Solaris のシステム管理 (第 1 巻)

フロッピーディスクのフォーマット

表 16-1 作業マップ: フロッピーディスクのフォーマット方法

作業 

説明 

手順の説明 

フォーマットされていないフロッピーディスクのロード 

フロッピーディスクをドライブに挿入して、volcheck コマンドを実行する。

「フロッピーディスクをロードする方法」

フロッピーディスクのフォーマット 

UFS 用にフロッピーディスクをフォーマットする。 

「UFS フロッピーディスクをフォーマットする方法」

 

DOS 用にフロッピーディスクをフォーマットする。  

「DOS フロッピーディスクをフォーマットする方法」

UFS ファイルシステムの作成 

palatino での場合のみ。

省略可能。フロッピーディスクをファイルの保存に使用する場合は、UFS ファイルシステムを作成する。文字の保存に使用する場合に、この手順は不要。  

「UFS ファイルシステムをフロッピーディスク上に作成する方法」

フロッピーディスクの取り出し  

フォーマットが終了したら、すぐに使用する場合でも、必ずそのフロッピーディスクを取り出す。 

「フロッピーディスクを取り出す方法」

フロッピーディスクの名前について

フロッピーディスクを操作する場合は、名前、または次の表 16-2 の代替名によって識別できます。説明を簡単にするために、このマニュアル中の説明では floppy0 を使用しますが、実際の作業ではフロッピーディスク名または別の代替名も使用できます。

表 16-2 フロッピーディスクを識別する方法

フロッピーディスク 

フロッピーディスクの代替名 

最初のフロッピーディスクドライブ 

floppy0

2 番目のフロッピーディスクドライブ 

floppy1

3 番目のフロッピーディスクドライブ 

floppy2


注 -

名前の付いていない (つまり「ラベル」がない) フロッピーディスクには、noname というデフォルト名が割り当てられます。


ハードウェアの考慮点

Solaris システムは、Solaris システム用と DOS システム用にフロッピーディスクをフォーマットできます。ただし、ハードウェアプラットフォームによっていくつかの制限があります。次の表はこの制限を要約したものです。

プラットフォームの種類 

フロッピーディスクのフォーマット仕様 

SPARC システム 

UFS 用 

 

MS-DOS または NEC-DOS (PCFS) 用 

IA システム 

UFS 用 

 

MS-DOS または NEC-DOS (PCFS) 用 

UFS 用にフォーマットされたフロッピーディスクは、それらがフォーマットされたハードウェアプラットフォームに制限されます。つまり、SPARC システムでフォーマットされた UFS フロッピーディスクは、IA システム上の UFS には使用できません。IA システム上でフォーマットされたフロッピーディスクの場合も同様です。これは、SPARC と IA とでは UFS フォーマットが異なるためです。SPARC はリトルエンディアンによるビットコーディング、IA はビッグエンディアンによるビットコーディングを採用しています。

SunOS ファイルシステム用の完全な形式は、基本的な「ビット」形式と、SunOS ファイルシステムをサポートするための構造からなります。DOS ファイルシステム用の完全な形式は、基本的な「ビット」形式と、MS-DOS または NEC-DOS のいずれかのファイルシステムをサポートする構造からなります。フロッピーディスクを準備するために必要な手順は、ファイルシステムによって異なります。したがって、フロッピーディスクをフォーマットする前には、どの作業が必要かを決めてください。「フロッピーディスクのフォーマット」を参照してください。

Solaris システム (SPARC または IA のいずれか) では、7 つの異なる密度のフロッピーディスクをフォーマットできます (適切なドライブが必要です)。

フロッピーディスクのサイズ 

フロッピーディスクの密度 

容量 

3.5"  

拡張密度 

2.88M バイト 

3.5" 

高密度 (HD) 

1.44M バイト 

3.5" 

中密度 (DD) 

1.2M バイト 

3.5" 

低密度 

720M バイト 

5.25" 

高密度 (HD) 

1.2M バイト 

5.25" 

中密度 (DD) 

720K バイト 

5.25" 

低密度 

360K バイト 

デフォルトで、フロッピーディスクドライブは、それに近い密度にフロッピーディスクをフォーマットします。つまり、1.44M バイトのドライブは、フロッピーディスクが実際に 1.44M バイトのフロッピーディスクかどうかに関係なく、特に指示しないかぎり、そのフロッピーディスクを 1.44M バイト用にフォーマットしようとします。1.44M バイトドライブに、フロッピーディスクを、たとえば 720K バイトにフォーマットするように指示できます。しかし、720K バイトドライブに、フロッピーディスクを 1.44M バイト用にフォーマットするよう指示することはできません。つまり、フロッピーディスクもドライブも、その容量以下にフォーマットすることは可能です。

ドライブに対して、フロッピーディスクをデフォルト以外の密度にフォーマットするよう指示するには、次の作業に示すように、fdformat コマンドを使用してください。この場合、次の表 16-3 から適切な密度オプションを使用するようにしてください。

表 16-3 密度のオプション

フロッピーディスクのフォーマット密度 

ドライブがデフォルト密度を使用する場合 

fdformat コマンドに使用する密度オプション

2.88M バイト 

2.88M バイト 

-E

1.44M バイト 

2.88M バイト 

-H

1.44M バイト 

1.44M バイト 

なし 

1.2M バイト 

1.44M バイト 

-t nec -M

720K バイト 

1.44M バイト 

-D または -t dos -D

1.2M バイト 

1.2M バイト 

なし 

720K バイト 

1.2M バイト 

-D

720K バイト 

720K バイト 

なし 

360 バイト 

720K バイト 

-D

fdformat コマンドのオプションについては、マニュアルページを参照するか、fdformat -z を入力してください。この -z オプションを使用すると、コマンドのすべてのオプションが表示されます。

ドライブのデフォルト密度がわからない場合は、デフォルト設定 (つまり、密度オプションのない状態) によってフォーマット処理を開始して、設定メッセージに注意してください。このメッセージは、次のように表示されます。


Formatting 1.44 M in /vol/dev/rdiskette0/unformatted
Press return to start formatting floppy.

確認メッセージには、ドライブのデフォルト密度が示されます。たとえば、上の例では、ドライブのデフォルト密度は 1.44M バイトです。密度が目的のものでない場合は、Ctrl-c キーを使用してフォーマット処理を中止し、フォーマットをやりなおしてください。

UFS フロッピーディスクをフォーマットする方法

最初の説明にあるように、SPARC システムでフォーマットされた UFS フロッピーディスクは、SPARC システムでしか使用できません。また、IA システムでフォーマットされた UFS フロッピーディスクは、IA システムでしか使用できません。


注意 - 注意 -

フロッピーディスクをフォーマットすると、既存の内容はすべて消去されます。


  1. ファイルマネージャを終了します。

    ファイルマネージャは、フォーマットされていないフロッピーディスクを挿入すると、フォーマット用ウィンドウを自動的に表示します。このウィンドウが表示されないようにするために、ファイルマネージャを終了してください。ファイルマネージャを開いておきたい場合は、フォーマットウィンドウが表示されたときに、そのフォーマットウィンドウを終了してください。

  2. フロッピーディスクが書き込み可能になっていることを確認します。

    3.5 インチと 5.25 インチのどちらのフロッピーディスクでも、書き込み保護は、左下または右下の角にある小さなタブによって設定されます。タブの背後に四角い穴が見える場合、フロッピーディスクは書き込み保護になっています。この穴がタブによって覆われている場合、フロッピーディスクは書き込み可能です。(フロッピーディスクを取り出して調べる必要がある場合は、eject floppy とシェルに入力してください。)

  3. フロッピーディスクを挿入します。

    フロッピーディスクが完全に挿入されたことを確認してください。

  4. フォーマットを実行します。


    $ fdformat -v -U [density-options convenience-options]

    -v

    フロッピーディスクが正しくフォーマットされたかどうかを確認する。 

    -U

    フロッピーディスクがマウントされている場合は、それを解除する。 

    density-options

    ドライブ密度が 1.44M バイトの場合、密度オプションは次のようになる。

     

    - なし - 

    1.44M バイトにフォーマットする。 

     

    -D

    720K バイトにフォーマットする。 

     

     

    密度オプションについては、表 16-3 を参照。

    convenience-options

     

     

    -e

    フォーマットが終了すると、フロッピーディスクを取り出す。 

     

    -f

    フォーマットの前に確認を要求しない。 

     

    -b label

    フロッピーディスクに名前を付ける。名前は、8 文字以下にする必要がある。大文字小文字は区別されない。 

     

    -z

    fdformat コマンドのすべてのオプションを一覧表示するが、フロッピーディスクはフォーマットしない。


    注 -

    720K バイト (DD) のフロッピーディスクを 1.44M バイト用にフォーマットしようとしたときに、-v オプションが指定されていない場合は fdformat の処理は中止されません。-v オプションがされている場合には、fdformat はフロッピーディスクをフォーマットしますが、検査でエラーが検出されて次のメッセージが出力されます。fdformat: check diskette density, I/O error


    fdformat コマンド (-f オプションを使用していない場合) は、確認メッセージを表示して、実行されるフォーマットのタイプを示します。


    Formatting 1.44 M in /vol/dev/rdiskette0/unformatted
    Press return to start formatting floppy.
  5. 目的に応じて、以下のいずれかのキーを使用します。

    目的 

    使用するキー 

    フォーマットのタイプの確認 

    Return キー (前の手順で -f オプションを使用していない場合。使用した場合は、確認は不要。)

    フォーマットの取り消し 

    Ctrl-c キー 

    フォーマット処理中には、ドットが連続して表示されます。検査処理中には、ドットの後に V が連続して表示されます。表示が停止すると、フォーマットは完了です。

    これでフロッピーディスクを、tarcpio などの raw データ操作に使用することができます。

例-UFS フロッピーディスクをフォーマットする

次に、UFS フォーマットのいくつかの例を示します。最初の例では、1.44M バイトのフロッピーディスクを 1.44M バイトドライブでフォーマットしています。


$ fdformat -v -U
Formatting 1.44 M in /vol/dev/rdiskette0/unformatted
Press return to start formatting floppy. [ Return キー ]
.......................................................
vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv

次の例では、同じジョブを実行していますが、フロッピーディスクに myfiles という名前を割り当てています。


$ fdformat -v -U -b myfiles
Formatting 1.44 M in /vol/dev/rdiskette0/unformatted
Press return to start formatting floppy. [ Return キー ]
.......................................................
vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv

次の例では、720K バイトフロッピーディスクを、1.44M バイトドライブでフォーマットして、それに myfiles という名前を付けています。


$ fdformat -v -U -D -b myfiles
Formatting 720 KB in /vol/dev/rdiskette0/unformatted
Press return to start formatting floppy. [ Return キー ]
.......................................................
vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv
 

UFS ファイルシステムをフロッピーディスク上に作成する方法

UFS ファイルシステムを作成する手順は、IA システムおよび SPARC システムのどちらでフォーマットされた UFS フロッピーディスクでも同じですが、SPARC システムでフォーマットされた UFS フロッピーディスクは、SPARC システムでしか使用できません。また、IA システムでフォーマットされた UFS フロッピーディスクは、IA システムでしか使用できません。

  1. UFS ファイルシステム用にフロッピーディスクをフォーマットします。

    「UFS フロッピーディスクをフォーマットする方法」で説明した手順に従ってください。

  2. フロッピーディスクに SunOS ファイルシステムを作成します。


    $ /usr/sbin/newfs -v /vol/dev/aliases/floppy0
    

    -v

    状態メッセージを出力する。 

    /vol/dev/aliases/floppy0

    フロッピーの位置を指定する。 

    newfs コマンドは、ファイルシステムの作成を確認するメッセージを表示します。

  3. ファイルシステムの作成を確認します。


    newfs: construct a new file system
           /vol/dev/aliases/floppy0:(y/n)? y
    

    状態メッセージが表示されて、ファイルシステムとフロッピーディスクのフォーマットの詳細を示します。

    これで、フロッピーディスクを SPARC システムで使用することができます。ただし、ボリューム管理にフロッピーディスクを認識させるには、次の手順で説明するように、volrmmount コマンドを実行する必要があります。

  4. フロッピーディスクが挿入されたことをボリューム管理に通知するために、-i オプションを指定して volrmmount コマンドを呼び出します。


    $ volrmmount -i floppy0
    
  5. /floppy ディレクトリで ls コマンドを使用して、UFS ファイルシステムがフロッピーディスク上に作成されていることを確認します。

    floppy0 サブディレクトリが表示されれば、UFS ファイルシステムがフロッピーディスクに保存され、正しくマウントされたということです。


    $ ls /floppy
    floppy0

例 - UFS ファイルシステムをフロッピーディスクに作成する


$ volcheck -v
media was found
$ /usr/sbin/newfs -v /vol/dev/aliases/floppy0
newfs: construct a new file system /vol/dev/aliases/floppy0: (y/n)? y
mkfs -F ufs /vol/dev/aliases/floppy0 2880 18 2 8192 1024 16 10 5 2048 
t 0 -1 8 15
/vol/dev/aliases/floppy0:  2880 sectors in 80 cylinders of 2 tracks, 
18 sectors
        1.4MB in 5 cyl groups (16 c/g, 0.28MB/g, 128 i/g)
super-block backups (for fsck -F ufs -o b=#) at:
 32, 640, 1184, 1792, 2336,
$ volrmmount -i floppy0
$ ls /floppy
floppy0

DOS フロッピーディスクをフォーマットする方法

SPARC システムおよび IA システムのどちらでも、DOS フロッピーディスクをフォーマットできます。両者の手順は同じですが、SPARC の場合はフロッピーディスク上に SunOS ファイルシステムが作成されるのに対して、IA の場合はファイルシステム上に DOS ファイルシステム (MS-DOS または NEC-DOS) が作成されます。


注意 - 注意 -

フロッピーディスクをフォーマットすると、既存の内容はすべて消去されます。


  1. ファイルマネージャを終了します。

    ファイルマネージャは、フォーマットされていないフロッピーディスクを挿入すると、フォーマットウィンドウを自動的に表示します。このウィンドウが表示されないようにするために、ファイルマネージャを終了してください。ファイルマネージャを開いたままにしておきたい場合は、フォーマットウィンドウが表示されてから、そのフォーマットウィンドウを終了してください。

  2. フロッピーディスクが書き込み保護になっていないことを確認します。

    3.5 インチと 5.25 インチのどちらのフロッピーディスクでも、書き込み保護は、左下または右下の角にある小さなタブによって設定されます。タブの背後に四角い穴が見える場合、フロッピーディスクは書き込み保護になっています。この穴がタブで覆われている場合、フロッピーディスクは書き込み可能です。(フロッピーディスクを取り出して調べる必要がある場合は、eject floppy とシェルに入力してください。)

  3. フロッピーディスクを挿入します。

    フロッピーディスクが完全に挿入されたことを確認してください。

  4. フォーマットを実行します。


    $ fdformat -v -U [density-options convenience-options]

    -v

    フロッピーディスクが正しくフォーマットされたかどうかを確認する。 

    -U

    フロッピーディスクがマウントされている場合は、それを解除する。 

    density-options

    ドライブ密度が 1.44M バイトの場合、密度オプションは次のようになる。

     

    -d

    1.44M バイトで MS-DOS 用にフォーマットする。 

     

    -d -D

    720K バイトで MS-DOS 用にフォーマットする。 

     

    -t nec -M

    1.2M バイトで NEC-DOS 用にフォーマットする。 

     

     

    密度オプションについては、表 16-3 を参照。

    convenience-options

     

     

    -e

    フォーマットが終了すると、フロッピーディスクを取り出す。 

     

    -f

    フォーマットの前に確認を要求しない。 

     

    -b label

    フロッピーディスクに名前を付ける。名前は、8 文字以下にする必要がある。大文字小文字は区別されない。 

     

    -z

    fdformat コマンドのすべてのオプションを一覧表示するが、フロッピーディスクはフォーマットしない。


    注 -

    720K バイト (DD) のフロッピーディスクを、1.44M バイト用にフォーマットしようとした場合、fdformat は、-v オプションが指定されないかぎり、処理を中止しない。-v オプションを使用すると、fdformat は、フロッピーディスクをフォーマットするが、検査でエラーが検出されて、次のメッセージによって通知される。fdformat: check diskette density, I/O error


    fdformat コマンドは、確認メッセージを表示して、実行されるフォーマットのタイプを示します。


    Formatting 1.44 M in /vol/dev/rdiskette0/unformatted
    Press return to start formatting floppy.
  5. 目的に応じて、以下のいずれかのキーを使用します。

    目的 

    使用するキー 

    フォーマットのタイプの確認 

    Return キー (前の手順で -f オプションを使用していない場合。使用した場合は、確認は不要。)

    フォーマットの取り消し 

    Ctrl-c キー 

    フォーマット処理中には、ドットが連続して表示されます。検査処理中には、ドットの後に V が連続して表示されます。表示が停止すると、フォーマットは完了し、DOS システム上でフロッピーディスクが使用できるようになります。

  6. フロッピーディスクが挿入されたことをボリューム管理に通知するために、-i オプションを指定して volrmmount コマンドを呼び出します。


    $ volrmmount -i floppy0
    

    ボリューム管理は、フロッピーディスクを /floppy/floppy0 の下にマウントします。

例 - DOS 用にフロッピーディスクをフォーマットする

次の例は、1.44 M バイトで MS-DOS 用にフロッピーディスクをフォーマットして、そのフロッピーディスクに myfiles という名前を付けています。


$ fdformat -v -U -b myfiles
Formatting 1.44 M in /vol/dev/rdiskette0/unformatted
Press return to start formatting floppy. [ Return キー ]
......................................................
vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv