Messaging Server には、Network Services Monitoring MIB (RFC 2788) と Mail Monitoring MIB (RFC 2789) という 2 つの標準化された MIB が実装されています。Network Services Monitoring MIB は POP、IMAP、HTTP、SMTP などのサーバーのネットワークサービスを監視するためのものです。Mail Monitoring MIB は MTA を監視するためのものです。Mail Monitoring MIB では、各 MTA チャネルのアクティブ状態と、その履歴を監視することができます。アクティブ状態の監視では、現在キューに入っているメッセージと開いているネットワーク接続に焦点があてられます。たとえば、キュー内にあるメッセージの数や、開いているネットワーク接続のソース IP アドレスなどです。一方、履歴の監視からは、累積による統計が提供されます。たとえば、処理したメッセージの合計数や、受信接続の合計数などです。
Messaging Server SNMP 監視機能の詳細については、RFC 2788 および RFC 2789 を参照してください。
SNMP は、Solaris および Red Hat Linux を実行するプラットフォームでサポートされています。Solaris 9 オペレーティングシステム上の Messaging Server は、Solstice Enterprise Agents (SEA) を使用しています。Solaris 10 オペレーティングシステム以降の Messaging Server では、オープンソースの Net-SNMP 監視フレームワークがサポートされ、Solaris 9 OS の Solstice Enterprise Agents (SEA) テクノロジはレガシー (サポート期間終了) ステータスに格下げされました。また、Net-SNMP は Linux プラットフォームで 広く使用されています。Messaging Server は、Solaris 10 以降および Linux プラットフォームで Net-SNMP ベースの SNMP サブエージェントを使用します。
Net-SNMP フレームワークの採用により、Messaging Server の SNMP サブエージェントは次の新機能を提供します。
SNMP バージョン 2c および 3 のサポート。このサポートは、Net-SNMP フレームワークによって提供されます。以前の SNMP テクノロジである Solstice Enterprise Agents では、SNMP バージョン 1 のみがサポートされていました。SNMP の新しい 2 つのバージョンの主な利点は、拡張されたセキュリティー機能とアクセス制御です。
「スタンドアロン」の SNMP エージェントとして実行されるようにサブエージェントを設定できます。これにより、同じシステム上で実行される各種の SNMP エージェントを特定する追加的な手段が提供されます。
同じシステム上で実行される Messaging Server の複数の「インスタンス」を同時に監視できます。このサポートは、前述の項目 2 または SNMP バージョン 3 の「コンテキスト名」を使用することによって提供されます。これにより、フェイルオーバークラスタ内での Messaging Server の SNMP 監視が可能になります。
Messaging Server SNMP サポートには、次のような制限があります。
Solaris 9 OS 上では、SNMP を通じて監視できる Messaging Server のインスタンスは、ホストコンピュータ当たり 1 つのみである。
SNMP サポートは、監視用のみである。SNMP 管理はサポートされていない。
SNMP トラップは実装されない (RFC 2788 に、トラップを使用しない同様の機能が記述されている)。
Messaging Server SNMP プロセスは SNMP サブエージェントであり、起動時にプラットフォームのネイティブ SNMP マスターエージェントに自動的に登録されます。クライアントからの SNMP 要求は、マスターエージェントに送られます。次に Messaging Server 宛の要求は、マスターエージェントから Messaging Server サブエージェントプロセスに送られます。最後に Messaging Server サブエージェントプロセスによって要求が処理され、その応答がマスターエージェントを通じてクライアントに送られます。図 A–1 に、このプロセスを示します。