Sun Java System Messaging Server 6.3 管理ガイド

12.5.9 複数アドレスの拡張

キーワード: expandlimitexpandchannelholdlimit

ほとんどのチャネルでは、複数の受取人アドレスを持つメッセージの転送がサポートされています。ただし、1 つのメッセージに多くの受取人アドレスが指定されていると、メッセージ転送処理に遅延 (オンライン遅延) が生じる場合があります。遅延時間が長いとネットワークのタイムアウトが発生し、メッセージの重複送信やその他の問題が発生する可能性があります。

MTA は、1 つのメッセージに特定数以上のアドレスが指定されている場合に配信を遅らせて処理 (オフライン処理) することができます。この方法によって、オンライン遅延を大きく軽減することが可能です。処理のオーバーヘッドを遅らせることはできますが、遅延を完全に回避することはできません。

この機能を有効にするには、たとえば一般的な reprocessing チャネルと expandlimit キーワードを使用します。expandlimit キーワードは、オフライン処理を開始するまでにチャネルから受け入れることのできるメッセージのアドレス数の上限を示す整数の引数をとります。expandlimit キーワードが設定されていない場合のデフォルトは無限大です。引数の値を 0 にすると、そのチャネルで着信したすべてのメッセージがオフラインで処理されます。

expandlimit キーワードは、ローカルチャネルおよび reprocessing チャネルには使用できません。使用すると、予測できない事態が発生する可能性があります。

オフライン処理を行うチャネルを指定するには、expandchannel キーワードを使用します。特に設定を変更しないかぎり、expandchannel が設定されていない場合は reprocessing チャネルが使用されますが、特別な目的のためにはその他の reprocessing チャネルまたは processing チャネルを設定することもできます。expandchannel を使ってオフライン処理を行うチャネルを指定する場合、reprocessing チャネルまたは processing チャネル以外のチャネルを使用することはできません。その他のチャネルを使用すると、予測できない事態が発生する可能性があります。

expandlimit キーワードを適切に機能させるには、reprocessing チャネル (またはオフライン処理を実行するその他のチャネル) を MTA 設定ファイルに追加する必要があります。ただし、MTA 設定ユーティリティーによって生成された設定ファイルを使用しているのであれば、その必要はありません。

非常に多くの宛先アドレスが指定されているのは、不特定多数宛メールの特徴です。holdlimit キーワードは、MTA が特定数以上の宛先アドレスを持つメッセージを受信した場合、そのメッセージを .HELD メッセージとして reprocess チャネル (または expandchannel キーワードが指定するチャネル) のキューに入れるように指示します。メッセージは MTA ポストマスターが手動で介入するまで reprocess キュー内で未処理のまま待機します。