/boot.server stop
    
  4. DR による切り離し操作を実行します。

  5. NFS サービスを再起動します。


    # sh /etc/init.d/nfs.server start
    
  6. ブートサーバーサービスを再起動します。


    # sh /etc/init.d/boot.server start
    

Sun Enterprise 10000 に関するリリース情報

ここでは、Sun Enterprise 10000 サーバーでの次の機能に関連する注意事項について説明します。


注 –

Oracle Solaris 10 ソフトウェアは、Sun Enterprise 10000 システム内の個々のドメイン上で実行できます。ただし、このリリースでは、Sun Enterprise 10000 システムサービスプロセッサはサポートされていません。


システムサービスプロセッサの要件

システムサービスプロセッサ (SSP) で Oracle Solaris 10 ソフトウェアをサポートするには、SSP 3.5 ソフトウェアが必要です。まず、SSP 3.5 を SSP にインストールしてください。その後、Sun Enterprise 10000 ドメインで Oracle Solaris 10 OS のインストールやアップグレードを行うことができます。

SSP 3.5 ソフトウェアは、ドメインを DR モデル 3.0 用に正しく構成するためにも必要です。

動的再構成に関する注意事項

ここでは、Sun Enterprise 10000 ドメインでの動的再構成 (DR) に関連する注意事項について説明します。

DR モデル 3.0

Solaris 9 12/03 リリース以降の Oracle Solaris OS が動作している Sun Enterprise 10000 ドメインでは、DR モデル 3.0 を使用する必要があります。DR モデル 3.0 とは、SSP 上で次のコマンドを使用してドメイン DR 操作を実行する機能のことです。

ドメインで cfgadm コマンドを実行して、ボードの状態情報を取得することもできます。DR モデル 3.0 は、Reconfiguration Coordination Manager (RCM) とのインタフェースを通じて、ドメインで動作しているほかのアプリケーションとの DR 操作の調整も行います。

DR モデル 3.0 の詳細は、『Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。

DR と結合ユーザープロセス

この Oracle Solaris リリースでは、DR は切り離された CPU とユーザープロセスとの結合解除を自動的に実行しません。切り離し操作を開始する前に、手動でこの操作を実行する必要があります。プロセスが結合されている CPU が検出されると、ドレイン操作が失敗します。

プログラムでネットワークデバイスが開いた状態に保持されていると、デバイスの取り外しが失敗する (5054195)

プロセスによってネットワークデバイスが開いた状態に保持されていると、そのデバイスが関連する DR 操作はすべて失敗します。参照カウントを保持しているデーモンやプロセスによって、DR 操作が中止されます。

回避方法: スーパーユーザーとして次の手順を実行します。

  1. /rplboot ディレクトリを削除するか、またはディレクトリ名を変更します。

  2. NFS サービスを停止します。


    # sh /etc/init.d/nfs.server stop
    
  3. ブートサーバーサービスを停止します。


    # sh /etc/init.d/boot.server stop
    
  4. DR による切り離し操作を実行します。

  5. NFS サービスを再起動します。


    # sh /etc/init.d/nfs.server start
    
  6. ブートサーバーサービスを再起動します。


    # sh /etc/init.d/boot.server start
    

InterDomain Networks

ドメインを InterDomain Network に接続する場合、そのドメインにあるボードのうち、メモリーが動作しているボードについては、動作中の CPU が少なくとも 1 つ必要です。

OpenBoot PROM 変数

OpenBoot PROM プロンプト (OK) で boot net コマンドを実行する前には、local-mac-address? 変数が false に設定されていることを確認してください。これは出荷時のデフォルト値です。この変数の値が true になっている場合は、この値がローカルな構成として適切かどうかを確認してください。


注意 – 注意 –

local-mac-address?true に設定されていると、ネットワーク上でのそのドメインのブートが正しく行われない場合があります。


netcon ウィンドウでは、OpenBoot PROM プロンプトで次のコマンドを使用して、OpenBoot PROM 変数の値を表示できます。


OK printenv

local-mac-address? 変数をデフォルト値にリセットするには、setenv コマンドを使用します。


OK setenv local-mac-address? false

Oracle の Sun Enterprise ミッドレンジシステムでの動的再構成

ここでは、Oracle Solaris 10 ソフトウェアを実行する次のようなミッドレンジサーバーでの動的再構成 (DR) 機能について、最新情報を提供します。

Sun Enterprise サーバーの DR の詳細については、『Sun Enterprise 6x00、5x00、4x00、3x00 システム Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。Oracle Solaris 10 リリースは、上記のリストに示したシステムのすべての CPU/メモリーボードとほとんどの入出力ボードをサポートしています。

サポートするハードウェア

DR を実行する前に、システムが動的再構成をサポートしていることを確認してください。システムの設計が古い場合は、コンソールまたはコンソールログに次のようなメッセージが表示されます。このようなシステムは動的再構成をサポートしていません。


Hot Plug not supported in this system

次の入出力ボードは現在サポートされていません。

ソフトウェアに関する注意事項

ここでは、DR に関する一般的なソフトウェア情報について説明します。

動的再構成を有効にする

動的再構成を有効にするには、/etc/system ファイルで 2 つの変数を設定します。また、CPU/メモリーボードの取り外しを有効にするために、もう 1 つの変数を設定する必要があります。次の手順を実行します。

  1. スーパーユーザーとしてログインします。

  2. /etc/system ファイルを編集して、次の行を追加します。


    set pln:pln_enable_detach_suspend=1
    set soc:soc_enable_detach_suspend=1
    
  3. CPU/メモリーボードの取り外しを有効にするには、次の行をファイルに追加します。


    set kernel_cage_enable=1
    

    この変数の設定により、メモリーの構成解除が可能になります。

  4. 変更を適用するために、システムをリブートします。

休止テスト

次のコマンドを使用して、休止テストを開始できます。


 # cfgadm -x quiesce-test sysctr10:slot number

システムの規模が大きい場合は、休止テストの実行に 1 分近くかかる場合もあります。この間、cfgadm が互換性のないドライバを検出しなかった場合はメッセージはまったく表示されませんが、これは正常な動作です。

使用不可ボードリスト

使用不可ボードリストに登録されているボードに接続処理を実行しようとすると、次のエラーメッセージが出力されることがあります。


# cfgadm -c connect sysctrl0:slotnumber







cfgadm: Hardware specific failure: connect failed:
board is disabled: must override with [-f][-o enable-at-boot]

リストへの登録を無効にして使用可能な状態にするには、2 つの方法があります。

使用不可ボードリストからすべてのボードを削除するには、コマンドを入力するプロンプトに応じて、次のいずれかの手順を実行します。

disabled-board-list 変数の設定については、『特記事項: Sun Enterprise 6x00、5x00、4x00、3x00 システム』の「固有の NVRAM 変数」の節を参照してください。このマニュアルは、このリリースのドキュメントセットに含まれています。

使用不可メモリーリスト

OpenBoot PROM コマンドの disabled-memory-list 変数の設定については、このリリースで公開されています。Oracle Solaris Sun ハードウェアドキュメントの『特記事項: Sun Enterprise 6x00、5x00、4x00、3x00 システム』の「固有の NVRAM 変数」を参照してください。

切り離し危険ドライバの読み込み解除

切り離し危険ドライバの読み込みを解除するには、modinfo コマンドを使用してドライバのモジュール ID を確認し、modunload コマンドでそのモジュール ID を指定します。

接続処理中のセルフテストの失敗

DR 機能を利用してボードに接続処理を実行しているときに次のようなメッセージが表示された場合は、ボードのセルフテストでエラーが発生しています。すぐにシステムからボードを取り外してください。


cfgadm: Hardware specific failure: connect failed: firmware operation error

ボードを取り外すことで、システムのリブート時に再構成エラーが起こるのを回避できます。

セルフテストに失敗した状態では、それ以上操作を実行できません。したがって、失敗した操作をすぐに実行し直す場合は、ボードをいったん取り外して操作可能な状態に戻してから、取り付け直してください。

既知の障害

次の情報は随時変更されることがあります。

プログラムでネットワークデバイスが開いた状態に保持されていると、デバイスの取り外しが失敗する (5054195)

プロセスによってネットワークデバイスが開いた状態に保持されていると、そのデバイスが関連する DR 操作はすべて失敗します。参照カウントを保持しているデーモンやプロセスによって、DR 操作が中止されます。

回避方法: スーパーユーザーとして次の手順を実行します。

  1. /rplboot ディレクトリを削除するか、またはディレクトリ名を変更します。

  2. NFS サービスを停止します。


    # sh /etc/init.d/nfs.server stop
    
  3. ブートサーバーサービスを停止します。


    # sh /etc/init.d/boot.server stop
    
  4. DR による切り離し操作を実行します。

  5. NFS サービスを再起動します。


    # sh /etc/init.d/nfs.server start
    
  6. ブートサーバーサービスを再起動します。


    # sh /etc/init.d/boot.server start