ここでは、Calendar Server 6.3 をインストールする前に知っておくべき情報について説明します。次の節が含まれます。
Calendar Server では、NFS (Network File System) でマウントされたパーティションはサポートされていません。Calendar Server のいかなる部分も (実行可能ファイル、データベースファイル、設定ファイル、データファイル、一時ファイル、ログファイルを含む)、NFS でマウントされたパーティションにインストールしたり作成したりしないでください。
Java Enterprise System は Linux プラットフォームで実行できます。ユーザーの観点からの主な違いは、製品ディレクトリのインストール先のパス名です。Linux プラットフォームでは、Solaris プラットフォームとは異なるディレクトリにインストールされます。
次の表に、Solaris および Linux のデフォルトのインストールディレクトリパスを示します。
Solaris のデフォルトディレクトリ |
Linux のデフォルトディレクトリ |
---|---|
/opt/SUNWics5/cal/ (cal-svr-base) |
/opt/sun/calendar (cal-svr-base) |
/etc/opt/SUNWics5/config |
/etc/opt/sun/calendar/config |
/var/opt/SUNWics5/ |
/var/opt/sun/calendar |
マニュアルでは、Calendar Server のデフォルトのインストールディレクトリは、cal-svr-base として参照されています。
Calendar Server をインストールする前に、必須のオペレーティングシステムパッチを適用する必要があります。必須パッチのリストについては、『Sun Java Enterprise System 5 リリースノート (UNIX 版)』を参照してください。
Solaris システムで Sun Java Enterprise System インストーラまたは Calendar Server 6.3 設定プログラムを実行するには、スーパーユーザー (root) としてログインするか、スーパーユーザーになります。
Sun Java Enterprise System インストーラを使用して Calendar Server 6.3 をインストールします。Java Enterprise System インストーラは、Calendar Server 6.3 およびさまざまな製品で使用される共有コンポーネントを含む Sun コンポーネントの製品パッケージをインストールします。
次のリストに、さまざまな Calendar Server 関連のコンポーネントの Linux パッケージ名を示します。
コンポーネント |
パッケージ名 |
---|---|
Calendar Server |
sun_calendar-core sun-calendar-api |
ローカライズされたパッケージ: |
|
スペイン語 |
sun-calendar-core-es |
韓国語 |
sun-calendar-core-ko |
フランス語 |
sun-calendar-core-fr |
中国語 |
sun-calendar-core-zh_CN |
ドイツ語 |
sun-calendar-core-de |
日本語 |
sun-calendar-core-ja |
繁体字中国語 |
sun-calendar-core-zh_TW |
Sun Java System Communications Suite インストーラを使用して Calendar Server version 6.3 にアップグレードすることはできません。patchadd プロセスを使用する必要があります。
Calendar Server 6.3 のアップグレードの詳細については、『Sun Java Communications Suite 5 アップグレードガイド』を参照してください。
Calendar Server 6.3 にアップグレードしたあとに、この節で示されているさまざまなデータベースツールを使用して、データベースもアップグレードする必要があります。移行ツールの詳細については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。
ここでは、次の内容について説明します。
以前の Calendar Server ソフトウェアのバージョンが 5.1.1 よりも前である場合は、まず、データベースの Calendar Server 5.1.1 互換への移行をテクニカルサポートに依頼してください。Calendar Server version 6 リリースのいずれかに直接移行することはできません。テクニカルサポートの推奨するプロセスでは、Calendar Server 5.1.1 をインストールする必要があります。データベースファイルが Calendar Server 5.1.1 互換になったあとに、Calendar Server 6.3 をインストールして、次のデータベースツールを次に示された順序で実行してください。
このユーティリティーを実行して、データベースをバージョン 5.1.1 からバージョン 6.2 レベルにアップグレードします。これは、csmigrate ユーティリティーを実行してバージョン 6.3 レベルに移行する前に必要な中間手順です。cs5migrate ユーティリティーは、Calendar Server 6.3 のインストール後に、sbin ディレクトリに格納されています。
-r オプションを指定する必要があります。これにより、cs5migrate ユーティリティーは、すべての定期的な予定と作業用のマスターおよび例外レコードを作成します。将来、これらのレコードは Calendar Server により自動的に生成されます。
このユーティリティーは、データベースに対し次の変更を実行します。
Calendar Server 5.1.1 LDAP データベースの Calendar Server 6.2 互換への移行。
Berkeley データベースのバージョン 4.2 への移行。
ログファイル csmigrate.log への移行ステータスの書き込み。
ログファイル csmigrateerror.log へのエラーの書き込み。
このユーティリティーを実行すると、LDAP CLD プラグインが適切に動作します。
このユーティリティーを実行して、非ドメインのカレンダデータベースを、複数ドメイン環境と互換性のある単一のドメインのデータベースに移行します。
現時点では、Calendar Server データベースはバージョン 6.2 モードです。csmigrate ユーティリティーを実行して、Calendar Server 6.2 データベースを Calendar Server version 6.3 互換に移行します。
csmigrate ユーティリティーは、そのほかの管理ツールとともに、新たにインストールした Calendar Server 6.3 ソフトウェアの sbin ディレクトリにあります。csmigrate の詳細については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。
限定仮想ドメインモードに設定されている Calendar Server のさらに古いバージョンからアップグレードする場合、または Calendar Server の複数のインスタンスが同一マシンにある場合は、移行要件に関してご購入先の顧客サービス担当者に確認し、それらの要件をサポートする特定の移行ユーティリティー手元にあることを確認してください。
また、最初にフルバックアップを取らずにデータベースを移行することは絶対にしないでください。
csmigrate を実行して、カレンダデータベースをバージョン 6.3 レベルにアップグレードします。
csmigrate ユーティリティーは、そのほかの管理ツールとともに、新たにインストールした Calendar Server 6.3 ソフトウェアの sbin ディレクトリにあります。csmigrate の詳細については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。
Calendar Server 6.3 のインストールまたは Calendar Server 6.3 へのアップグレードを実行したあとは、Calendar Server を使用する前に、次の方法で設定を行う必要があります。
Directory Server セットアップスクリプト (comm_dssetup.pl) を実行して、Sun Java System Directory Server for Calendar Server スキーマを設定します。手順については、『Sun Java Communications Suite 5 インストールガイド』の第 8 章「Directory Preparation Tool (comm_dssetup.pl) 」を参照してください。
Calendar Server 設定プログラム (csconfigurator.sh) を実行して、使用しているサイトの特定の要件を設定します。手順については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。
次の表に、Solaris および Linux の各プラットフォームのマニュアルで言及されているさまざまなファイルおよびプログラムの場所を示します。
ファイル名 |
Solaris の場合の場所 |
Linux の場所 |
---|---|---|
管理者用ユーティリティー: start-cal、stop-cal、csattribute、csbackup、cscal、cscomponents、csdb、csdomain、csexport、csimport、csmonitor、csplugin、cspurge、csrename、csresource、csrestore、csschedule、csstats、cstool、csuser |
/opt/SUNWics5/cal/sbin |
/opt/sun/calendar/sbin |
移行ユーティリティー: csmig、csvdmig |
/opt/SUNWics5/cal/sbin |
/opt/sun/calendar/sbin |
構成ファイル: ics.conf、version.conf、counter.conf、sslpassword.conf |
インストール後のファイルの場所: /opt/SUNWics5/cal/ config-template 設定中は、前述のディレクトリに含まれるさまざまなファイルが、選択した設定オプションで指定された場所に移動されます。デフォルトの場所は次に示すとおりです。/etc/opt/SunWics5/config |
インストール後のファイルの場所: /opt/sun/calendar/ config-template 設定中は、前述のディレクトリに含まれるさまざまなファイルが、選択した設定オプションで指定された場所に移動されます。 |
Mail 形式 (*.fmt) ファイル |
インストール後のファイルの場所: /opt/SUNWics5/cal/ config-template 設定後のファイルの場所: /etc/opt/SUNWics5/config/language language は、en、de、es、fr、ja、ko、zh-TW、または zh-CN です。 |
インストール後のファイルの場所: /opt/sun/calendar/ config-template 設定後のファイルの場所: /etc/opt/sun/calendar/config/ language language は、en、de、es、fr、ja、ko、zh-TW、または zh-CN です。 |
ライブラリ (.so) ファイル SSL ユーティリティー: certutil、modutil |
/opt/SUNWics5/cal/lib |
/opt/sun/calendar/lib |
セッションデータベース |
/opt/SUNWics5/cal/data/ http |
/opt/sun/calendar/data/http |
カウンタ統計情報ファイル: counter、counter.dbstat |
/opt/SUNWics5/cal/lib/ counter |
/opt/sun/calendar/lib/ counter |
timezones.ics ファイル |
/opt/SUNWics5/cal/config |
/opt/sun/calendar/config |
LDAP Directory Server のパフォーマンスを向上させたい場合、特に LDAP ディレクトリのカレンダ検索を使用している場合は、次の点を考慮してください。
Calendar Server が LDAP Directory Server アクセスするときのパフォーマンスを向上させるには、LDAP 設定ファイルの各種属性にインデックスを追加します。
設定プログラム comm_dssetup.pl は、オプションでインデックス作成を行います。
インデックス作成によってパフォーマンスがどれだけ変わったかを調べるには、次のテストを実行します。
インデックス作成を実行する前に、次の LDAP コマンドの実行に要する時間を計測します。
ldapsearch -b "base" "(&(icscalendarowned=* user*)(objectclass=icsCalendarUser))" |
ここで、base は、Calendar Server のユーザーとリソースのデータが格納されている Directory Server の LDAP ベース DN です。user は、一般ユーザーが「カレンダ検索」ダイアログで入力できる値です。
icsCalendarOwned のインデックス作成を実行します。
再度 LDAP コマンドを実行して、時間を計測します。
ldapsearch -b "base" "(&(icscalendarowned=*user*)(objectclass=icsCalendarUser))" |
ここで、base は、Calendar Server のユーザーとリソースのデータが格納されている Directory Server の LDAP ベース DN です。user は、一般ユーザーが「カレンダ検索」ダイアログで入力できる値です。
時間を比較します。2 つの時間に測定可能な差異が存在するはずです。
ルックスルー制限 (nsslapd-lookthroughlimit) パラメータとサイズ制限 (nsslapd-sizelimit) パラメータが適切な値に設定されているかどうかを確認するには、次のコマンドを実行します。
ldapsearch -b "base" "(&(icscalendarowned=* user ID*) (objectclass=icsCalendarUser))"
ここで、base は Calendar Server のユーザーとリソースのデータが格納されている Directory Server の LDAP ベース DN です。user ID は、一般ユーザーが Communications Express の「カレンダ検索」ダイアログで入力可能な値です。
LDAP サーバーがエラーを返す場合は、nsslapd-sizelimit または nsslapd-lookthroughlimit パラメータの大きさが十分でない可能性があります。次のガイドラインに従って、これらのパラメータを設定してください。
slapd.conf ファイルまたは同等のファイルの nsslapd-sizelimit パラメータの値は、必要な結果をすべて返すのに十分な大きさにする必要があります。大きさが十分でない場合、切り捨てが実行され、結果が表示されないことがあります。
slapd.ldbm.conf ファイルまたは同等のファイルの nsslapd-lookthroughlimit パラメータの値は、LDAP ディレクトリ内のすべてのユーザーとリソースの検索を完了するのに十分な大きさにする必要があります。可能な場合は、nsslapd-lookthroughlimit を -1 に設定します。そうすると、検索に制限がなくなります。
Communications Express のスキーマ 1 には 2 つの問題点があります。
Communications Express を Sun LDAP スキーマ 1 とともに使用する場合は、Communications Express 設定プログラムの実行前に、ldapmodify を使用して DC ルートノードを LDAP に追加する必要があります。エントリは次のようになります。
dn: o=internet objectClass: organization o: internet description: Root level node in the Domain Component (DC) tree
スキーマ 1 のユーザーの作成に使用するカレンダユーティリティーの csuser は、Calendar Express 用に設計されており、Communications Express に必要なアドレス帳サービスのユーザーをサポートしていません。
Calendar Server 用のユーザー、グループ、 ドメインのプロビジョニングツールには、Delegated Administrator ユーティリティーと Calendar Server ユーティリティーの 2 つがあります。Delegated Administrator には、グラフィカルユーザーインタフェースである Console と、コマンド行インタフェースである Utility の 2 つのインタフェースがあります。Delegated Administrator の詳細は、『 Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 Delegated 管理ガイド』を参照してください。Console の使用方法については、Delegated Administrator Console オンラインヘルプを参照してください。
Calendar Server ユーティリティーの詳細については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド』を参照してください。
ユーザーのプロビジョニングを Access Manager Console から行わないでください。Access Manager Console でユーザーを作成してカレンダサービスを割り当てることは可能ですが、この方法を使用すると、配備に対して予期しない悪影響が及ぼされる可能性があります。