Solaris のシステム管理 (第 1 巻)

format ユーティリティ

format ユーティリティの使用方法や参照情報を読む前に概要を知りたい場合は、以下を読んでください。

定義

format ユーティリティは、Solaris システム用にハードディスクドライブを用意するためのシステム管理ツールです。format ユーティリティは、フロッピーディスクドライブ、CD-ROM ドライブ、テープドライブに対しては使用できません。

機能と利点

表 28-5 に、format ユーティリティの機能とその利点を示します。

表 28-5 format ユーティリティの機能と利点

機能 

利点 

システム内で接続されている全ディスクドライブを検索する 

次の情報を表示する。

  • ターゲットの位置

  • ディスクのジオメトリ

  • ディスクがフォーマット済みかどうか

  • ディスク上にマウントされているパーティションが存在するかどうか

ディスクラベルを検索する 

修復処理に使用する。 

欠陥セクターを修復する 

回復可能なエラーが発生したディスクドライブをメーカーに返送しなくても、熟練した管理者なら修復できる。 

ディスクをフォーマットして、分析する 

ディスク上でセクターを作成し、検査する。 

ディスクをパーティションに分割する 

個々のファイルシステムを別々のスライス上で作成できるようにディスクを分割する。 

ディスクにラベルを付ける 

後から検索できるように (通常は修復用)、ディスクにディスク名と構成情報を書き込む。 

format ユーティリティの全オプションついての詳細は、第 32 章「format ユーティリティ (参照情報)」を参照してください。

format ユーティリティを使用する場合

Solaris のインストール処理の一部として、Solaris インストールプログラムによってディスクがパーティションに分割され、ラベルが付けられます。次のような場合には、format ユーティリティを使用する必要があります。

システム管理者が format ユーティリティを使用するのは、主にディスクをディスクスライスに分割するためです。これらの手順については、第 30 章「SPARC: ディスクの追加 (手順)」第 31 章「IA: ディスクの追加 (手順)」を参照してください。

format ユーティリティの使用上のガイドラインについては、表 28-6 を参照してください。

format ユーティリティ使用上のガイドライン

表 28-6 format ユーティリティのガイドライン

用途 

注意事項 

参照先 

ディスクをフォーマットする 

  • ディスクをフォーマットし直すと、既存のデータが失われる。

  • ディスクドライブをフォーマットしてパーティションに分割した状態で出荷するメーカーが増えているので、ディスクドライブをフォーマットする必要性は減少している。既存のシステムにディスクドライブを追加する場合は、format ユーティリティを使用しなくてもすむことがある。

  • ディスクを配置し直したら多数のディスクエラーが表示される場合は、フォーマットし直してみるとよい。不良セクターが自動的にマッピングし直される。

「ディスクをフォーマットする方法」

システムディスクを交換する 

  • 損傷したシステムディスクのデータは、バックアップ媒体から復元しなければならない。復元しなければ、インストールプログラムを使用してシステムをもう一度インストールしなければならなくなる。

第 30 章「SPARC: ディスクの追加 (手順)」または第 31 章「IA: ディスクの追加 (手順)」、システムをインストールし直さなければならない場合は、『Solaris 8 のインストール (上級編)

ディスクをスライスに分割する 

  • すでにスライスに分割されているディスクをパーティションに分割し直してラベルを付け直すと、既存のデータが失われる。

  • ディスクにラベルを付け直し、ディスクをパーティションに分割し直す前に、復元するために既存のデータをバックアップ媒体にコピーしなければならない。

第 30 章「SPARC: ディスクの追加 (手順)」または第 31 章「IA: ディスクの追加 (手順)」

既存のシステムにディスクを追加する 

  • 二次ディスクをフォーマットし直すか、パーティションに分割し直す場合は、既存のデータをバックアップ媒体から復元しなければならない。

第 30 章「SPARC: ディスクの追加 (手順)」または第 31 章「IA: ディスクの追加 (手順)」

ディスクドライブを修復する 

  • 顧客のサイトによっては、欠陥ドライブの修復ではなくドライブ自体の交換を希望する場合がある。サイトがディスクドライブのメーカーと保守契約を結んでいる場合は、format ユーティリティを使用してディスクドライブを修復する必要はない。

  • 通常、ディスクドライブの修復とは、不良セクターを欠陥リストに追加することを意味する。新しいコントローラは不良セクターを自動的にマップし直すので、システムを中断する必要はない。

  • システムに旧型のコントローラがある場合や、失われたデータを復元する場合は、不良セクターをマップし直す必要がある。

第 32 章「format ユーティリティ (参照情報)」

ディスクのフォーマット

ほとんどの場合、ディスクはメーカーまたは再販業者によってフォーマットされているので、ドライブをインストールするときにフォーマットし直す必要はありません。ディスクがフォーマットされているかどうかを判別するには、format ユーティリティを使用します。詳細は、「ディスクがフォーマット済みかどうかを調べる方法」を参照してください。

ディスクがフォーマットされていない場合、format ユーティリティを使用してフォーマットしてください。

ディスクのフォーマットでは、次の 2 つのことが行われます。


注意 - 注意 -

フォーマットは、ディスク上のデータを上書きします。このため、通常は、メーカーや再販業者のみがディスクをフォーマットします。ディスクに欠陥があるために問題が再発していると思われる場合は、format ユーティリティを使用して表面解析を実行できますが、データを破壊しないコマンドのみを使用するように注意してください。詳細は、「ディスクをフォーマットする方法」を参照してください。


データに利用できる合計ディスク容量のうち、ごくわずかな容量が欠陥情報とフォーマット情報の格納に使用されます。この容量はディスクのジオメトリによって異なり、使用年数がたち欠陥箇所が多くなるにつれて、少なくなります。

ディスクの種類とサイズに応じて、フォーマットは数分から数時間かかります。