Sun Java System Messaging Server 6.3 管理ガイド

14.3.1 Brightmail の機能

Brightmail サーバーは顧客のサイトに配備されます。Brightmail では、電子メールプローブがインターネット周辺に配置され、新しいスパムを検出します。Brightmail の技術者はリアルタイムでこのスパムを阻止するカスタムルールを作成します。ルールは Brightmail サーバーにダウンロードされます。これもリアルタイムで行われます。Brightmail のデータベースは更新され、Brightmail サーバーは特定のユーザーまたはドメインの電子メールに対してこのデータベースフィルタを使用します。

14.3.1.1 Brightmail のアーキテクチャー

図 14–1 に、Brightmail のアーキテクチャーを示します。

図 14–1 Brightmail と Messaging Server のアーキテクチャー

図は Brightmail と Messaging Server のアーキテクチャーを示しています。

Brightmail Logistics and Operations Center (BLOC) が電子メールプローブからスパムを受信すると、オペレータがただちに適切なスパムフィルタ処理ルールを作成します。作成されたルールは、Brightmail の顧客のマシンにダウンロードされます。同様に、Symantec Security Response のリアルタイムのウイルスルールが Brightmail から送信されます。これらのルールは顧客の Brightmail サーバーでスパムやウイルスを検出するために使用されます。

MTA は Brightmail SDK を使用して Brightmail サーバーと通信します。MTA は Brightmail からの応答に基づいてメッセージを送信します。MTA はメール (1a) または (1b) を受信すると、Brightmail サーバー (2) にメッセージを送信します。Brightmail サーバーはルールとデータを使用してメッセージがスパムやウイルスであるかどうか判断し (3)、判定を MTA に返します。その判定に基づいて、MTA はメッセージを破棄するか、フォルダに保存するか (4a)、通常どおり宛先に配信するか (4b) のいずれかを実行します。

Brightmail SDK はサードパーティーのソフトウェアなので、Sun のインストールキットには含まれていません。Brightmail SDK およびサーバーソフトウェアは、Brightmail Inc. から入手する必要があります。MTA には、Brightmail を統合するために Brightmail SDK をロードするかどうか、どこにロードするかを指定する構成設定があります。

SDK がロードされると、Brightmail のメッセージ処理は複数の係数と細分度 (アクティブな処理が optin であることを示す、Brightmail で使用される用語) によって決定されます。これは、次の基準に基づいて示されます。

各メッセージ受取人にとっては、上記の optin とデフォルトは組み合わされています。つまり、チャネルのデフォルトがすでにスパムとウイルスの両方に対して指定されていれば、ユーザー単位の optin は不要になります。言い換えると、システム管理者が全員に対してスパムとウイルスのフィルタ処理を行うことを決定すれば、ユーザーにスパムやウイルスの対策を選択させる必要はないということです。システムまたはドメインオプションによってすでにユーザーが optin している場合、処理を optin 解除する (そのサービスを不要とする) ことはできません。また、サービスを optin していて、別のアドレスにメールを転送した場合、そのアドレスはフィルタ処理が実行されたあとにメールを受信します。

提供されるサービスは、ウイルス検出またはスパム検出の 2 つのみです。Brightmail では、「content-filtering」サービスも提供されますが、この機能は Sieve を使用して提供されるため、Brightmail で Sieve フィルタ処理を実行した場合の付加価値はありません。

メッセージにウイルスが含まれていると判明した場合は、ウイルスを除去するように Brightmail サーバーを設定でき、これによって除去済みのメッセージが MTA に再送信されます。ウイルス除去済みのメッセージが再送信されると、元のメッセージから情報が失われることによって生じる副次的な悪影響があるため、MTA に除去済みのメッセージを再送信しないように Brightmail を設定することをお勧めします。メッセージがスパムである場合、Brightmail からその設定とともに返された判定に基づいて、MTA はメッセージの処理を決定できます。メッセージは、破棄したり、フォルダにファイリングしたり、件名にスパムまたはウイルスとしてタグ付けしたり、Sieve ルールに渡したり、通常どおり INBOX に配信したりできます。

Brightmail サーバーは、MTA と同一システム上に配置することも、別のシステムに配置することもできます。任意の数の MTA を実行する Brightmail サーバーのファームを構築することもできます。Brightmail SDK では、Brightmail 設定ファイルによって使用する Brightmail サーバーが決定されます。