Oracle Solaris 10 9/10 ご使用にあたって

インストールに関する注意事項とバグ情報

Oracle Solaris 10 OS のインストール時またはインストール後に発生するバグ情報について説明します。

x86: システムのメモリーが 768M バイト未満のときに GUI インストールが失敗する

Oracle Solaris 10 9/10 OS を GUI ベースでインストールするには、システムに最低 768M バイトのメモリーが必要です。物理メモリーが 768M バイト未満の場合、次のようなエラーメッセージが表示され、インストールはテキストインストールに切り替わります。


Not enough memory for graphical installation.  Graphical installation
requires 768 MB of memory.  Found 640 MB of memory.
Reverting to text-based installation.

回避方法: GUI ベースのインストールまたはアップグレードを行う場合、メモリーが 768M バイト以上であることを確認してください。

/var ファイルシステムのディスク容量が最小または推奨ぎりぎりである場合、インストールが失敗する (6873975)

メモリーが少ないシステムでは、/ または /var ファイルシステムのディスク容量が最小または推奨値ぎりぎりの場合に、Oracle Solaris OS のインストールが失敗する可能性があります。次のエラーメッセージが表示されます。


Creating boot_archive for /a
updating /a/platform/sun4u/boot_archive
15+0 records in
15+0 records out
cat: write error: No space left on device

回避方法: メモリーの少ないシステムでは、/var のサイズを最低 300 MB に増やします。

自動再配置の問題で、DSR アップグレードが失敗する (6858233)

Oracle Solaris 10 9/10 リリースより前の Oracle Solaris 10 リリースがインストールされているシステムでは、DSR アップグレードが失敗します。これは、自動再配置の問題に起因する障害です。たとえば、次のプロファイルで OS をインストールする場合を考えます。


install_type initial_install
   system_type standalone
   cluster cxall
   partitioning explicit
   filesys rootdisk.s0 auto / logging
   filesys rootdisk.s1 512 swap
   filesys rootdisk.s6 10240 /backup logging
   filesys rootdisk.s7 free

次に、次のプロファイルを使用して Oracle Solaris 10 9/10 リリースへの DSR アップグレードを行います。


install_type upgrade
   root_device rootdisk.s0
   backup_media local_filesystem /backup
   layout_constraint rootdisk.s0 changeable
   layout_constraint rootdisk.s7 available

DRS アップグレードが失敗し、次のエラーメッセージが表示されます。


Auto-layout could not determine how to reallocate space on the file systems 
with the constraints you specified. Try other constraints

回避方法: rootdisk.s1 スライスと rootdisk.s6 スライスのラベルを「変更可能」にします。システムに余分のディスク容量があり、バックアップ用に使用されていないスライスの十分な空きがある場合、backup_media キーワードを次の例のように変更します。


backup_media local_filesystem /dev/dsk/c0t1d0s7

この例では、ディスク c0t1d0s7 は利用可能な 2 番目のディスクで、バックアップに十分な空き容量があることを想定しています。または、システムに使用可能な rootdisk が 1 つしかない場合は、リモートシステムでバックアップを実行します。構文は次のとおりです。


backup_media remote_filesystem hostname:/export/backup

どちらの場合でも、DSR アップグレードが成功します。

ローカライズされたインストールに関する注意事項

ローカライズされた Oracle Solaris インストーラは、常に EUC または ISO8859 ロケールで実行されます。このため、インストールログは EUC または ISO8859 エンコーディングで作成されます。

回避方法: ローカライズされたコマンド行インタフェース (CLI) インストールを端末ウィンドウで実行している間は、端末のロケールを EUC または ISO8859 ロケールにする必要があります。

x86: Update6; より前のリリースで Oracle Solaris フラッシュアーカイブのインストールが失敗する (6735181)

Solaris 10 10/08 より前のリリースの稼働するシステムから Oracle Solaris フラッシュアーカイブをインストールしようとすると、アーカイブのインストールに失敗します。Solaris 10 10/08 リリース以降では、アーカイブのインストールが可能です。次のエラーメッセージが表示されます。


bootadm: biodev command failed for disk:
/dev/dsk/<c0t2d0s0>.
bootadm: 1s_bootdisk(): cannot determine BIOS disk ID "hd?" for disk:
/dev/dsk/<c0t2d0s0>
bootamd: get_grubroot(): cannot get (hd?, ?,?) for menu. menu not on bootdisk:
/dev/rdsk/<c0t2d0s0>

回避方法: 次のいずれかを選択してください。

一部のアジア語ロケールをカスタム JumpStart インストールに使用できない (6681454)

カスタム JumpStart による Oracle Solaris OS のインストール中に、アジア語ロケール th_TH.ISO8859-11、th_TH.TIS620、ko_KR.EUC、ko_KR.UTF-8、zh_TW.EUC、zh_CN.EUC、zh_CN.GBK、および zh_CN.UTF-8 を使用できません。system_locale キーワードを使用してロケールを sysidcfg ファイル内に設定しているときに、次のエラーメッセージが表示されます。


xx_xx.xxxxx is not a valid system locale

カスタム JumpStart によるインストールが停止され、対話式インストールが開始します。

回避方法: 長いロケール名ではなく、短めのロケール名 (th_TH、ko、ko.UTF-8、zh_TW、zh、zh.GBK、zh.UTF-8 など) を使用します。

PRODRM には Trusted Extensions の prodreg エントリの削除に関する問題がある (6616592)

Trusted Extensions を &10Update3; または Solaris 10 8/07 リリースから、Solaris 10 10/08、Solaris 10 5/09、または Solaris 10 10/09 リリースにアップグレードするとき、Trusted Extensions の prodreg エントリは削除されません。エラーメッセージは表示されません。

回避方法: Trusted Extensions を最新のリリースにアップグレードしたあとで、次のように手動で prodreg エントリを削除してください。


# prodreg unregister -f -r -u "Solaris Trusted Extensions" -i 1

アップグレードの詳細なパッチ解析のパネルはスクロールできない (6597686)

Oracle Solaris のアップグレード中、削除されるパッチを確認するために「Detailed Analysis」を選択するとパッチがパネルに表示されますが、このパネルはスクロールできません。削除されるパッチの完全なリストは表示できません。

回避方法: 次のように、 analyze_patches スクリプトを手動で実行します。


# cd <cdrom>/Solaris_10/Misc
# ./analyze_patches -R rootdir -N netdir -D databasedir

コマンドのオプションは次のとおりです。

-R rootdir

rootdir は、インストールされたシステムのルートです。デフォルトのルートディレクトリは / です。

-N netdir

netdir は、インストールする OS イメージのルートへのパスです。また、Solaris_10_606 ディレクトリを含むディレクトリへのパスでもあります。デフォルトのパスは /cdrom/cdrom0 です。NFS マウントポイントから patch_analyzer を実行している場合は、このオプションを使用する必要があります。

-D databasedir

OS イメージ内の /Misc ディレクトリ以外のディレクトリからスクリプトを呼び出す場合、プログラムはパッチ解析に使用するデータベースを見つけることができません。-D オプションを使用して、データベースへのパスを指定してください。このデータベースは OS イメージの Solaris_10_606/Misc/database ディレクトリにありますが、これが見つからないとスクリプトは正しく動作しません。

キーボードが接続されていない場合でもキー配列を選択する必要がある (6593071)

Oracle Solaris シリアルインストールの間、システムにはキーボードが接続されていませんが、キー配列の選択を求めるプロンプトが表示されます。

回避方法: キー配列を選択します。キーボードを接続したときに、必要に応じて kbd コマンドを -s オプションとともに使用すれば、キー配列を変更できます。

Oracle Solaris OS のインストール後、Linux パーティションが GRUB メニューに表示されない (6508647)

システムに Linux がインストールされている場合、別のパーティションに Oracle Solaris OS をインストールすると、Linux パーティションは GRUB メニューに表示されません。エラーメッセージは表示されません。

回避方法: GRUB メニューの menu.lst ファイルを編集して、Linux を GRUB メニューに追加します。次の手順を実行します。

  1. Oracle Solaris OS をブートします。

  2. /boot/grub/menu.lst にある menu.lst ファイルを編集します。詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』を参照してください。

x86: インストール時の無効な /sbin/dhcpinfo エラー (6332044)

x86 ベースのシステムに Solaris 10 10/09 OS をインストールすると、次のエラーメッセージが表示されます。


/sbin/dhcpinfo: primary interface requested but no primary interface is set

このエラーはインストールには影響がなく、インストールは成功します。

回避方法: このエラーメッセージは無視してください。

x86: カスタム JumpStart インストールのあと、システムのブートが失敗する (6205478)

カスタム JumpStart インストール方式を使用して x86 システムに Oracle Solaris OS をインストールする場合は、スライス 2 をオーバーラップスライスとして明示的に構成すると、エラーが発生します。インストールの完了後に、システムが正常にリブートされません。次のエラーメッセージが表示されます。


Cannot find Solaris partition

オーバーラップスライス 2 (c0t0d0s2 など) は、シリンダ 0 ではなくシリンダ 1 から始まるように設定されるので、この失敗が発生します。

回避方法: カスタム JumpStart プロファイルで、スライス 2 をオーバーラップスライスとして構成する filesys キーワードエントリを削除します。たとえば、次のようなキーワードエントリを削除します。


filesys c0t0d0s2 all overlap

エントリを削除したあと、カスタム JumpStart インストールを実行します。