ホットプラグ機能とは、システムが動作しているときでも、システム構成要素を物理的に取り付け、取り外し、または交換できる機能のことです。動的再構成とは、システム構成要素をホットプラグできる機能であり、さらに、システム資源をシステムから物理的に取り外さなくても (なんらかの方法で) システム資源 (ハードウェアとソフトウェアの両方) をシステム内で移動したり、無効にしたりできる機能のことです。
今回のリリースの Solaris では、cfgadm コマンドを使用すると、SPARC と IA の両システムでは SCSI デバイスをホットプラグでき、IA のシステムでは PCI アダプタカードをホットプラグできます。cfgadm コマンドには次のような機能があります。
システム構成要素の状態の表示
システム構成要素の検査
システム構成要素の構成の変更
構成ヘルプメッセージの表示
cfgadm コマンドでシステム構成要素を再構成する利点は、システムが動作しているときでも、システム構成要素を取り付け、取り外し、または交換できることです。さらに、cfgadm コマンドでは、システム構成要素を取り付け、取り外し、または交換するために必要な手順が示されます。SCSI 構成要素をホットプラグする手順については、cfgadm(1M) のマニュアルページと 「cfgadm コマンドによる SCSI ホットプラグ」を参照してください。IA のシステムにおいて PCI アダプタカードをホットプラグする手順については、「IA: cfgadm コマンドによる PCI ホットプラグ」を参照してください。
すべての SCSI と PCI のコントローラが cfgadm コマンドによるホットプラグ機能をサポートしているわけではありません。ホットプラグ機能をサポートしている PCI ハードウェアのリストについては、『Solaris 8 ハードウェア互換リスト (Intel 版)』を参照してください。
Sun が提供する高可用性の一部として、ホットプラグ機能は他の階層化製品 (代替パス指定やフェイルオーバーソフトウェアなど) とともに使用することをお勧めします。デバイス障害に対する耐性が高くなります。
高可用性ソフトウェアがなくても、障害が発生したデバイスを交換できます。この場合、適切なアプリケーションを手動で停止し、重要でないファイルシステムのマウントを手動で解除し、デバイスを取り付けまたは取り外します。
cfgadm コマンドは接続点についての情報を表示します。接続点とは、動的再構成を行うことができるシステム内の特定の場所のことです。
接続点は、次の要素から構成されています。
占有装置 (occupant): システムに構成できるハードウェア資源のことです。
受容体 (receptacle): 占有装置を受け入れる場所のことです。
接続点は、論理と物理の両方の接続点 ID (ap_id) で表現されます。物理 ap_id は接続点の物理的なパス名です。論理 ap_id は物理 ap_id に代わるユーザーに理解しやすい ID です。ap_id についての詳細は、cfgadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
通常、SCSI HBA (Host Bus Adapter)、つまり、SCSI コントローラの論理 ap_id はコントローラ番号 (c0 など) で表現されます。
コントローラ番号が SCSI HBA に割り当てられていない場合、内部的に生成された固有の識別子が提供されます。たとえば、SCSI コントローラの固有な識別子は次のようになります。
fas1:scsi
通常、SCSI デバイスの論理 ap_id は次のようになります。
HBA-logical-apid::device-identifier
次の例において、c0 は SCSI HBA の論理 ap_id です。
c0::dsk/c0t3d0
通常、デバイス識別子は /dev ディレクトリ内にある論理デバイス名から導き出されます。たとえば、論理デバイス名が /dev/rmt/1 のテープデバイスの論理 ap_id は次のようになります。
c0::rmt/1
SCSI デバイスの論理 ap_id を /dev ディレクトリ内にある論理デバイス名から導き出すことができない場合、内部的に生成された固有の識別子が提供されます。たとえば、上記テープデバイスの固有な識別子は次のようになります。
c0::st4
SCSI (デバイスの) ap_id についての詳細は、cfgadm_scsi(1M) のマニュアルページを参照してください。
cfgadm コマンドはすべての資源と動的再構成の操作を、一般的な状態 (configured、unconfigured など) や操作 (connect、configure、unconfigure など) を示す用語で表現します。一般的な状態と操作については、cfgadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
次に、SCSI HBA 接続点の受容体と占有装置の状態を説明します。
受容体の状態 |
説明 |
占有装置の状態 |
説明 |
---|---|---|---|
empty |
SCSI HBA には利用できない。 |
configured |
1 つまたは複数のデバイスがバス上で構成されている。 |
disconnected |
バスは休止している。 |
unconfigured |
デバイスは構成されていない。 |
connected |
バスはアクティブである。 |
|
|
次に、SCSI デバイス接続点の受容体と占有装置の状態を説明します。
受容体の状態 |
説明 |
占有装置の状態 |
説明 |
---|---|---|---|
empty |
SCSI デバイスには利用できない。 |
configured |
デバイスが構成されている。 |
disconnected |
デバイスは構成されていない。 |
unconfigured |
デバイスは構成されていない。 |
connected |
バスはアクティブである。 |
|
|
SCSI 接続点の条件は特別なハードウェアによって示されない限り未知です。SCSI 構成要素の構成情報を表示する手順については、以降の節を参照してください。
デバイスドライバがホットプラグ機能をサポートしている場合、必須でないシステム資源として機能している PCI アダプタカードは取り外すことができます。重要なシステム資源として機能している PCI アダプタカードは取り外すことができません。PCI アダプタカードが取り外し可能であるためには、次の条件が必要です。
デバイスドライバはホットプラグ機能をサポートしていなければなりません。
重要な資源には代替パスでアクセスできなければなりません。
たとえば、システムにインストールされているイーサネットカードが 1 つしかない場合、ネットワーク接続を切断せずにこのイーサネットカードを取り外すことは不可能です。このような環境でネットワーク接続をアクティブに保ったままイーサネットカードを交換するには、別の階層化ソフトウェアサポートが必要です。
PCI アダプタカードをシステムに取り付けるには、次の条件が必要です。
スロットが利用できなければなりません。
デバイスドライバが当該アダプタカードのホットプラグ機能をサポートしていなければなりません。
PCI アダプタカードの取り付けまたは取り外しの手順については、「IA: cfgadm コマンドによる PCI ホットプラグ」を参照してください。