指定したファイルシステム内のファイルにユーザーがローカルにアクセスできるように、キャッシュにマウントされるファイルシステムを指定します。実際には、各ファイルは、ユーザーがアクセスするまではキャッシュに書き込まれません。
キャッシュにマウントされるファイルシステムを指定するには、次の 3 つの方法があります。
キャッシュにマウントされるファイルシステムを指定する方法 |
説明 |
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mount(1M) コマンドを使用する方法 |
同じファイルにアクセスするには、システムをリブートするたびに mount コマンドを使用する |
/etc/vfstab ファイルを編集する方法 |
一度だけですむ。/etc/vfstab ファイルの内容は、システムをリブートした後も変更されずに残る。 |
AutoFS を使用する方法 |
一度だけですむ。AutoFS のマップは、システムをリブートした後も変更されずに残る。 |
いずれかの方法を選択してファイルシステムをマウントしてください。
CacheFS では、ルート (/) と /usr のファイルシステムをキャッシュに書き込むことはできません。ルート (/) と /usr のファイルシステムをキャッシュに書き込むには、Solstice AutoClient 製品を購入しなければなりません。AutoClient 製品の詳細は、『Solstice AutoClient 2.1 管理者ガイド』を参照してください。
スーパーユーザーになります。
マウントポイントを作成します。
マウントポイントを作成すると、ユーザーはそのマウントポイントで指定されたファイルシステムにアクセスできます。マウントポイントはどこからでも作成できます。次の手順のように、マウントコマンドで使用する CacheFS オプションによって、作成するマウントポイントを、指定したキャッシュディレクトリ内のキャッシュに書き込むように決めます。
mount コマンドを使用して、ファイルシステムをキャッシュにマウントします。
# mount -F cachefs -o backfstype=fstype,cachedir=cache-directory[,options] back-filesystem mount-point |
fstype | |
cache-directory |
キャッシュがあるディレクトリ名。これは、「キャッシュを作成する方法」でキャッシュを作成するときの指定と同じ |
options |
ファイルシステムをキャッシュにマウントするときに追加できる他のマウントオプションを指定する。CacheFS マウントオプションの詳細は、mount_cachefs(1M) のマニュアルページを参照 |
back-filesystem |
キャッシュにマウントするバックファイルシステムのマウントポイント。バックファイルシステムが NFS ファイルシステムであれば、merlin: /usr/openwin など、ファイルシステムのマウント元となるサーバーのホスト名と、キャッシュにマウントするファイルシステム名 (コロンで区切る) を指定しなければならない |
mount-point |
ファイルシステムのマウント先となるディレクトリ |
作成したキャッシュが実際にマウントされたかどうかを確認するには、次のように cachefsstat(1M) コマンドを使用します。
# cachefsstat mount-point |
たとえば、次のようになります。
# cachefsstat /docs /docs cache hit rate: 100% (0 hits, 0 misses) consistency checks: 1 (1 pass, 0 fail) modifies: 0 garbage collection: 0 |
マウントポイントは、作成したキャッシュファイルシステムです。cachefsstat コマンドの詳細は、「CacheFS の統計情報」を参照してください。
ファイルシステムがキャッシュにマウントされなかった場合は、次のようなエラーメッセージが表示されます。
# cachefsstat mount-point cachefsstat: mount-point: not a cachefs mountpoint |
次の例では、マウントポイント /docs を作成し、NFS ファイルシステム merlin:/docs を、キャッシュされたファイルシステム /docs としてキャッシュ /local/mycache にマウントします。
# mkdir /docs # mount -F cachefs -o backfstype=nfs,cachedir=/local/mycache merlin:/docs /docs |
次の例では、CD-ROM (HSFS ファイルシステム) をキャッシュされたファイルシステム /docs として使用できるようにします。CD-ROM には書き込めないので、引数 ro を指定してキャッシュされたファイルシステムを読み込み専用にします。CD-ROM は挿入時にボリューム管理によって自動的にマウントされるので、引数 backpath を指定しなければなりません。マウントポイントは /cdrom ディレクトリにあり、CD-ROM 名によって決まります。マウントする特殊デバイスは、backpath オプションに指定した値と同じです。
# mount -F cachefs -o backfstype=hsfs,cachedir=/local/mycache,ro backpath=/cdrom/cdrom_name /cdrom/cdrom_name /docs |
次の例では、demandconst オプションを使用して、NFS キャッシュファイルシステム /docs の整合性チェックを指定します。/docs のバックファイルシステムは merlin:/docs です。詳細は、「キャッシュされたファイルシステムとバックファイルシステムとの整合性チェック」を参照してください。
# mount -F cachefs -o backfstype=nfs,cachedir=/local/mycache,demandconst merlin:/docs /docs |
スーパーユーザーになります。
エディタを使用して、マウントするファイルシステムを /etc/vfstab ファイル内で指定します。
#device device mount FS fsck mount mount #to mount to fsck point type pass at boot options # /dev/dsk/devicename /dev/rdsk/devicename /mount-point cachefs 2 yes - |
最終行は新しいエントリを表します。
次のように mount コマンドを使用してキャッシュされたファイルシステムをマウントするか、リブートします。
# mount /mount-point |
次の例は、キャッシュファイルシステム用の /etc/vfstab エントリを示します。
#device device mount FS fsck mount mount #to mount to fsck point type pass at boot options # /dev/dsk/c0t1d0s0 /dev/rdsk/c0t1d0s0 /usr/local cachefs 2 yes - |
次のように入力して、/usr/local ディレクトリをキャッシュディレクトリにマウントします。
# mount /usr/local |
自動マウントマップ内で -fstype=cachefs マウントオプションを指定して、AutoFS によってキャッシュにファイルシステムをマウントします。CacheFS のマウントオプション (backfstype や cachedir など) も、自動マウントマップ内で指定します。自動マウントマップについての詳細は、automount(1M) のマニュアルページや、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』も参照してください。
スーパーユーザーになります。
エディタを使用して、次の 1 行を auto_direct マップに追加します。
/mount-point -fstype=cachefs,cachedir=/directory,backfstype=nfs server:/file-system
エディタを使用して、次の 1 行を auto_master マップに追加します。
/-
/- エントリによって、auto_direct マップをチェックするように指示します。
システムをリブートします。
エントリが正しく作成されたか確認するには、次のようにキャッシュにマウントしたファイルシステムにカレントディレクトリを変更して内容を表示します。
# cd filesystem # ls |
AutoFS とマップを編集する方法についての詳細は、『Solaris のシステム管理 (第 3 巻)』の AutoFS に関する章を参照してください。
次の auto_master エントリは、キャッシュファイルシステムを /docs ディレクトリに自動的にマウントします。
/docs -fstype=cachefs,cachedir=/local/mycache,backfstype=nfs merlin:/docs