Solaris のシステム管理 (第 2 巻)

端末とモデムの設定

シリアルポート情報を設定するときは、Admintool を起動して、「ブラウズ (Browse)」メニューから「シリアルポート (Serial Ports)」を選択します。「Admintool : シリアルポート (Serial Ports)」ウィンドウからシリアルポートを選択して、次に「編集 (Edit)」メニューから「変更 (Modify)」を選択すると、「Admintool : シリアルポートの設定 (Modify Serial Port)」ウィンドウが表示されます。また、このウィンドウには、「基本 (Basic)」、「中級 (More)」、「上級 (Expert)」という 3 つの認定レベルで、ポートに関する情報が表示されます。

Graphic
注 -

「Admintool : シリアルポートの設定 (Modify Serial Ports)」ウィンドウは「基本 (Basic)」モードで表示されます。「中級 (More)」や「上級 (Expert)」レベルを表示するには、「認定レベル (Detail)」メニューから「中級 (More)」または「上級 (Expert)」オプションを選択してください。


表 13-1 で「Admintool : シリアルポートの設定 (Modify Serial Ports)」ウィンドウの各項目を説明します。

表 13-1 「Admintool : シリアルポートの設定 (Modify Serial Ports)」ウィンドウの項目

認定レベル 

項目 

説明 

基本 (Basic) 

ポート (Port) 

シリアルポートのメインウィンドウから選択した 1 つ以上のポートのリストを表示する 

 

サービスの利用 (Service Enable) 

ポートに対するサービスをオン (有効) にする 

 

ボーレート (Baud Rate) 

端末と通信する回線速度を指定する。回線速度は /etc/ttydefs ファイル内のエントリで指定される

 

端末タイプ (Terminal Type) 

ansi や vt100 などのように端末タイプの省略形を指定する。省略名については /etc/termcap を参照。この値は $TERM 環境変数に設定される

中級 (More) 

オプション: 初期化操作のみ (Option: Initialize Only) 

ポートソフトウェアが初期化されるが、構成されないように指定する 

 

オプション: 発着信両用 (Option : Bidirectional) 

ポート回線が発着信両用に使用されるように指定する 

 

オプション: ソフトウェアキャリア (Option: Software Carrier) 

ソフトウェアのキャリア検出機能が使用されるように指定する。このオプションをチェック (選択) しないと、「ハードウェア」のキャリア検出機能が使用される 

 

ログインプロンプト (Login Prompt) 

接続が確立後に、ユーザー向けにプロンプトを表示する 

 

備考欄 (Comment) 

サービス用のコメントフィールドを表示する 

 

サービスタグ (Service Tag) 

このポートに対応するサービスタグを表示する。このタグは通常 /dev/term ディレクトリ内のエントリである

 

ポートモニタータグ (Port Monitor Tag) 

このポートに使用されるポートモニター名を指定する。 

注: 通常、モニターはデフォルトで正しく設定される 

上級 (Expert) 

utmpx エントリの作成 (Create utmp Entry)

ログイン時にアカウンティングファイルに utmpx エントリが作成されるように指定する。

注: ログインサービスを使用する場合は、この項目を選択しなければならない。「サービス」の項目を参照 

 

キャリア検出時に接続 (Connect on Carrier) 

接続指示を受け取るとすぐにポート対応するサービスが起動されるように指定する 

 

サービス (Service) 

接続時に実行されるプログラムを表示する 

 

ストリームモジュール (Streams Modules) 

サービスが起動される前にプッシュされる STREAMS モジュールを表示する 

 

タイムアウト (秒) 

ポートのオープンプロセスが正常に終了しているが入力データが受信されない場合に、ポートを閉じるまでの秒数を指定する 

端末の設定

表 13-2 にシリアルポートを使用して端末を設定する際のメニュー項目 (およびそれらのデフォルト値) を示します。

表 13-2 端末 - ハード接続のデフォルト値

認定レベル 

項目 

デフォルト値 

基本 (Basic) 

ポート (Port) 

 

サービスの利用 (Service Enable) 

有効 

 

ボーレート (Baud Rate) 

9600

 

端末タイプ (Terminal Type) 

中級 (More) 

オプション: 初期化操作のみ (Option: Initialize Only) 

なし 

 

オプション: 発着信両用 (Option: Bidirectional) 

なし 

 

オプション: ソフトウェアキャリア (Option : Software Carrier) 

あり 

 

ログインプロンプト (Login Prompt) 

login:

 

備考欄 (Comment) 

端末 - ハード接続 

 

サービスタグ (Service Tag) 

 

ポートモニタータグ (Port Monitor Tag) 

zsmon

上級 (Expert) 

utmpx エントリの作成 (Create utmp Entry)

あり 

 

キャリア検出時に接続 (Connect on Carrier) 

なし 

 

サービス (Service) 

/usr/bin/login

 

ストリームモジュール (Streams Modules) 

ldterm, ttcompat

 

タイムアウト (秒) (Timeout) (secs) 

なし 

モデムの設定

表 13-3 に、Solstice シリアルポートでモデムを設定する際に使用できる 3 つのモデム用テンプレートを示します。

表 13-3 モデム用テンプレート

モデム構成 

説明 

モデム - 着信専用 

モデムに着信はできるが、発信はできない。 

モデム - 発信専用 

モデムから発信はできるが、着信はできない。 

モデム - 発着信両用 

モデムへ着信も、モデムから発信もできる。 

表 13-4 に各テンプレートのデフォルト値を示します。

表 13-4 モデム用テンプレートのデフォルト値

認定レベル 

項目 

モデム - 着信専用 

モデム - 発信専用 

モデム - 発着信両用 

基本 (Basic) 

ポート (Port) 

 

サービスの利用 (Service Enable) 

有効 

有効 

有効 

 

ボーレート (Baud Rate) 

9600

9600

9600

 

端末タイプ (Terminal Type) 

中級 (More) 

オプション: 初期化操作のみ  

あり 

なし 

なし 

 

オプション: 発着信両用 

なし 

なし 

あり 

 

オプション: ソフトウェアキャリア (Option: Software Carrier) 

なし 

なし 

なし 

 

ログインプロンプト (Login Prompt) 

login:

login:

login:

 

備考欄 (Comment) 

モデム - 着信専用 

モデム - 発信専用 

モデム - 発着信両用 

 

サービスタグ (Service Tag) 

 

ポートモニタータグ 

zsmon

zsmon

zsmon

上級 (Expert) 

utmpx エントリの作成 (Create utmp Entry)

あり 

あり 

あり 

 

キャリア検出時に接続 (Connect on Carrier) 

なし 

なし 

なし 

 

サービス (Service) 

/usr/bin/login

/usr/bin/login

/usr/sbin/login

 

ストリームモジュール (Streams Modules)  

ldterm, ttcompat

ldterm, ttcompat

ldterm, ttcompat

 

タイムアウト (秒) (Timeout) (secs) 

なし 

なし 

なし 

表 13-5 では、「初期化操作のみ」テンプレートの各デフォルト値を示します。

表 13-5 「初期化操作のみ (Initialize Only)」のデフォルト値

認定レベル 

項目 

説明 

基本 (Basic) 

ポート (Port) 

 

サービスの利用 (Service Enable) 

有効 

 

ボーレート (Baud Rate) 

9600 

 

端末タイプ (Terminal Type) 

中級 (More) 

オプション: 初期化操作のみ (Option: Initialize Only) 

あり 

 

オプション: 発着信両用 (Option: Bidirectional) 

なし 

 

オプション: ソフトウェアキャリア (Option: Software Carrier) 

なし 

 

ログインプロンプト (Login Prompt) 

login:

 

備考欄 (Comment) 

初期化操作のみ - 接続なし 

 

サービスタグ (Service Tag) 

 

ポートモニタータグ (Port Monitor Tag) 

zsmon

上級 (Expert) 

utmpx エントリの作成 (Create utmp Entry)

あり 

 

キャリア検出時に接続 (Connect on Carrier) 

なし 

 

サービス (Service) 

/usr/bin/login

 

ストリームモジュール (Streams Modules) 

ldterm,ttcompat

 

タイムアウト (秒) (Timeout) (secs) 

なし 

Admintool を起動する方法

  1. Admintool を使用するには次の条件が必要です。

    • ビットマップディスプレイモニターがある。Admintool ソフトウェアは、Sun のワークステーションの標準ディスプレイモニターなど、ビットマップ画面のコンソールを使用するシステムでだけ使用できます。

    • CDE 環境などの X Window System を実行している。

    • sysadmin グループ (グループ 14) のメンバーになっている。

    コンソールとして ASCII 端末を使用するシステムで管理作業を行いたい場合は、Solaris のコマンドを使用してください。

  2. Admintool を起動します。


    $ admintool &
    

    「Admintool : ユーザー (Users)」のメインウィンドウが表示されます。

端末を設定する方法

  1. Admintool を起動します。

    詳細は、「Admintool を起動する方法」を参照してください。

  2. 「ブラウズ (Browse)」メニューから「シリアルポート (Serial Ports)」を選択します。

    「Admintool : シリアルポート (Serial Ports)」ウィンドウが表示されます。

  3. 端末に使用するポートを 1 つまたは複数選択します。

  4. 「編集 (Edit)」メニューから「変更 (Modify)」を選択します。

    「Admintool : シリアルポートの設定 (Modify Serial Ports)」ウィンドウが「基本 (Basic)」モードで表示されます。より詳細なレベルにするには、「中級 (More)」または「上級 (Expert)」モードを選択してください。

  5. 「テンプレート (Template)」メニューから「端末 - ハード接続 (Terminal-Hardwired)」を選択します。

    「端末 - ハード接続 (Terminal-Hardwired)」メニューの項目については、表 13-2 の説明を参照してください。

  6. 必要な場合は、テンプレートエントリの値を変更します。

  7. 「了解 (OK)」をクリックしてポートを設定します。

  8. 次のように pmadm コマンドを使用して、端末サービスが設定されていることを確認します。


    $ pmadm -l -s ttya
    

端末を設定する「Admintool : シリアルポートの設定 (Modify Serial Ports)」ウィンドウの入力例

Graphic

モデムを設定する方法

  1. Admintool を起動します。

    詳細は、「Admintool を起動する方法」を参照してください。

  2. 「ブラウズ (Browse)」メニューから「シリアルポート (Serial Ports)」を選択します。

    「Admintool : シリアルポート (Serial Ports)」ウィンドウが表示されます。

  3. モデムに使用するポートを 1 つまたは複数選択します。

  4. 「編集 (Edit)」メニューから「変更 (Modify)」を選択します。

    「Admintool : シリアルポートの設定 (Modify Serial Ports)」ウィンドウが「基本 (Basic)」モードで表示されます。より詳細なレベルにするには、「中級 (More)」または「上級 (Expert)」モードを選択してください。

  5. 「テンプレート (Template)」メニューから、目的のモデムサービスに合う、または最もよく一致するモデム設定テンプレートを選択します。

    各テンプレートについては、表 13-3 の説明を参照してください。

    各テンプレートのデフォルト値については、表 13-4 を参照してください。UUCP サービスを使用して Solaris システムのモデムを着信専用にする場合は、「モデムを UUCP 用に設定する方法」を参照してください。

  6. 必要な場合は、テンプレートエントリの値を変更します。

  7. 「了解 (OK)」をクリックしてポートを設定します。

  8. 次のように pmadm コマンドを使用して、UUCP 用のモデムサービスが構成されていることを確認します。


    $ pmadm -l -s ttyb
    

モデムを設定する「Admintool : シリアルポートの設定 (Modify Serial Ports)」ウィンドウの入力例

Graphic

モデムを UUCP 用に設定する方法

UUCP は、7 ビット、偶数パリティを使用してサービスに情報を送ります。Solaris のモデム設定では、国際化対応の目的から、8 ビット、パリティなしが使用されます。次の手順でモデムサービスを UUCP 用に設定してください。

  1. Admintool を起動します。

    詳細は、「Admintool を起動する方法」を参照してください。

  2. 「ブラウズ (Browse)」メニューから「シリアルポート (Serial Ports)」を選択します。

    「Admintool : シリアルポート (Serial Ports)」ウィンドウが表示されます。

  3. モデムに使用するポートを 1 つまたは複数選択します。

  4. 「編集 (Edit)」メニューから「変更 (Modify)」を選択します。

    「Admintool : シリアルポートの設定 (Modify Serial Ports)」ウィンドウが「基本 (Basic)」モードで表示されます。より詳細なレベルにするには、「中級 (More)」または「上級 (Expert)」モードを選択してください。

  5. 「ボーレート (Baud Rate)」メニューから「その他 ... (Other)」を選択します。

    /etc/ttydefs ファイルにあるボーレートリストを示すウィンドウが表示されます。

  6. 7 ビット、偶数パリティのサービスを提供するボーレートを入力します。「了解 (OK)」をクリックします。

  7. 必要な場合は、他のテンプレートエントリの値を変更します。

  8. 「了解 (OK)」をクリックしてポートを設定します。

  9. 次のように pmadm コマンドを使用して、UUCP 用のモデムサービスが構成されていることを確認します。


    $ pmadm -l -s ttya
    

例 - モデムを UUCP 用に設定する

次の例では、9600E ボーレートが選択されています。これで、9600 ボーレート、7 ビット、偶数パリティのサービスが提供されます。

Graphic

ポートを初期化する方法

  1. Admintool を起動します。

    詳細は、「Admintool を起動する方法」を参照してください。

  2. 「ブラウズ (Browse)」メニューから「シリアルポート (Serial Ports)」を選択します。

    「Admintool : シリアルポートの設定 (Modify Serial Ports)」ウィンドウが表示されます。

  3. 初期化したいポートを 1 つまたは複数選択します。

  4. 「編集 (Edit)」メニューから「変更 (Modify)」を選択します。

    「Admintool : シリアルポートの設定 (Modify Serial Ports)」ウィンドウが「基本 (Basic)」モードで表示されます。より詳細なレベルにするには、「中級 (More)」または「上級 (Expert)」モードを選択してください。

  5. 「テンプレート (Template)」メニューから「初期化操作のみ - 接続なし (Initialize Only - No Connection)」を選択します。

    「初期化操作のみ - 接続なし (Initialize Only - No Connection)」テンプレートについては、表 13-5 の説明を参照してください。

  6. 「了解 (OK)」をクリックしてポートを初期化します。

  7. 次のように pmadm コマンドを使用して、ポートが初期化されていることを確認します。


    $ pmadm -l -s ttyb
    

ポートを初期化する変更ウィンドウの入力例

Graphic

ポートを使用不可にする方法

  1. Admintool を起動します。

    詳細は、「Admintool を起動する方法」を参照してください。

  2. 「ブラウズ (Browse)」メニューから「シリアルポート (Serial Ports)」を選択します。

    「Admintool : シリアルポート (Serial Ports)」ウィンドウが表示されます。

  3. 使用不可にしたいポートを 1 つまたは複数選択します。

  4. 「編集 (Edit)」メニューから「変更 (Modify)」を選択します。

  5. 「サービスの利用 (Service Enable)」ボタンをクリックして、「Admintool : シリアルポートの設定 (Modify Serial Ports)」ウィンドウ上のポートサービスを使用不可にします。

    このボタンは、ポートサービスを使用可能と使用不可とに切り替えます。

  6. 「了解 (OK)」をクリックしてポートを使用不可にします。

  7. 次のように pmadm コマンドを使用して、ポートサービスが使用不可にされていることを確認します。


    $ pmadm -l -s ttya
    

ポートを使用不可にする変更ウィンドウの入力例

Graphic

ポートサービスを削除する方法

  1. Admintool を起動します。

    詳細は、「Admintool を起動する方法」を参照してください。

  2. 削除したいサービスを提供するポートを 1 つまたは複数選択します。

  3. 「編集 (Edit)」メニューから「削除 (Delete)」を選択します。

    指定したポートのサービスを本当に削除したいかどうかの確認を求められます。削除操作は取り消すことも、そのまま実行することもできます。

  4. 次のように pmadm コマンドを使用して、ポートサービスが削除されていることを確認します。


    $ pmadm -l -s ttya