この節の内容は、次のとおりです。
データ複製を使用しない保護グループも作成できます。データ複製サブシステムを使用しない保護グループを作成するには、geopg コマンドを使用するときに、-d datareplicationtype オプションを省略します。このオプションを省略した場合、geoadm status コマンドによって、データの複製の状態が NONE であることが示されます。
次の例は、第 1 章Oracle Data Guard ソフトウェアによるデータ複製で説明されている構成例を基に説明されています。
この例では、sales データベースが cluster-paris クラスタでオンラインとなっていて、Oracle Data Guard によって保護されています。
Sun Cluster Geographic Edition では構成が作成されないため、操作を進める前に mysales.com Oracle Data Guard Broker 構成が存在することを確認します。
次の条件が満たされているか確認します。
クラスタはパートナーシップのメンバーです。
既存の保護グループとこれから作成する保護グループが重複しない。
保護グループ名は Sun Cluster Geographic Edition のグローバルネームスペース内で一意です。同じシステム上にパートナーシップが 2 つ存在する場合、これらに同じ保護グループ名を付けることはできません。
保護グループの既存の構成は、リモートクラスタからローカルクラスタに複製することもできます。詳細は、「Oracle Data Guard 保護グループ構成をパートナークラスタに複製する」を参照してください。
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を完了するには、ユーザーに Geo Management RBAC 権利プロファイルが割り当てられている必要があります。 RBAC の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
ローカルクラスタのすべてのノードで、新しい保護グループを作成します。
phys-node-n# geopg create -s partnershipname -d odg \ -o localrole [-p property [-p...]] protectiongroupname |
パートナーシップの名前を指定します。
Oracle Data Guard ソフトウェアを使用して保護グループのデータを複製するように指定します。
この保護グループのローカルクラスタでの役割を指定します (primary または secondary)。
保護グループのプロパティーを指定します。
次のプロパティーを指定できます。
Description – 保護グループについて説明する。
Timeout – 保護グループのタイムアウト間隔を秒単位で指定する。
保護グループの名前を指定します。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされている名前と値については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 B「Sun Cluster Geographic Edition エンティティーに使用できる名前と値」を参照してください。
geopg コマンドの詳細は、geopg(1M)のマニュアルページを参照してください。
保護グループを作成する前に、構成内容が正しいかどうかがデータ複製層によって検証されます。
検証に成功した場合、ローカルの Configuration 状態が OK、Synchronization 状態が Error に設定されます。
検証に失敗した場合、保護グループは作成されません。
変更する保護グループがローカルに存在することを確認します。
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を完了するには、ユーザーに Geo Management RBAC 権利プロファイルが割り当てられている必要があります。 RBAC の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
保護グループの構成を変更します。
phys-node-n# geopg set-prop -p property[-p…] protectiongroupname |
保護グループのプロパティーを指定します。
設定できるプロパティーについては、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 A「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。
保護グループの名前を指定します。
パートナークラスタ上に同じ名前の保護グループが含まれている場合、geopg set-prop コマンドは、パートナークラスタにも新しい構成情報を伝達します。
geopg set-prop コマンドは、新しい構成情報で保護グループを再検証します。ローカルクラスタ上で検証に失敗した場合、保護グループの構成は変更されません。成功した場合、Configuration は変更され、ローカルクラスタで OK に設定されます。
ローカルクラスタで Configuration 状態が OK に設定されているものの、パートナーサーバーでの検証に失敗する場合は、Configuration はパートナークラスタで変更され、構成の状態はパートナークラスタで Error に設定されます。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされている名前と値については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の付録 B「Sun Cluster Geographic Edition エンティティーに使用できる名前と値」を参照してください。
geopg コマンドの詳細は、geopg(1M)のマニュアルページを参照してください。
この例では、保護グループの timeout プロパティーの変更方法を示します。
phys-paris-1# geopg set-prop -p Timeout=300 sales-pg |
geoadm status コマンドの出力で保護グループの Configuration 状態が Error と表示された場合、geopg validate コマンドを使用して構成を検証できます。このコマンドは、保護グループとそのエンティティーの現在の状態を検査します。
保護グループとそのエンティティーが有効であれば、保護グループの Configuration 状態は OK に設定されます。構成ファイル内にエラーが見つかると、geopg validate コマンドはそのエラーについてのメッセージを表示し、構成はエラー状態にとどまります。この場合、ユーザーは構成内のエラーを修正し、geopg validate コマンドをもう一度実行できます。
このコマンドで検証されるのは、ローカルクラスタ上の保護グループの構成だけです。パートナークラスタ上の保護グループ構成を検証するには、次のコマンドをパートナークラスタでもう一度実行します。
保護グループの構成を検証する前に、検証する保護グループがローカルに存在していることと、パートナーシップの関係にある両方のクラスタの全ノードで共通エージェントコンテナがオンライン状態であることを確認します。
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を完了するには、ユーザーに Geo Management RBAC 権利プロファイルが割り当てられている必要があります。 RBAC の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
保護グループの構成を検証します。
このコマンドで検証されるのは、ローカルクラスタ上の 1 つの保護グループの構成だけです。
phys-node-n# geopg validate protectiongroupname |
この例では、保護グループの検証方法を示します。
phys-node-n# geopg validate sales-pg |
保護グループの検証時には、Oracle Data Guard データ複製層により、アプリケーションリソースグループとデータ複製エンティティーの検証が行われます。Oracle Data Guard データ複製層により、次の条件が検証されます。
検証される保護グループのリソースグループには、Oracle RAC サーバープロキシリソース を含む Oracle RAC サーバープロキシリソースグループ が含まれていない。
Oracle Data Guard 保護グループにこれらのリソースグループを追加できません。これは、保護グループがグローバルに起動されたときに、Oracle RAC サーバープロキシリソース によって管理されている Oracle RAC データベースがスタンバイクラスタで停止しているためです。そのため、Oracle Data Guard データ複製は無効になります。
保護グループ内のアプリケーションリソースグループの Auto_start_on_new_cluster プロパティーが False に設定されている。
主クラスタで保護グループをオンラインにする場合、データ複製層は、その保護グループに参加するアプリケーションリソースグループを同じ主クラスタ上でのみオンラインにします。Auto_start_on_new_cluster プロパティーを False に設定すると、Sun Cluster リソースグループマネージャーによるアプリケーションリソースグループの自動起動が行われなくなります。この場合、リソースグループの起動は Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアのために予約状態にされます。
保護グループが有効な場合、主クラスタ上でのみアプリケーションリソースグループがオンラインになっている必要があります。次の条件が満たされているか確認します。
Oracle dgmgrl コマンドによって、各 Oracle Data Guard Broker 構成が SUCCESS 状態と示されている。
dgmgrl コマンドからの出力に Oracle ORA- コマンドが見つかった場合は、sysdba_username パスワードが正しくないか、またはクラスタが無効になっている可能性があります。この情報は、Oracle Data Guard Broker 構成の複製リソースの状態に反映されています。
Oracle Data Guard Broker 構成の詳細が、Sun Cluster Geographic Edition によって保持されている詳細と一致している。
確認が必要な詳細には、主クラスタであるクラスタ、構成の名前、主クラスタとスタンバイクラスタ両方のデータベースのモード、複製モード、およびスタンバイのタイプが含まれます。
スイッチオーバーが可能となるように sysdba_username パスワードがスタンバイクラスタに対して有効である。
検証が完了すると、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアによって シャドウ RAC サーバープロキシリソースグループ、リソース、複製リソースグループ、およびこの複製リソースグループのリソース (リソースが存在しない場合) が作成され、これらがオンラインになります。同じ名前のリソースグループまたはリソースが存在する場合、Sun Cluster Geographic Edition の操作により、それらのプロパティーが変更される可能性があります。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでは、新しいリソースグループまたはリソースに、既存のリソースグループまたはリソースと同じ名前を付けることはできません。
検証が正常に完了した場合、Configuration 状態は OK に設定されます。検証に失敗した場合、Configuration 状態は Error に設定されます。
すべてのクラスタ上の保護グループを削除するには、保護グループが存在する各クラスタで geopg delete コマンドを実行します。
保護グループを削除するには、次の条件が満たされているかをまず確認する必要があります。
保護グループがローカルに存在する
ローカルクラスタ上で保護グループがオフラインになっている
保護グループの削除中に、アプリケーションリソースグループを継続してオンラインにしておくには、保護グループを削除する前に、保護グループからアプリケーションリソースグループを削除しておく必要があります。シャドウ RAC サーバープロキシリソースグループ に対して何も操作を行う必要はありません。保護グループを削除すると、シャドウの作成元の RAC サーバープロキシリソースグループ に影響を与えずに、これらのリソースグループが削除されるためです。
保護グループを削除するクラスタ (例: cluster-paris) 内のノードにログインします。
この手順を完了するには、ユーザーに Geo Management RBAC 権利プロファイルが割り当てられている必要があります。 RBAC の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
cluster-paris が主クラスタです。クラスタ構成の例については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition クラスタ構成の例」を参照してください。
保護グループを削除します。
phys-node-n# geopg delete protectiongroupname |
このコマンドは、ローカルクラスタから保護グループの構成を削除します。また、コマンドは Oracle RAC サーバープロキシリソースグループ を削除し、保護グループ内にある Oracle Data Guard Broker 構成用の複製リソースグループを削除します。
保護グループが削除されない場合、Configuration 状態は Error に設定されます。エラーを解決してから geopg delete コマンドをもう一度実行してください。
この例では両方のパートナークラスタから保護グループを削除する方法を示します。
# rlogin cluster-paris -l root phys-paris-1# geopg delete sales-pg # rlogin cluster-newyork -l root phys-newyork-1# geopg delete sales-pg |
この例では、2 つのアプリケーションリソースグループ (apprg1 と apprg2) をオンライン状態にしたまま、それらが共有している保護グループ sales-pg を削除する方法を示します。
保護グループからアプリケーションリソースグループを除去し、続いて保護グループを削除します。
phys-paris-1# geopg remove-resource-group apprg1,apprg2 sales-pg phys-paris-1# geopg stop -e global sales-pg phys-paris-1# geopg delete sales-pg |
その他のデータ複製モジュールと違い、Oracle RAC サーバープロキシリソースグループ は保護グループに追加されません。代わりに、このリソースグループを示すために シャドウ RAC サーバープロキシリソースグループ が追加されます。Oracle Data Guard データ複製に影響することなく、いつでも、シャドウ RAC サーバープロキシリソースグループ を保護グループに追加したり、保護グループから削除したりできます。
したがって、この特定の保護グループでは Oracle Data Guard データ複製のみサポートされているため、この例で示されているアプリケーションリソースグループには、複製するデータを含むことができません。スケーラブルな Web サーバーであれば、この条件を満たすアプリケーションリソースグループとなる可能性があります。このようなサーバーのデータはスタティックで、このクラスタよって制御されていないリモートストレージに保持されています。