Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 インストールガイド

ZIP 形式の配布を使用して Directory Server Enterprise Edition をインストールする

インストールプロセス中に、Directory Server Enterprise Edition がコンピュータにすでにインストールされていることが dsee_deploy によって検出された場合は、以前のインストールが自動的にアップグレードされます。Directory Server Enterprise Edition インストールディレクトリが存在する場合は Directory Server Enterprise Edition 6.3 にアップグレードする前にバックアップします。あとで以前の Directory Server Enterprise Edition インストールを復元することはできません。

Directory Server Enterprise Edition 6.3 の ZIP バージョンにより、Directory Server Enterprise Edition の以前の部分インストールはすべて削除されます。

ZIP 形式の配布は、root 以外のユーザーとしてインストールできます。

ProcedureZIP 形式の配布から Directory Server Enterprise Edition 6.3 をインストールする

始める前に

SuSE Linux の場合:

HP-UX の場合:

ZIP 形式の配布でのパッチの表

使用しているシステムに適した ZIP 形式のパッチに関する情報については、次の表を参照してください。新しいパッチバージョンが利用可能になった場合は、表に示すバージョンではなく新しいバージョンを使用してください。

オペレーティングシステム 

パッチ番号 

Solaris SPARC 

126748-04

Solaris 9 x86 

126749-04

Solaris 10 x86 および AMD x64 

126750-04

Red Hat Linux 

126751-04

SuSE Linux 

126751-04

HP-UX 

126752-04

Windows 

126753-04

すべての多言語ファイルが上記のパッチに含まれています。

インストールを開始する前に、次のワークシートに記入します。

必要な情報 

ヒント 

実際の設定値 

次の項目をインストールするシステムの完全修飾ホスト名 

例:  

 
  • Directory Server

  • Directory Proxy Server

  • ds.example.com

  • dps.example.com

 

(省略可能) Directory Service Control Center からのアクセスに使用する共通エージェントコンテナのポート番号 

デフォルト: 11162

 

次の項目のインスタンスを作成するファイルシステムのパス 

例:  

 
  • Directory Server

  • Directory Proxy Server

  • /local/ds/

  • /local/dps/

インスタンスを作成できるのはローカルファイルシステム上のみです。NFS などのネットワークマウントのファイルシステム上に作成しないでください。 

各パスは、以後 instance-path と呼ばれます。

 

LDAP ポート番号 

デフォルト: root でインストールする場合は 389root 以外でインストールする場合は 1389

 

LDAP または SSL のポート番号 

デフォルト: root でインストールする場合は 636root 以外でインストールする場合は 1636

 

ディレクトリマネージャー DN 

デフォルト: cn=Directory Manager

 

ディレクトリプロキシマネージャー DN 

デフォルト: cn=Proxy Manager

 

ディレクトリマネージャーのパスワード 

8 文字以上を指定します 

 

ディレクトリプロキシマネージャーのパスワード 

8 文字以上を指定します 

 

ベースサフィックス DN 

例: dc=example,dc=com

 

(UNIX システム) サーバーユーザー (uid)

例: noaccess

 

(UNIX システム) サーバーグループ (gid)

例: noaccess

 

(省略可能) 各サーバーがプロキシ経由でアクセスするための接続情報 

例: ds1.example.com:1389ds2.example.com:1636

 

デフォルトで、ZIP 形式のインストールの場合のユーザーおよびグループ ID は、インストールを実行するユーザーの ID になります。

  1. このインストール用に ZIP 形式の配布を入手します。

  2. 使用しているプラットフォームで必要なパッチまたはサービスパックをインストールします。

    『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.3 リリースノート』「オペレーティングシステムの要件」を参照してください。

  3. dsee_deploy コマンドを含む ZIP 配布ディレクトリに変更します。

  4. dsee_deploy(1M) コマンドを使用し、ソフトウェアをインストールします。


    $ ./dsee_deploy install -i install-path options
    

    Windows の場合は、dsee_deploy コマンドが格納されている ZIP 形式の配布のフォルダを参照し、次のコマンドを実行します。


    dsee_deploy install -i install-path options
    

    たとえば、次のコマンドを実行すると、/local ディレクトリにコンポーネントがインストールされます。このとき、このディレクトリに対して書き込みアクセス権を持っていることが前提となります。


    $ ./dsee_deploy install -i /local
    

    --no-inter オプションを使用して、非対話モードでインストールすることもできます。この場合、確認なしでライセンスを受諾します。非対話モードは、サイレントインストールを行う場合に特に便利です。

    この手順によって、共通エージェントコンテナ、cacao、およびローカルの Directory Service Control Center エージェントがインストールされるので、DSCC を使用してサーバーインスタンスを作成できるようになります。以前のコマンドは、デフォルトのポート11162 を使用して共通エージェントコンテナをインストールしていない場合のみ正しく動作します。

    以前に同じシステム上に DSCC をインストールしている場合、デフォルトポートを使用する共通エージェントコンテナがすでにインストールされています。-p オプションを使用して別のポートを指定します。


    $ ./dsee_deploy install -i /local -p 11169
    

    インストールプロセス中に、WAR ファイルがシステムに保存されます。WAR ファイルには、アプリケーションサーバーで配備されたときに Web コンソールを使用したサーバーインスタンスへのアクセスおよび管理を可能にする、DSCC Web アプリケーションが格納されています。機能は、ネイティブパッケージの場合の DSCC と似ています。WAR ファイルの詳細は、「ZIP 形式の配布から Directory Service Control Center をインストールする」を参照してください。

    インストールプロセス中に、多言語パッケージもインストールされます。

  5. (省略可能) ディレクトリ内のサンプルデータをロードします。

    コマンド行ツールを使用するサンプルは、使用しているディレクトリの dc=example,dc=com サフィックスに存在するサンプルデータを使用します。

    dc=example,dc=com サフィックスを作成することで、必要なデータの一部を設定できます。これで、サフィックスに ds6/ldif/Example.ldif ファイルのエントリを設定できます。

    1. 新しい Directory Server インスタンスを作成して、インスタンスを起動します。


      $ dsadm create -p port -P SSL-port instance-path
      $ dsadm start instance-path
      
    2. Example.ldif ファイルで、サンプルで必要なバインドパスワードを確認します。

    3. 次のコマンドを実行し、サフィックスを作成して Example.ldif の内容をディレクトリにロードします。


      $ dsconf create-suffix -h localhost -p 1389 dc=example,dc=com
      $ dsconf import -h localhost -p 1389 install-path/ds6/ldif/Example.ldif \
      dc=example,dc=com

      詳細は、「コマンド行から Directory Server インスタンスを作成する」を参照してください。

    4. makeldif(1) コマンドと次のテンプレートを使用して、サンプル用のテストデータを生成します。

      define suffix=dc=example,dc=com
      define maildomain=example.com
      
      branch: ou=test,[suffix]
      subordinateTemplate: person:100
      
      template: person
      rdnAttr: uid
      objectclass: top
      objectclass: person
      objectclass: organizationalPerson
      objectclass: inetOrgPerson
      givenName: <first>
      sn: <last>
      cn: {givenName} {sn}
      initials: {givenName:1}{sn:1}
      employeeNumber: <sequential>
      uid: test{employeeNumber}
      mail: {uid}@[maildomain]
      userPassword: auth{employeeNumber}{employeeNumber}
      telephoneNumber: <random>
      description: This is the description for {cn}.
    5. テンプレートの内容を template.ldif にコピーし、次のようなコマンドを使用して test.ldif にデータを生成し、その内容をディレクトリにロードします。


      $ cd install-path/dsrk6/bin/example_files/
      $ ../makeldif -t test.template -o test.ldif
      Processing complete.
      101 total entries written.
      $ ../ldapmodify -a -c -D uid=hmiller,dc=example,dc=com -w - -f test.ldif
      Enter bind password:
      …

      Example.ldif を参照すると、hmiller のパスワードが hillock であることがわかります。

次の手順

ソフトウェアのインストール後に、「環境変数」を参照してください。

ZIP 形式の配布から Directory Service Control Center をインストールする

Directory Server Enterprise Edition の ZIP 形式の配布には、Directory Service Control Center (DSCC) Web アプリケーションを格納した WAR ファイル (dscc.war) が含まれます。WAR ファイルは、次の作業を実行できるように、アプリケーションサーバーとともに配備されます。

WAR ファイルでは、次のアプリケーションサーバーをサポートします。

次の 2 つの手順では、WAR ファイルをそれぞれ Sun Java System Application Server と Tomcat で配備する方法について説明します。

ProcedureSun Java System Application Server で WAR ファイルを配備する

Directory Server Enterprise Edition のインストール後、WAR ファイル dscc.war は次の場所にあります。


install-path/var/dscc6/
  1. DSCC レジストリを初期化します。


    $ install-path/dscc6/bin/dsccsetup ads-create
    Choose password for Directory Service Manager:
    Confirm password for Directory Service Manager:
    Creating DSCC registry...
    DSCC Registry has been created successfully
  2. アプリケーションサーバーインスタンスを作成します。


    $ mkdir /local/domainroot
    $ setenv AS_DOMAINS_ROOT /local/domainroot
    $ cd app-server-install-path/bin
    $ asadmin create-domain --domaindir ${AS_DOMAINS_ROOT} --adminport 3737 \
    --adminuser boss dscc
  3. server.policy ファイルを編集します。

    1. server.policy ファイルを開きます。


      $ vi ${AS_DOMAINS_ROOT}/dscc/config/server.policy
    2. 次の文を、ファイルの末尾に追加します。


      // Permissions for Directory Service Control Center
      grant codeBase "file:${com.sun.aas.instanceRoot}/applications/j2ee-modules/dscc/-" 
      {
      	permission java.security.AllPermission;
      };

    これでアプリケーションサーバーが設定されて、すべての Java アクセス権が DSCC アプリケーションに付与されます。

  4. アプリケーションサーバーインスタンスに WAR ファイルを配備します。


    $ asadmin start-domain --domaindir ${AS_DOMAINS_ROOT} --user username dscc 
    $ cp install-path/var/dscc6/dscc.war ${AS_DOMAINS_ROOT}/dscc/autodeploy

    アプリケーションサーバーインスタンスの作成と設定、および WAR ファイルの配備についての詳細は、Sun Java System Application Server のオンラインヘルプを参照してください。

  5. DSCC を開きます。

    アプリケーションサーバーの設定に応じて、http://hostname:8080/dscc または https://hostname:8181/dscc を使用します。

    Directory Service Manager のログインページが表示されます。

    「Directory Service Control Center を使い始める」を参照してください。

ProcedureTomcat で WAR ファイルを配備する

Directory Server Enterprise Edition のインストール後、WAR ファイル dscc.warinstall-path/var/dscc6/ にあります。

dscc.war は、ほかの Web アプリケーションと同様の方法でインストールしますが、次の設定が異なります。

Solaris 10 システムの Tomcat で DSCC をインストールする方法について次の例に示します。

  1. DSCC レジストリを初期化します。


    $ install-path/dscc6/bin/dsccsetup ads-create
    Choose password for Directory Service Manager:
    Confirm password for Directory Service Manager:
    Creating DSCC registry...
    DSCC Registry has been created successfully
  2. Tomcat インストールおよびインスタンスを特定します。


    $ setenv CATALINA_HOME tomcat-install-path
    $ setenv CATALINA_BASE tomcat-instance-path
    $ setenv JAVA_HOME jdk-home-dir
    

    Tomcat のインストールおよびインスタンスの作成については、Tomcat のドキュメントを参照してください。

  3. WAR ファイルを配備します。

    次のようにして dscc ディレクトリを作成します。


    $ mkdir ${CATALINA_BASE}/webapps/dscc

    dscc.war ファイルを新しく作成した dscc フォルダにコピーし、dscc.war ファイルを解凍します。


    $ unzip -d ${CATALINA_BASE}/webapps/dscc install-path/var/dscc6/dscc.war

    次に示す強調表示されたテキストを ${CATALINA_BASE}/conf/web.xml ファイルに追加します。


     ...
        <servlet>
            <servlet-name>jsp</servlet-name>
            <servlet-class>org.apache.jasper.servlet.JspServlet</servlet-class>
            <init-param>
                <param-name>fork</param-name>
                <param-value>false</param-value>
            </init-param>
            <init-param>
                <param-name>xpoweredBy</param-name>
                <param-value>false</param-value>
            </init-param>
    	...
            <init-param>
                <param-name>enablePooling</param-name>
                <param-value>false</param-value>
            </init-param>
            <load-on-startup>3</load-on-startup>
        </servlet>
        ....

    startup.sh (Windows の場合は tomcat5.exe) のアクセス権を確認し、次のコマンドを実行します。


    $ ${CATALINA_HOME}/bin/startup.sh
  4. http://hostname:8080/dscc を使用して DSCC に接続します。

    Directory Service Manager のログインページが表示されます。

    「Directory Service Control Center を使い始める」を参照してください。

ProcedureZIP 形式の配布から Directory Server Enterprise Edition をアップグレードする

始める前に

Directory Server Enterprise Edition インストールをアップグレードする手順と違いはありませんが、正確には、以前のインストールが検出された場合は dsee_deploy コマンドによってインストールが自動的に更新されます。ただし SuSE Linux 9 および HP-UX の場合は、Directory Server Enterprise Edition インストールをアップグレードする前に、オペレーティングシステムをそれぞれ SuSE Linux 9 SP4 および HP-UX 11.23 にアップグレードします。Directory Server Enterprise Edition インストールを 6.3 に正常にアップグレードする方法については、次の手順を参照してください。

  1. パッチ対象のインストールを使用して作成された cacao、Directory Server、および Directory Proxy Server の実行中のインスタンスを停止します。また、WAR ファイルと DSCC レジストリ用のアプリケーションサーバーも停止します。

  2. SuSE Linux 9 および HP-UX の場合は、オペレーティングシステムをアップグレードします。

    • Directory Server Enterprise Edition 6.2 インストールを 6.3 にアップグレードするために、SuSE Linux 9 SP3 を SuSE Linux 9 SP4 にアップグレードします。

      SuSE 64 ビットの場合、cacao が起動するには .pam-32bit-9-yyyymmddhhmm.rpm が必要です。システムにまだインストールされていない場合は、インストールしてください。

    • Directory Server Enterprise Edition 6.0 または 6.1 インストールを 6.3 にアップグレードするために、HP-UX 11.11 を HP-UX 11.23 にアップグレードします。

    オペレーティングシステムをアップグレードする方法、Directory Server Enterprise Edition のインストールされるパーティションを保持する方法、最新のパッチバンドルの入手先については、それぞれのドキュメントを参照してください。

  3. Directory Server Enterprise Edition を 6.3 にアップグレードします。

    • Directory Server Enterprise Edition 6.3 の ZIP 形式の配布から dsee_deploy コマンドを使用します。install-path と cacao ポートは、以前のインストールと同じ設定にします。dsee_deploy コマンドにより、cacao および DSCC レジストリが再起動されます。

      詳細については、「ZIP 形式の配布から Directory Server Enterprise Edition 6.3 をインストールする」を参照してください。

    • 次のコマンドを使用して、アプリケーションサーバーに dscc.war ファイルを配備します。

      詳細については、Sun Java System Application Server の場合は手順 4、Tomcat アプリケーションサーバーの場合は手順 3 を参照してください。

    • Directory Server インスタンス、Directory Proxy Server インスタンス、および WAR ファイル用のアプリケーションサーバーを再起動します。

  4. オペレーティングシステムのアップグレードと Directory Server Enterprise Edition のインストールの両方を終えた場合のみ、デーモンを起動します。

参照

サポートされるほかのオペレーティングシステムで Directory Server Enterprise Edition を 6.3 にアップグレードする場合の手順は、インストール手順と似ています。詳細については、「ZIP 形式の配布から Directory Server Enterprise Edition 6.3 をインストールする」を参照してください。