Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

autofs の障害追跡

autofs の使用時、問題に遭遇することがあります。この節では、問題解決プロセスについてわかりやすく説明します。この節は、2 つの項目に分類されます。

この節では、autofs が生成するエラーメッセージのリストを示します。このリストは、2 つのパートに分かれています。

各エラーメッセージのあとには、そのメッセージの説明と考えられる原因が続きます。

障害追跡時には、詳細形式 (-v) オプションで autofs プログラムを開始します。そうしないと、理由がわからないまま問題に遭遇することになります。

次の節は、autofs のエラー時に表示されがちなエラーメッセージと、生じうる問題についての説明です。

automount -v により生成されるエラーメッセージ


bad key key in direct map mapname

直接マップのスキャン中、autofs が接頭辞 / のないエントリーキーを発見しました。直接マップ内のキーは、フルパス名でなくてはなりません。


bad key key in indirect map mapname

間接マップのスキャン中、autofs が / を含むエントリキーを発見しました。間接マップのキーは、パス名ではなく、単なる名称でなくてはなりません。


can't mount server:pathname: reason

サーバー上のマウントデーモンが、server:pathname のファイルハンドルの提供を拒みました。サーバー上のエクスポートテーブルを確認してください。


couldn't create mount point mountpoint: reason

autofs は、マウントに必要なマウントポイントを作成することができませんでした。この症状は、すべてのサーバーのエクスポートされたファイルシステムを階層的にマウントしようとする場合に頻繁に生じます。必要なマウントポイントは、マウントできないファイルシステム内にだけ存在し (エクスポートは不可)、エクスポートされる親ファイルシステムは読み取り専用でエクスポートされるため、必要なマウントポイントが作成できないことになります。


leading space in map entry entry text in mapname

autofs はオートマウントマップ内に先頭にスペースを含むエントリを発見しました。通常これは、たとえば次の例のように、適切に継続されていないマップエントリの記述がある場合です。


fake
/blat   		frobz:/usr/frotz 

この例では、autofs が 2 つ目の行に遭遇した場合に警告が生成されます。これは、最初の行がバックスラッシュ (¥) で終端されていないためです。


mapname: Not found

必要とされるマップが配置されていません。このメッセージは、-v オプションが使用されている場合にだけ生成されます。マップ名のスペルとパス名を確認してください。


remount server:pathname on mountpoint: server not responding

autofs が、アンマウントしたファイルシステムの再マウントに失敗しました。


WARNING: mountpoint already mounted on

autofs が、既存のマウントポイント上にマウントしようとしました。これは、autofs 内で内部エラー (異常) が生じたことを意味しています。

その他のエラーメッセージ


dir mountpoint must start with '/'

オートマウンタのマウントポイントは、フルパス名で与えられなくてはなりません。マウントポイントのスペルとパス名を確認してください。


hierarchical mountpoints: pathname1 and pathname2

autofs は、マウントポイントが階層的な関係を持つことを許可しません。autofs マウントポイントは、他のオートマウントされたファイルシステムに含まれていてはなりません。


host server not responding

autofs が、server で示されるサーバーにコンタクトしようとしましたが、応答がありません。


hostname: exports: rpc_err

hostname で示される場所からエクスポートリストを得たことを示すエラーです。これは、サーバーまたはネットワークの問題を示します。


map mapname, key key: bad

マップエントリが不適切な形式であり、autofs が処理できません。そのエントリを再確認してください。そのエントリにエスケープする必要のある文字が含まれている可能性があります。


mapname: nis_err

NIS マップ内のエントリの参照におけるエラーです。NIS に問題のある可能性があります。


mount of server:pathname on mountpoint:reason

autofs がマウントに失敗しました。サーバーまたはネットワークに問題のある可能性があります。


mountpoint: Not a directory

autofs は、ディレクトリではない mountpoint に示される場所に自分自身をマウントすることができません。マウントポイントのスペルとパス名を確認してください。


nfscast: cannot send packet: reason

autofs が、複製されたファイルシステムの位置を示すリスト内にあるサーバーへの照会パケットを送信できません。


nfscast: cannot receive reply: reason

autofs が、複製されたファイルシステムの位置を示すリスト内にあるいずれのサーバーからも応答を受けられません。


nfscast: select: reason

このようなエラーメッセージはすべて、複製されたファイルシステムのサーバーの ping に関する問題を示します。ネットワークの問題を示している場合もあります。


pathconf: no info for server:pathname

autofs が、パス名に関する pathconf 情報の取得に失敗しました。 (fpathconf(2) のマニュアルページを参照。)


pathconf: server: server not responding

autofs が、pathconf(2) に情報を提供する server に示されるサーバー上のマウントデーモンにコンタクトできませんでした。

autofs のその他のエラー

/etc/auto* ファイルが実行ビットセットを持っている場合、オートマウンタは次のようなメッセージを生成するマップの実行を試みます。

/etc/auto_home: +auto_home: not found

この場合、auto_home ファイルは不適切な権限をもつことになります。このファイル内の各エントリは、非常によく似たエラーメッセージを生成します。ファイルへのこのような権限は、次のコマンドを入力することにより取り消す必要があります。


# chmod 644 /etc/auto_home