Solaris システムソフトウェアでは、次の 3 種類のファイルシステムがサポートされます。
ディスクベースのファイルシステム
ネットワークベースのファイルシステム
仮想ファイルシステム
ファイルシステムのタイプを確認するには、「ファイルシステムのタイプを調べる」を参照してください。
ディスクベースのファイルシステムは、ハードディスク、CD-ROM、フロッピーディスクなどの物理媒体に格納されます。ディスクベースのファイルシステムは、さまざまな形式で作成できます。利用できる形式は次のとおりです。
ディスクベースのファイルシステム |
説明 |
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UFS |
UNIX ファイルシステム (4.3 Tahoe リリースに組み込まれていた BSD Fast File システム)。UFS は、Solaris オペレーティング環境のデフォルトのディスクベースファイルシステムです。 UFS ファイルシステムをディスク上に作成する前に、そのディスクをフォーマットし、スライスに分割しなければなりません。ディスクのフォーマットとディスクのスライスへの分割についての詳細は、第 28 章「ディスクの管理 (概要)」を参照してください。 |
HSFS |
High Sierra と ISO 9660 のファイルシステム。High Sierra は、初めての CD-ROM ファイルシステムです。ISO 9660 は、High Sierra ファイルシステムの公式の標準バージョンです。HSFS ファイルシステムは CD-ROM 上で使用される読み取り専用ファイルシステムです。Solaris HSFS では、ISO 9660 への Rock Ridge 拡張がサポートされるので、CD-ROM 上でも、すべての UFS ファイルシステムのセマンティクスとファイルタイプを提供します。ただし、書き込み可能ではなく、ハードリンクも提供しません。 |
PCFS |
PC ファイルシステム。DOS ベースのパーソナルコンピュータ用に作成された DOS フォーマットのディスク上のデータとプログラムに読み取り/書き込みのアクセスができます。 |
UDF |
UDF ファイルシステム。DVD (Digital Versatile Disc または Digital Video Disc) と呼ばれる光学式媒体テクノロジに情報を格納するための業界標準形式。 |
ディスクベースの各種ファイルシステムは、次のように特定の媒体のタイプに対応しています。
UFS とハードディスク
HSFS と CD-ROM
PCFS とフロッピーディスク
UDF と DVD
ただし、上記以外の組み合わせも可能です。たとえば、CD-ROM やフロッピーディスクにも、UFS ファイルシステムを格納できます。
ネットワークベースのファイルシステムは、ネットワーク上でアクセスされるファイルシステムです。一般に、ネットワークベースのファイルシステムは 1 つのシステム上 (通常はサーバー上) にあり、他のシステムからネットワーク経由でアクセスされます。NFS は、ネットワークベースまたは分散コンピューティングで利用できる唯一のファイルシステムです。
NFS で分散資源 (ファイルやディレクトリ) を管理するには、サーバーから分散資源をエクスポートして個々のクライアントシステムでそれらをマウントします。詳細は、「NFS 環境」を参照してください。
仮想ファイルシステムは、特殊なカーネル情報と機能へのアクセスを提供するメモリーベースのファイルシステムです。ほとんどの仮想ファイルシステムは、ディスク領域を使用しません。ただし、キャッシュファイルシステム (CacheFS) は、ディスク上のファイルシステムを使用してキャッシュを保持します。また、一時ファイルシステム (TMPFS) などの一部の仮想ファイルシステムは、ディスク上のスワップ空間を使用します。
キャッシュファイルシステム (CacheFS) を使用すると、リモートファイルシステムや、CD-ROM ドライブのような低速デバイスのパフォーマンスを改善できます。ファイルシステムをキャッシュすると、リモートファイルシステムや CD-ROM から読み込まれたデータは、ローカルシステム上のキャッシュに格納されます。CacheFS ファイルシステムの設定と管理については、第 37 章「キャッシュファイルシステム (手順)」を参照してください。
一時ファイルシステム (TMPFS) は、ファイルシステムの読み取りと書き込みにローカルメモリーを使用します。一般に、一時ファイルシステムは、UFS ファイルシステムに比べてアクセス速度が高速です。TMPFS を使用すると、ローカルディスク上で、あるいはネットワーク経由で一時ファイルの読み書きを行う際のオーバヘッドを軽減でき、システムパフォーマンスを改善できます。たとえば、プログラムをコンパイルすると一時ファイルが作成されます。オペレーティングシステムは、これらのファイルを処理する間に大量のディスク処理やネットワーク処理を行います。TMPFS を使用してこれらの一時ファイルを格納すると、その作成、処理、または削除が大幅に高速になります。
ファイルシステムのマウントが解除されるときと、システムがシャットダウンまたはリブートされるときに、一時ファイルシステム上のファイルは削除されます。
TMPFS は、Solaris オペレーティング環境内の /tmp ディレクトリのデフォルトのファイルシステムです。UFS /tmp ファイルシステムの場合と同様に、/tmp ディレクトリとの間でファイルをコピーまたは移動できます。
TMPFS ファイルシステムは、一時的な退避場所としてスワップ空間を使用します。TMPFS ファイルシステムがマウントされたシステムのスワップ空間が足りないと、次の 2 つの問題が発生する可能性があります。
TMPFS ファイルシステムは、通常のファイルシステムがいっぱいになるのと同様に容量不足になる可能性がある。
TMPFS はスワップ空間を割り当ててファイルのデータを保存するので (必要な場合)、一部のプログラムがスワップ空間不足のために実行できなくなる。
TMPFS ファイルシステムの作成方法については、第 35 章「ファイルシステムの作成 (手順)」を参照してください。スワップ空間を拡張する方法については、第 38 章「追加スワップ空間の構成 (手順)」を参照してください。
ループバックファイルシステム (LOFS) を使用すると、代替パス名を使用してファイルにアクセスできるように、新しい仮想ファイルシステムを作成できます。たとえば、ルート (/) のループバックマウントを /tmp/newroot 上で作成できます。ファイルシステム階層全体が、NFS サーバーからマウントされるファイルシステムを含め、/tmp/newroot 上に複写されたように見えます。どのファイルにも、ルート (/) で始まるパス名または /tmp/newroot で始まるパス名を使用してアクセスできます。
LOFS ファイルシステムの作成方法については、第 35 章「ファイルシステムの作成 (手順)」を参照してください。
プロセスファイルシステム (PROCFS) はメモリー内にあります。PROCFS の /proc ディレクトリには、有効なプロセスのプロセス番号別リストが入っています。/proc ディレクトリ内の内容は、ps などのコマンドに使用されます。デバッガや他の開発ツールも、ファイルシステムコールを使用して、プロセスのアドレス空間にアクセスできます。
/proc ディレクトリ内のファイルは削除しないでください。/proc ディレクトリからプロセスを削除しても、そのプロセスは強制終了されません。/proc ファイルはディスク容量を消費しないため、このディレクトリからファイルを削除してもあまり意味がありません。
/proc ディレクトリは、システム管理が不要です。
次のタイプの仮想ファイルシステムは、参考のために掲載してあります。管理は不要です。
仮想ファイルシステム |
説明 |
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FIFOFS (先入れ先出し) | |
FDFS (ファイル記述子) | |
NAMEFS | |
SPECFS (特殊) | |
SWAPFS |