Sun Java System Calendar Server 6.3 管理ガイド

19.1 Calendar Server タイムゾーンの概要

ここでは、Calendar Server ソフトウェアによって実装されるタイムゾーンの概要を説明します。

timezones.ics ファイルには、Calendar Server がサポートするタイムゾーン表記が定義されています。このファイルは、次のディレクトリに格納されています。

/etc/opt/SUNWics5/config/

起動時に Calendar Server は timezones.ics ファイルを読み取ってタイムゾーンデータを生成し、そのデータをメモリーに格納します。このため、Calendar Server の稼動中はタイムゾーンデータはメモリー内に維持されます。したがって、新しいタイムゾーンを追加したり、既存のタイムゾーンを変更した場合は、変更が適用されるように Calendar Server を停止して再起動する必要があります。

timezones.ics ファイル内のタイムゾーンは TZID パラメータで識別されます。たとえば、Calendar Server は、例 19–1 に示すように、America/Los_Angeles TZID を使用して太平洋標準時 (PST/PDT) を識別します。TZNAME プロパティーはタイムゾーンの略式表記で、たとえば America/Los_Angeles であれば、PST (Pacific Standard Time、太平洋標準時) となります。

America/Los_Angeles のように夏時間 (DST) が適用されるタイムゾーンには、次の 2 つのサブコンポーネントが含まれます。標準時間用の STANDARD と夏時間用の DAYLIGHTX-NSCP-TZCROSS リストには、そのタイムゾーンで夏時間 (DAYLIGHT) と標準時間 (STANDARD) が切り替わる日付が含まれます。

RRULE プロパティーは、STANDARDDAYLIGHT の規則のパターンを定義します。TZOFFSETFROM プロパティーと TZOFFSETTO プロパティーは、夏時間と標準時間が切り替わる前後の GMT からの時間差を定義します。Communications Express のユーザーインタフェースでは、X-NSCP-TZCROSS に指定されている日付を使用して、タイムゾーンの変更をいつ表示するかが決定されます。

タイムゾーンの ID (tzid) パラメータを含む WCAP コマンドは、timezones.ics ファイルに定義されている有効なタイムゾーンを参照する必要があります。Calendar Server は、そのタイムゾーンを使用して日付を返します。WCAP コマンドに不明なタイムゾーンが指定されている場合、デフォルトでは Calendar Server は GMT タイムゾーンの日付を返します。WCAP については、『Sun Java System Calendar Server 6.3 WCAP Developer’s Guide 』を参照してください。


例 19–1 timezones.ics ファイル内の America/Los_Angeles タイムゾーンの表記

次の例は、timezones.ics ファイル内の America/Los_Angeles タイムゾーンの表記を示しています。