この章では、DHCP に関する有益な情報を一覧表示します。ファイルと、それらのファイルを使用するコマンドとの間の関係は説明しますが、コマンドの使用方法は説明しません。コマンドはそれらのマニュアルページにリンクしているため、コマンドをクリックして、そのコマンドの関する情報を検索することができます。
表 13-1 では、ネットワーク上で DHCP を管理する際に役立つコマンドを一覧表示します。
表 13-1 DHCP で使用されるコマンド
表 13-2 は、Solaris DHCP に関連するファイルを一覧表示します。
表 13-2 DHCP のデーモンとコマンドが使用するファイル
ファイルのマニュアルページ |
説明 |
---|---|
dhcptab(4) |
割り当てられた値とともにオプションとして記録されている設定情報の表。これらの値はマクロにグループ化される。dhcptab ファイルの位置は、DHCP 情報について使用するデータ保存方法によって決まる |
dhcp_network(4) |
IP アドレスをクライアント ID と設定オプションに割り当てる。DHCP ネットワークテーブルは、172.21.32.0 のようなネットワークの IP アドレスに従って命名される。dhcp_network というファイルはありません。DHCP ネットワークテーブルの位置は、DHCP 情報について使用するデータ保存方法によって決まる |
dhcp(4) |
DHCP デーモンの起動オプションと、DHCP サービスで使用するデータ保存方法の位置とタイプを記録する。このファイルは、/etc/default ディレクトリに存在する |
nsswitch.conf(4) |
ネームサービスデータベースの位置と、さまざまな種類の情報を検索する際にデータベースを検索する順序を指定する。正確な設定情報を得るために DHCP サーバーを設定する際に、この nsswitch.conf ファイルが調べられる。このファイルは、/etc ディレクトリに存在する |
resolv.conf(4) |
DHS リゾルバが使用する情報が入っている。DHCP サーバーの設定中に、このファイルは、DNS ドメインと DNS サーバーに関する情報について調べられる。このファイルは、/etc ディレクトリに存在する |
dhcp.interface |
DHCP が、dhcp.qe0 のようにファイル名で指定されたクライアントのネットワークインタフェースで使用されることを示す。dhcp.interface ファイルには、クライアント上で DHCP を起動するために使用される ifconfig interface dhcp start option コマンドにオプションとして渡されるコマンドが含まれる場合がある。このファイルは、/etc ディレクトリに存在する |
interface.dhc |
一定のネットワークインタフェースについて、DHCP から取得される設定パラメータが含まれる。インタフェースの IP アドレスのリースがドロップされると、このクライアントは、/etc/dhcp/interface.dhc にある現在の設定情報をキャッシュする。DHCP が次にこのインタフェースで起動するときに、リースの有効期限内であれば、このクライアントはキャッシュされた情報を使用するように要求する。DHCP サーバーがこの要求を拒否すると、クライアントは標準 DHCP リースネゴシエーション手順を開始する |
dhcpagent |
dhcpagent クライアントデーモンに関するパラメータ値を設定する。このファイルへのパスは、/etc/default/dhcpagent。これらのパラメータの詳細については、このファイル自体か、デーモンの dhcpagent(1M) のマニュアルページを参照 |
dhcp_inittab(4) |
データ型のような DHCP オプションコードの様相を定義し、ニーモニックラベルを割り当てる。dhcpinfo は、/etc/dhcp/inittab ファイルにある情報を使用して、さらに意味のある情報をユーザーに提供する。このファイルは、/etc/dhcp/dhcptags ファイルに代わる。この入れ替えの詳細については、「DHCP オプション情報」を参照 |
DHCP オプション情報は従来、サーバーの dhcptab ファイル、クライアントの dhcptags ファイル、in.dhcpd、snoop、dhcpinfo、dhcpmgr の内部テーブルなど、Solaris DHCP 内の複数の場所に保管されていました。オプション情報を統合するため、Solaris 8 DHCP 製品に /etc/dhcp/inittab ファイルが導入されました。このファイルの詳細については、dhcp_inittab(4) を参照してください。
inittab ファイルは現在、dhcptags ファイルに代わるものとして Solaris DHCP クライアントで使用されています。dhcptags ファイルは、DHCP パケットで受信されたオプションコードに関する情報を取得するために使用されていました。現在、inittab ファイルがこの情報を提供します。将来のリリースでは、DHCP サーバーの in.dhcpd、snoop、dhcpmgr のプログラムも、このファイルを使用するようになります。
Solaris DHCP を使用するサイトの多くは、この変更に影響されません。サイトが影響されるのは、Solaris 8 にアップグレードしようとしているが、以前に新しい DHCP オプションを作成して /etc/dhcp/dhcptags ファイルを変更していて、それらの変更を維持したい場合のみです。アップグレードするときに、dhcptags ファイルが変更されており inittab ファイルを変更する必要があることを、アップグレードログが通知します。
inittab ファイルには、dhcptags ファイルよりも多くの情報が含まれており、使用する構文が違います。
dhcptags のエントリの例は次の通りです。
33 StaticRt - IPList Static_Routes
33 は DHCP パケットで伝えられる数値コードです。StaticRt はオプション名であり、IPList は期待されるデータが IP アドレスのリストであることを示しています。Static_Routes は、より説明的な名前です。
inittab ファイルは、各オプションを記述した 1 行のレコードから構成されています。そのフォーマットは、dhcptab でシンボルを定義するための形式と似ています。inittab の構文について、表 13-3 で説明します。
表 13-3 DHCP inittab の構文
inittab のエントリの例は、次の通りです。
StaticRt Standard, 33, IP, 2, 0, sdmi
このエントリは、StaticRt という名前のオプションを記述しています。このオプションは、Standard カテゴリにあり、オプションコード 33 です。データ型が IP、最小値が 2、最大値が無限大 (0) であるため、期待される値は、潜在的には無限の IP アドレスの組です。このオプションを利用するのは sdmi: snoop、in.dhcpd、 dhcpmgr、dhcpinfo です。
以前にエントリを dhcptags ファイルに追加している場合は、新しい inittab ファイルに対応するエントリを追加する必要があります。次の例では、dhcptags エントリの例を inittab フォーマットで表す方法を示しています。
ネットワークに接続されたファックスについて、次の dhcptags エントリを追加したと想定してください。
128 FaxMchn - IP Fax_Machine
コード 128 は、サイトカテゴリになければならないことを意味しており、オプション名は FaxMchn、データタイプは IP です。
対応する inittab エントリは次の通りです。
FaxMchn SITE, 128, IP, 1, 1, sdmi
最小値 1 と最大値 1 は、このオプションについて 1 つの IP アドレスが予想されることを意味しています。
ネットワークハードウェアの ARP (Address Resolution Protocol) 割り当ては、DHCP ネットワークテーブルにあるクライアント ID の先頭で指定されます。表 13-4 を使用して、クライアント ID で使用するコードの内容を判定してください。
コードは http://www.iana.com/numbers.html にある ARP registrations セクション内の Internet Assigned Numbers Authority (IANA) によって割り当てられています。
表 13-4 ARP タイプ
コード |
ハードウェアのタイプ |
---|---|
1 |
Ethernet (10MB) |
2 |
実験用 Ethernet (3MB) |
3 |
Amateur Radio AX.25 |
4 |
Proteon ProNET トークンリング |
5 |
Chaos |
6 |
IEEE 802 |
7 |
ARCNET |
8 |
Hyperchannel |
9 |
Lanstar |
10 |
Autonet Short Address |
11 |
LocalTalk |
12 |
LocalTalk (IBM PCNet または SYTEK LocalNET) |
13 |
Ultra Link |
14 |
SMDS |
15 |
Frame Relay |
16 |
ATM (Asynchronous Transmission Mode) |
17 |
HDLC |
18 |
Fibre Channel |
19 |
ATM (Asynchronous Transmission Mode) |
20 |
シリアル回線 |
21 |
ATM (Asynchronous Transmission Mode) |
22 |
MIL-STD-188-220 |
23 |
Metricom |
24 |
IEEE 1394.1995 |
25 |
MAPOS |
26 |
Twinaxial |
27 |
EUI-64 |
28 |
HIPARP |