Oracle Solaris 10 9/10 インストールガイド (インストールとアップグレードの計画)

ディスク容量とスワップ空間の割り当て

Solaris ソフトウェアをインストールする前に、ディスク容量の計画をたてて、システムに十分なディスク容量があるかどうかを調べることができます。

ディスク容量に関する一般的な計画と推奨事項

ディスク容量の計画のたて方は、ユーザーによって異なります。必要に応じて、次の条件に基づいて割り当てる容量を考慮に入れてください。


注 –

ZFS ルートプールのインストールに必要なディスク容量については、「ZFS インストールのディスク容量要件」を参照してください。


表 4–3 ディスク容量とスワップ領域に関する一般的な計画

容量割り当ての条件 

説明 

UFS ファイルシステム 

ファイルシステムを割り当てる場合には、将来の Solaris バージョンにアップグレードするときのために、現在必要な容量よりも 30% 多く割り当ててください。  

デフォルトでは、ルート(/) とスワップ領域 (/swap) だけが作成されます。OS サービスのためにディスク容量が割り当てられたときは、/export ディレクトリも作成されます。Solaris のメジャーリリースにアップグレードする場合は、システムのスライスを切り直すか、インストール時に必要な容量の 2 倍を割り当てる必要があります。Solaris Update にアップグレードする場合は、将来のアップグレードに備えて余分のディスク容量を追加しておけば、システムのスライスを切り直す手間を軽減できます。Solaris Update リリースにアップグレードするたびに、直前のリリースに比べておよそ 10% のディスク容量が追加で必要になります。ファイルシステムごとに 30% のディスク容量を追加しておくと、Solaris Update を数回追加できます。


注 –

Solaris のこれまでのリリースでは、1T バイトより大きいサイズのディスクに Solaris OS をインストールしてブートすることはできませんでした。Solaris 10 10/09 リリース以降では、最大 2T バイトのサイズのディスクに Solaris OS をインストールしてブートできます。

Solaris 10 10/09 リリース以降では、どのようなサイズのディスクでも VTOC ラベルを使用できますが、VTOC によるアドレス割り当てが可能な空間は 2T バイトに制限されています。この機能により、2T バイトより大きなディスクをブートドライブとして使用できますが、ラベルから使用できる空間は 2T バイトに制限されます。

この機能は、64 ビットカーネルを実行しているシステムでのみ使用できます。x86 ベースのシステムには、最低 1G バイトのメモリが必要です。

詳細は、『System Administration Guide: Devices and File Systems』「Two-Terabyte Disk Support for Installing and Booting the Solaris OS」を参照してください。


UFS ファイルシステムの /var ファイルシステム

クラッシュダンプ機能 savecore(1M) を使用する場合は、/var ファイルシステムの容量を物理メモリーの倍のサイズに設定します。

スワップ 


注 –

ZFS ルートプールのスワップ割り当てについては、「ZFS インストールのディスク容量要件」を参照してください。


UFS ファイルシステムの場合、次のような条件では、Solaris インストールプログラムはデフォルトのスワップ領域 (512M バイト) を割り当てます。 

  • インストールプログラムによるディスクスライスの自動配置機能を使用する場合

  • スワップスライスのサイズを手作業で変更しない場合

デフォルトでは、Solaris インストールプログラムは、利用可能な最初のディスクシリンダ (SPARC ベースのシステムでは通常シリンダ 0) でスワップが開始されるようにスワップ領域を割り当てます。この配置によって、デフォルトのディスクレイアウト時にはルート (/) ファイルシステムに最大の空間を割り当てることができ、アップグレード時にはルート (/) ファイルシステムを拡張できます。

将来スワップ領域を拡張することを考えている場合、次のいずれかの手順を実行してスワップスライスを配置することにより、別のディスクシリンダでスワップスライスを開始できます。  

スワップ空間の概要については、『Solaris のシステム管理 (デバイスとファイルシステム)』の第 20 章「追加スワップ空間の構成 (手順)」を参照してください。

ホームディレクトリファイルシステムを提供するサーバー 

ホームディレクトリは、通常デフォルトで /export ファイルシステムにあります。

インストールする Solaris ソフトウェアグループ 

ソフトウェアグループはソフトウェアパッケージの集まりです。ディスク容量を計画する際には、選択したソフトウェアグループから個々のソフトウェアパッケージを個別に追加したり削除したりできることを覚えておいてください。ソフトウェアグループの詳細は、「ソフトウェアグループごとの推奨ディスク容量」を参照してください。

アップグレード  

言語サポート 

中国語、日本語、韓国語などです。単一の言語をインストールする場合は、約 0.7G バイトのディスク容量をその言語用に追加して割り当ててください。すべての言語サポートをインストールする場合は、インストールするソフトウェアグループに応じて、最大で約 2.5G バイトのディスク容量を言語サポート用に追加して割り当てる必要があります。 

印刷やメールのサポート 

容量を追加します。 

追加ソフトウェアや Sun 以外のソフトウェア 

容量を追加します。 

ソフトウェアグループごとの推奨ディスク容量

Solaris ソフトウェアグループは Solaris パッケージの集まりです。それぞれのソフトウェアグループには、異なる機能やハードウェアドライバのサポートが含まれています。

Solaris ソフトウェアのインストール時には、選択した Solaris ソフトウェアグループに対してパッケージを追加したり、削除したりすることができます。パッケージの追加や削除を行う場合には、ソフトウェアの依存関係や Solaris ソフトウェアがどのようにパッケージ化されているかを知っている必要があります。

次の図は、ソフトウェアパッケージのグループを示しています。Reduced Networking サポートには、最小限の数のパッケージが含まれています。全体ディストリビューションと OEM サポートには、すべてのパッケージが含まれています。

図 4–1 Solaris ソフトウェアグループ

この図については本文中で説明しています。

表 4–4 に、Solaris ソフトウェアグループ、およびそれぞれのグループのインストールに推奨されるディスク容量の一覧を示します。


注 –

表 4–4 の推奨ディスク容量には、次の項目の容量も含まれています。

各ソフトウェアグループに必要なディスク容量は、この表に一覧表示されている容量より少ない場合があります。


表 4–4 ソフトウェアグループごとの推奨ディスク容量

ソフトウェアグループ 

説明 

推奨ディスク容量 

全体ディストリビューションと OEM サポート 

全体ディストリビューションのパッケージに加え、追加のハードウェアドライバが含まれています。これには、インストール時にシステムに存在していないハードウェアのドライバも含まれます。 

6.8G バイト 

全体ディストリビューション 

開発者システムサポートのパッケージに加え、サーバーに必要な追加のソフトウェアが含まれています。 

6.7G バイト 

開発者システムサポート 

エンドユーザーシステムサポートのパッケージに加え、ソフトウェア開発用の追加のサポートが含まれています。ソフトウェア開発のサポートとして、ライブラリ、インクルードファイル、マニュアルページ、プログラミングツールなどが追加されています。ただし、コンパイラは含まれていません。 

6.6G バイト 

エンドユーザーシステムサポート 

ネットワークに接続された Solaris システムと共通デスクトップ環境 (CDE) の起動と実行に必要な最小限のコードを提供するパッケージが含まれています。 

5.3G バイト 

コアシステムサポート 

ネットワークに接続された Solaris システムの起動と実行に必要な最小限のコードを提供するパッケージが含まれています。 

2.0G バイト 

限定ネットワークシステムサポート 

ネットワークサービスのサポートが限定された Solaris システムを起動および実行するために必要な最小限のコードを提供するパッケージが含まれています。Reduced Networking サポートは、テキストベースのマルチユーザーコンソールと、システム管理ユーティリティーを提供します。このソフトウェアグループを使用すると、システムでネットワークインタフェースを認識できますが、ネットワークサービスがアクティブになることはありません。 

2.0G バイト