Sun Cluster Geographic Edition のインストール

第 2 章 Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのインストール

この章では、クラスタのペアに Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをインストールする方法について説明します。また、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをアンインストールする手順についても説明します。

この章の内容は次のとおりです。

インストールの概要

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのインストールは、稼動中のクラスタに対し、稼動を中断することなく行えます。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのインストールプロセスでは Sun Cluster ソフトウェアを再起動する必要がないため、クラスタはサービスを実行したまま運用状態を持続します。

Sun Java Enterprise System (Java ES) installer プログラムには、グラフィカルユーザーインタフェース (GUI) とテキストベースインタフェースの 2 つの対話形式インストールモードがあります。グラフィカルモードでは、ウィザードを使用し、Sun Cluster Geographic Edition コンポーネントのインストール実行に必要な作業を段階的に進めることができます。テキストベースのモードでも、GUI と同じ機能を利用できます。ただし、このモードではウィザードを介して作業が示されるのではなく、行単位で対応を求めるプロンプトが表示されます。


注 –

ソフトウェアのインストールを開始する前に、各クラスタのノードごとに、クラスタ構成に必要なパッチがすべてインストールされているか確認してください。パッチの場所とインストール手順については、『Sun Cluster Geographic Edition 3.2 ご使用にあたって』「必要なパッチ」を参照してください。


Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアはパートナーシップにある全クラスタの全ノードにインストールする必要があります。

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのインストール

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、installer プログラムを使用し、地理的に離れたクラスタ内の各クラスタの全ノードに インストールする必要があります。

ProcedureSun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをインストールする

この手順では、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをインストールする方法について説明します。

始める前に

ソフトウェアのインストールを始める前に、次の準備を行います。

  1. GUI で installer プログラムを使用するには、インストール作業を行うクラスタノードの表示環境を、GUI を表示するように設定します。


    % xhost +
    % setenv DISPLAY nodename:0.0
    

    表示環境が GUI を表示するように設定されていない場合、installer プログラムは代わりにテキストベースのモードで表示されます。

  2. Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをインストールするノードでスーパーユーザーになります。


    注 –

    Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアはパートナーシップにある各クラスタの全ノードにインストールする必要があります。


  3. Sun Java Availability Suite インストール DVD-ROM を DVD-ROM ドライブに挿入します。

    ボリューム管理デーモン vold(1M) が実行されていて、DVD-ROM または DVD を管理するように構成されている場合は、デーモンによってメディアが自動的に /cdrom/cdrom0/ ディレクトリにマウントされます。

  4. DVD-ROM のインストールウィザードディレクトリに移動します。

    • SPARC プラットフォームの場合は、次のコマンドを入力します。


      # cd /cdrom/cdrom0/Solaris_sparc
      
    • x86 プラットフォームの場合は、次のコマンドを入力します。


      # cd /cdrom/cdrom0/Solaris_x86
      
  5. インストーラプログラムを起動します。


    # ./installer
    

    インストーラが起動し、開始画面が表示されます。途中でインストーラを終了するには、「取消し」をクリックします。installer プログラムの詳細は、『Sun Java Enterprise System 5 Installation Guide for UNIX 』を参照してください。

  6. 画面の指示に従い、ソフトウェアライセンス合意書の内容を確認して同意します。

    ライセンス条項に同意すると、「ソフトウェアコンポーネントの選択」メニューが表示されます。

  7. 「Sun Cluster Geographic Edition 3.2」を選択して、Return キーを押します。

    「選択内容の確認」画面が表示されます。

  8. Return キーを押して選択を確定します。

    「Sun Cluster Geographic Edition 3.2」サブメニューが表示されます。

  9. 画面の指示に従い、次の製品を「Sun Cluster Geographic Edition」サブメニューから選択します。

    • Sun Cluster Geographic Edition 3.2

    • 使用するデータ複製ソフトウェア

    • (オプション) Sun Cluster Geographic Edition Manager

  10. プロンプトが表示されたら、多言語パッケージをインストールするかどうかを選択します。


    注 –

    多言語パッケージのインストールを選択する場合は、クラスタのすべてのノードで同じ使用ロケールがインストールていることを確認します。


  11. プロンプトが表示されたら、共有コンポーネントをアップグレードするかどうかを選択します。

    インストーラによってソフトウェアパッケージのインストールが開始されます。インストールが完了すると、インストールログを表示できます。

  12. Sun Java Availability Suite インストール DVD-ROM を DVD-ROM ドライブから取り出します。

  13. この手順を各パートナークラスタの各ノード上で繰り返します。

次の手順

必要なパッチをインストールします。「パッチのインストール」に進みます。

クラスタ上で Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアを構成します。第 3 章「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアの有効化と構成」に進みます。

パッチのインストール

両方のクラスタのすべてのノードの Sun Cluster ソフトウェアと共通エージェントコンテナに対して、同じレベルのパッチを実行します。

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをインストールした各ノードのパッチのレベルが、Sun Cluster のパッチレベル要件を満たしている必要があります。

1 つのクラスタ内のすべてのノードで、同じバージョンの Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと同じレベルのパッチを使用する必要があります。ただし、制限された期間、各バージョンの正しいパッチを適用するという条件のもとで、主クラスタと二次クラスタで異なるバージョンの Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアを実行できます。たとえば、一方のクラスタでパッチの完全な適用が済んだ Sun Cluster Geographic Edition 3.1 8/05 ソフトウェアを実行し、パートナークラスタでパッチの完全な適用が済んだ Sun Cluster Geographic Edition 3.2 ソフトウェアを実行している場合は、できるだけ早く両方のクラスタのパッチレベルを同じにしてください。また、両方のパートナークラスタで Sun Cluster Geographic Edition 3.2 を実行している場合も、できるだけ早く両方のパートナークラスタのパッチレベルを同じにしてください。

パッチが正しくインストールされたことを確認する時には、一次クラスタにパッチをインストールする前に、二次クラスタにパッチをインストールします。


注 –

Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーを開始する前に、ここに記載されている情報を参照してパッチをインストールしてください。


Sun Cluster Geographic Edition のパッチの詳細は、パッチの README ファイルを参照してください。

必要なパッチの一覧については、『Sun Cluster Geographic Edition 3.2 ご使用にあたって』「必要なパッチ」を参照してください。

Procedureクラスタにパッチをインストールする準備をする

  1. クラスタが正常に機能していることを確認してください。

    クラスタの現在の状態を表示するには、任意のノードから次のコマンドを実行します。


    % cluster status
    

    詳細は、cluster(1CL) のマニュアルページを参照してください。

    同じノード上の /var/adm/messages ログに、解決されていないエラーや警告メッセージがないかどうかを確認します。

  2. 各クラスタのノードのスーパーユーザーになります。

  3. すべてのアプリケーションリソースグループを保護グループから削除します。

    高可用性アプリケーションは、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアパッチのインストール中も停止しません。


    # geopg remove-resource-group resourcegroup protectiongroup
    

    詳細は、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。

  4. このクラスタとパートナーシップを持っているすべてのクラスタで、上記の手順を繰り返します。

  5. クラスタ上でアクティブになっているすべての保護グループを停止します。


    # geopg stop protectiongroup -e local
    

    詳細は、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。

  6. Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーを停止します。


    # geoadm stop
    

    詳細は、geoadm(1M) のマニュアルページを参照してください。

  7. 各ノードで、共通エージェントコンテナを停止します。


    # /usr/sbin/cacaoadm stop
    

    注 –

    共通エージェントコンテナ 2 を使用する必要があります。これは /usr/sbin ディレクトリにあります。使用している共通エージェントコンテナのバージョンを確認するには、/usr/sbin/cacaoadm -V コマンドを使用します。


次の手順

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアに必要なパッチをインストールします。「パッチをインストールする」に進みます。

Procedureパッチをインストールする

この手順はクラスタのすべてのノード上で実施してください。

テストを実施するため、一次クラスタにパッチを適用する前に二次クラスタにパッチを適用します。

始める前に

次の作業を実行します。

  1. すべてのノードがクラスタに含まれていて、オンラインになっていることを確認します。

    クラスタの現在の状態を表示するには、任意のノードから次のコマンドを実行します。


    % cluster status
    

    詳細は、cluster(1CL) のマニュアルページを参照してください。

    同じノード上の /var/adm/messages ログに、解決されていないエラーや警告メッセージがないかどうかを確認します。

  2. 各ノードでスーパーユーザーになります。

  3. 各ノードで、patchadd コマンドを使用して、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのサポートに必要なパッチをインストールします。

  4. クラスタのすべてのノードで必要なすべてのパッチをインストールしたら、各ノードで共通エージェントコンテナを起動します。


    # /usr/sbin/cacaoadm start
    

    注 –

    共通エージェントコンテナ 2 を使用する必要があります。これは /usr/sbin ディレクトリにあります。使用している共通エージェントコンテナのバージョンを確認するには、/usr/sbin/cacaoadm -V コマンドを使用します。


  5. 1 つのノードで、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアを有効にします。


    # geoadm start
    
  6. クラスタにパッチをインストールする準備をしている際に削除したすべてのアプリケーションリソースグループを、保護グループに追加して戻します。


    # geopg add-resource-group resourcegroup protectiongroup
    

    詳細は、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。

  7. 追加したすべての保護グループを起動します。


    # geopg start protectiongroup -e local [-n]
    

    詳細は、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。

次の手順

二次クラスタにパッチを適用したら、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアで妥当性テストを実行します。その後、主クラスタでこの手順を繰り返します。

クラスタ上で Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアを構成します。第 3 章「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアの有効化と構成」に進みます。