この節では、メールボックスの管理および監視を行う次のユーティリティーについて説明します。 mboxutil、hashdir、readership。
メールボックスの一般的な保守タスクを実行する場合は、mboxutil コマンドを使用します。mboxutil で実行できるタスクは次のとおりです。
メールボックスの一覧表示
孤立メールボックスおよび非アクティブメールボックスの一覧表示と削除
メールボックスの作成
メールボックスの名前変更
パーティション間のメールボックスの移動
メールボックスの削除
まだ消去されていない削除済みメッセージの復元
個人メールボックス登録と存在しない未登録メールボックスの一覧表示
また、mboxutil コマンドを使用して制限容量に関する情報を表示することもできます。詳細については、「20.11.4 制限容量を監視する」を参照してください。
mboxutil プロセスを実行途中で強制終了しないでください。SIGKILL (kill -9) で強制終了すると、各サーバーを再起動し、回復処理を行わなければならないことがあります。
構文の詳細と使用の要件については、『Sun Java System Messaging Server 6.3 Administration Reference』の「mboxutil」を参照してください。
全ユーザーの全メールボックスを一覧表示するには、次のように入力します。
mboxutil -l
すべてのメールボックスを、パスと ACL の情報とともに一覧表示するには、次のように入力します。
mboxutil -l -x
ユーザー daphne に対し、INBOX というデフォルトのメールボックスを作成するには、次のように入力します。
mboxutil -c user/daphne/INBOX
ユーザー delilah に対し、projx という名前のメールフォルダを削除するには、次のように入力します。
mboxutil -d user/delilah/projx
ユーザー druscilla について、INBOX というデフォルトのメールボックスとすべてのメールフォルダを削除するには、次のように入力します。
mboxutil -d user/druscilla/INBOX
ユーザー desdemona の memos というメールフォルダの名前を、memos-april という名前に変更するには、次のように入力します。
mboxutil -r user/desdemona/memos user/desdemona/memos-april
ユーザー dimitria のメールアカウントを新しいパーティションに移動するには、次のように入力します。
mboxutil -r user/dimitria/INBOX user/dimitria/INBOX partition
この場合、partition には新しいパーティションの名前を指定します。
ユーザー dimitria のメールフォルダ personal を新しいパーティションに移動するには、次のように入力します。
mboxutil -r user/dimitria/personal user/dimitria/personal partition
孤立アカウント (対応するエントリが LDAP にないメールボックス) を検索するには、次のコマンドを使用します。
mboxutil -o |
コマンド出力が次のように続きます。
mboxutil: Start checking for orphaned mailboxes user/annie/INBOX user/oliver/INBOX mboxutil: Found 2 orphaned mailbox(es) mboxutil: Done checking for orphaned mailboxes
次のコマンドで作成したファイルは、孤立メールボックスを削除するスクリプトファイルにすることができます。この例では、ファイル名は orphans.cmd です。
mboxutil -o -w orphans.cmd |
コマンド出力は次のとおりです。
mboxutil: Start checking for orphaned mailboxes mboxutil: Found 2 orphaned mailbox(es) mboxutil: Done checking for orphaned mailboxes
次のコマンドを使用して孤立したファイルを削除します。
mboxutil -d -f orphans.cmd |
メッセージストア内のメールボックスは、高速で検索できるようにハッシュ構造で保存されています。したがって、特定のユーザーのメールボックスを格納するディレクトリを検索するには、hashdir ユーティリティーを使用します。
このユーティリティーは、特定のアカウントのメッセージストアを含むディレクトリを識別します。また、メッセージストアへの相対パス (d1/a7/ など) をレポートします。このパスは、ユーザー ID に基づくディレクトリの 1 つ上のディレクトリレベルを基準にしたものです。このユーティリティーによってパス情報が標準出力に送られます。
たとえば、ユーザー crowe のメールボックスへの相対パスを検索する場合は次のようになります。
hashdir crowe
readership ユーティリティーは、メールボックスの所有者以外に、何人のユーザーが共有 IMAP フォルダ内のメッセージを読んだかを報告するユーティリティーです。
IMAP フォルダの所有者は、フォルダ内のメールを読む権限をほかのユーザーに与えることができます。ほかのユーザーにアクセス権が与えられたフォルダは、「共有フォルダ」と呼ばれます。管理者は readership ユーティリティーを使用して、所有者以外に何人のユーザーが共有フォルダにアクセスしたかを表示することができます。
このユーティリティーは、すべてのメールボックスをスキャンして、各共有フォルダにつき 1 行ずつ、アクセスしたユーザー数とメールボックスの名前を表示させます。ユーザー数とメールボックスの名前の間にはスペースが挿入されます。
アクセスしたユーザーとは、過去の指定した日数内に共有フォルダを選択した、個別の認証を受けたユーザーのことです。自分の個人用メールボックスを読んだユーザーは、数には含められません。個人用メールボックスは、フォルダの所有者以外に購読者がいない場合は報告されません。
たとえば次のコマンドでは、最近の 15 日以内に共有の IMAP フォルダを選択したユーザーをすべてカウントします。
readership -d 15