この章では、Sun Cluster をインストールする際の計画情報とガイドラインについて説明します。また、2 つのクラスタ間でのデータ複製を計画する方法についても説明します。
この章の内容は次のとおりです。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアを正しくインストールするには、次のインストール段階を完了する必要があります。
インストールの計画を立てます。
ハードウェアを接続します。
Sun Cluster ソフトウェアをインストールします。
データ複製製品をインストールします。
必要なソフトウェアのインストールと構成を行います。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをインストールします。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアを構成します。
このインストールプロセスは、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアの初期計画段階から、最終的な起動へと進んでいきます。このマニュアルでは段階 1、6、および 7 について説明します。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアを Sun Cluster ソフトウェアのインストールと同時にインストールすることもできます。
Sun Cluster ソフトウェアのインストールについては、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』を参照してください。
起動後のクラスタの構成については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』を参照してください。
ここでは、主クラスタ、二次クラスタ、およびクラスタ間通信用にハードウェアを計画する方法を説明します。
Sun Cluster Geographic Edition ハードウェアは次の要素から構成されます。
連結されたデータストレージを使用して Sun Cluster ソフトウェアを実行する 2 つ以上のクラスタ。これらのクラスタのうちの 1 つを主クラスタとして指定する必要があります。
シングルノードクラスタは主サイトとバックアップサイトの両方で使用できますが、シングルノードクラスタでは内部冗長性は提供されません。単一点での障害を確実になくすには、少なくとも 2 つのノードが主サイトのクラスタに必要です。二次サイトをバックアップ目的でのみ使用し、ミッションクリティカルなアプリケーションを実行する目的で使用しない場合は、シングルノードクラスタを二次サイトで使用することが、コスト効率のよいバックアップソリューションとなります。
クラスタ同士で行われるクラスタ間管理通信用のインターネット接続と、デフォルトのクラスタ間ハートビート用のインターネット接続。
ホストベースまたはストレージベースで行われるデータ複製用の接続。
カスタムハートビート用の接続 (このハートビートが使用される場合)。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされているハードウェア構成は、Sun Cluster 製品でサポートされているハードウェア構成と同じです。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをストレージベースのデータ複製メカニズムとともに使用するため、クラスタハードウェアは関連するストレージハードウェアをサポートするように構成されます。パートナークラスタは、クラスタ間でのデータ複製をサポートするように、互換性を持たせて構成する必要があります。
Sun Cluster Geographic Edition 製品を Hitachi TrueCopy のデータ複製と一緒に使用するには、 Hitachi TrueCopy のコマンドインタフェースをサポートしている Sun StorEdgeTM 9970/9980 Array または Hitachi Lightning 9900 シリーズストレージを使用して Sun Cluster を構成する必要があります。
パートナークラスタ間ではインターネットアクセスが必要になります。クラスタ間管理処理のためのパートナークラスタ間での通信は、論理ホスト名 IP アドレスを介して行われます。デフォルトのクラスタ間ハートビートモジュールも、論理ホスト名 IP アドレスを介して通信します。
Sun Cluster Geographic Edition パートナーシップ内のクラスタは、Sun Cluster ソフトウェアを実行するクラスタの標準的な構成規則に従います。
ここでは、Sun Cluster ソフトウェアの構成を、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのインストール用に適合させる方法を説明します。また、データ複製ソフトウェアのインストールの計画方法についても説明します。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、Solaris オペレーティングシステム と Sun Cluster ソフトウェアを実行しているクラスタにインストールする必要があります。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、Sun Cluster ソフトウェアのインストールと同時にインストールすることも、あとでインストールすることもできます。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアの構成は、Sun Cluster ソフトウェアの構成と同じです。
次の表に、必要なソフトウェアを示します。
表 1–1 必要なソフトウェア
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアとデータ複製製品を併用するクラスタは、Sun Cluster ソフトウェアを使用してデータ複製製品を稼動させるクラスタの標準的なハードウェア構成規則に従います。パートナークラスタには、クラスタ間でのデータ複製をサポートするために、互換性のあるソフトウェア構成が必要です。
Sun Cluster Geographic Edition 製品は、次のデータ複製製品をサポートしています。
Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェア
Hitachi TrueCopy ソフトウェア
EMC Symmetrix Remote Data Facility ソフトウェア
Sun StorageTek Availability Suite ソフトウェア はホストベースの複製方式です。この方式は、1 台のサーバーから二次サーバーに対する複製を制御するホスト上にインストールされたソフトウェアから構成されます。
Hitachi TrueCopy および EMC Symmetrix Remote Data Facility の複製では、ストレージベースの方式を使用します。この方式では、ストレージハードウェアに組み込まれた複製を使用します。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは Oracle Real Application Clusters と Hitachi TrueCopy ソフトウェアの組み合わせをサポートしています。
Hitachi TrueCopy RAID Manager ソフトウェアまたは EMC Symmetrix Remote Data Facility ソフトウェアを使用する場合は、クラスタの各ノードにソフトウェアをインストールする必要があります。
パートナーシップでは 2 つのクラスタを組み合わせて 1 つの環境とする必要があり、稼働中の運用システムが一方のクラスタとして使用されることもあります。そのため、インストールを成功させるには、リソースとリソースグループの事前計画が重要になります。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでは、リソースグループ名を各パートナークラスタで同一にする必要があります。そのようにすることで、リソースまたはリソースグループをパートナーシップ内の両方のクラスタにわたって単一のエンティティとして管理できるようになります。
インストールプロセスを開始する前に、必要な IP アドレスとホスト名をすべて用意する必要があります。クラスタ構成によっては、Sun Cluster Geographic Edition のさまざまなコンポーネントに多数の IP アドレスを設定する必要があります。クラスタ構成内の各ノードには、サブネットの同じセットのパブリックネットワーク接続が少なくとも 1 つ必要です。クラスタ名、および各クラスタノードについて、それぞれ IP アドレスが必要になります。また、データ複製製品用に追加の IP アドレスが必要になる場合もあります。データ複製の構成要件については、次のデータ複製ガイドを参照してください。
『Sun Cluster Geographic Edition Sun StorageTek Availability Suite 向けデータ複製ガイド』
『Sun Cluster Geographic Edition Hitachi TrueCopy 向けデータ複製ガイド』
『Sun Cluster Geographic Edition EMC Symmetrix Remote Data Facility 向けデータ複製ガイド』
IP アドレスを必要とするコンポーネントの一覧は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「パブリックネットワーク IP アドレス」を参照してください。使用する任意のネームサービスにこれらの IP アドレスを追加してください。また、Solaris ソフトウェアをインストールしたあとで、各クラスタノードのローカル /etc/inet/hosts ファイルにもこれらの IP アドレスを追加します。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアではクラスタ名を使用して論理ホスト名が作成されるため、クラスタ名はホスト名として適したものにする必要があります。したがって、クラスタ名はネーミングシステム内に存在する必要があります。
クラスタ名は一意にする必要もあります。たとえば、ドメイン .france の内部に完全に収まるクラスタの場合は、paris や grenoble などのホスト名を使用できます。しかし、クロスドメインクラスタの場合は、ネットワーク上のホストを識別できるほど十分に限定されたホスト名を指定する必要があります。paris および munich をホスト名 paris.france および munich.germany とリンクし、クラスタ名を paris および munich のままにしておくことができます。
クラスタ paris.france および paris.texas の間にパートナーシップを作成することはできません。クラスタ名 paris と衝突するからです。
この節では、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのインストールの計画と、以下のコンポーネントの準備について説明します。
ソフトウェアのインストールを開始する前に、必要なすべてのライセンス証明書を用意しておきます。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアはライセンス証明書を必要としません。ただし、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアがインストールされる各ノードは、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのライセンス契約の対象である必要があります。
データ複製ソフトウェアやアプリケーションソフトウェアのライセンス必要条件については、該当する製品のインストールマニュアルを参照してください。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、クラスタ間管理通信とハートビート通信用に、クラスタの論理ホスト名を使用します。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアが geoadm start コマンドを使用して起動されている場合は、クラスタ名用の IP アドレスを論理ホスト名で包み込めるように、ソフトウェアからクラスタ名用の IP アドレスを使用できる必要があります。
クラスタ名がホスト名としての使用に適していることを確かめる必要がある場合は、cluster コマンドを使用してクラスタの名前を知ることができます。クラスタの名前を知るには、次のコマンドを実行します。
# cluster list |
詳細は、cluster(1CL) のマニュアルページを参照してください。