この節では、Solaris 8 リリースで使用できるようになった、システムの問題解決に関する新機能について説明します。
新しいアプリケーションデバッグツール apptrace を使用して、アプリケーション開発者やシステムサポート担当者が、Solaris 共有ライブラリの呼び出しを追跡することによって、アプリケーションやシステムの問題をデバッグできます。この追跡では、障害の発生場所に至るまでの一連のイベントを表示できます。
apptrace ツールの呼び出し追跡機能は、以前の sotruss コマンドよりも信頼性が高くなっています。さらに、apptrace ツールでは、Solaris ライブラリインタフェースに対する関数の引数、戻り値、エラー状況の表示が改善されています。
デフォルトでは、apptrace は、コマンド行に指定した実行可能オブジェクトからそのオブジェクトが依存する各共有ライブラリへの直接呼び出しを追跡します。
詳細は、apptrace(1) のマニュアルページを参照してください。
このリリースでは coreadm コマンドが新しく導入されました。coreadm コマンドでは、コアファイルの命名規則が柔軟になり、コアファイルの保存方法が改善されます。たとえば、coreadm コマンドでは、すべてのプロセスコアファイルを同じシステムディレクトリに置くようにシステムを構成できます。そのため、Solaris のプロセスやデーモンが異常終了した場合に、特定のディレクトリにあるコアファイルを調べればよくなり問題の追跡が容易になります。
構成可能な 2 つの新しい core ファイルパス (プロセス別パスとグローバルパス) を、別々に有効にしたり無効にしたりできます。プロセスが異常終了すると、以前の Solaris リリースと同様に core ファイルが現在のディレクトリに作成されます。ただし、グローバルのコアファイルパスが有効で /corefiles/core に設定されている場合、プロセスが異常終了するたびに 2 つのコアファイルが、1 つは現在の作業ディレクトリに、もう 1 つは /corefiles ディレクトリに作成されます。
デフォルトでは Solaris のコアパスとコアファイルの保存方法は従来と同じです。
詳細は、「コアファイルの管理 (coreadm)」と coreadm(1) のマニュアルページを参照してください。
一部の proc ツールが拡張されてプロセスのコアファイルやライブプロセスが調べられるようになりました。proc ツールは、/proc ファイルシステムの機能を操作するユーティリティです。
現在、コアファイルを処理できるツールは /usr/proc/bin/pstack、pmap、pldd、pflags、pcred です。これらのツールを使用するには、プロセス ID を指定するように、コアファイルの名前をコマンド行に指定します。たとえば、次のように指定します。
$ ./a.out Segmentation Fault(coredump) $ /usr/proc/bin/pstack ./core core './core' of 19305: ./a.out 000108c4 main (1, ffbef5cc, ffbef5d4, 20800, 0, 0) + 1c 00010880 _start (0, 0, 0, 0, 0, 0) + b8 |
proc ツールを使ってコアファイルを調べる方法の詳細は、proc(1) のマニュアルページを参照してください。
新しいリモートコンソール機能により、リモートシステムの問題を解決しやすくなりました。
詳細は、「リモートコンソールメッセージングを有効にする」と consadm(1M) のマニュアルページを参照してください。