Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド

6.1.1 Calendar Server バージョン 6.3 の非対称型高可用性について

この図では、単純な非対称型 HA の Calendar Server インストールを示しています。

単純な非対称型高可用性システムには 2 つの物理ノードがあります。プライマリノードは常にアクティブであり、もう一方のノードはバックアップノードとして機能して、プライマリノードに障害が生じた場合に処理を継続できるようになっています。フェイルオーバーを行う場合、共有ディスクアレイがバックアップノードによって制御されるように切り替えられます。Calendar Server プロセスは、障害の発生したプライマリノードで停止し、バックアップノードで起動します。

このタイプの高可用性システムにはいくつかの長所があります。1 つの長所は、バックアップノードが専用であり、完全にプライマリノード用として確保されているという点です。したがって、フェイルオーバーの実行時に、バックアップノード上でリソースが競合することがありません。もう 1 つの長所は順次アップグレードを行えるということです。つまり、一方のノードでアップグレードを行いながら、他方のノードで Calendar Server ソフトウェアを実行し続けられます。1 番目のノードのアップグレード中に ics.conf ファイルを変更しても、設定ファイルは起動時に一度読み込まれるだけなので、その変更はセカンダリノードで実行しているもう一方の Calendar Server インスタンスには影響しません。新しい設定を有効にするには、カレンダプロセスを停止してから再起動する必要があります。もう一方のノードをアップグレードする場合は、アップグレードしたプライマリノードへのフェイルオーバーを実行し、セカンダリノード上でアップグレードを開始します。


注 –

もちろん、最初にセカンダリノードをアップグレードしてからプライマリノードをアップグレードすることもできます。


非対称型高可用性モデルにはいくつかの短所もあります。1 つの短所は、バックアップノードがほとんど常にアイドル状態になっているため、リソースが十分に活用されないという点です。もう 1 つの短所は、ストレージアレイが単一であるということです。単純な非対称型高可用性システムでは、ディスクアレイに障害が発生すると、バックアップが利用できなくなります。