Solaris のシステム管理 (第 3 巻)

リースポリシーの設定

リースは、DHCP サーバーが DHCP クライアントに対して特定の IP アドレスの使用を許可する期間を指定するものです。サーバーの初期設定時に、リース期間と、クライアントがそれぞれのリース期間を更新することを許可するかどうかを示す、サイト全体に適用されるリースポリシーを指定する必要があります。サーバーは提供された情報を使用して、設定時に作成するデフォルトマクロ内のオプションの値を設定します。ユーザー自身が作成した構成マクロ内のオプションを設定することにより、特定のクライアント、または特定のクライアントタイプに異なるリースポリシーを設定することもできます。

リース期間は、リースが有効な時間数、日数、または週数として指定されます。クライアントが IP アドレスを割り当てられた場合 (あるいは、すでに割り当てられている IP アドレスについてリースのネゴシエーションを再度行う場合)、リース期間中に経過した時間数をクライアントの DHCP 肯定応答のタイムスタンプに加算することにより、リースが期限切れになる日時が計算されます。たとえば、DHCP 肯定応答のタイムスタンプが 1999 年 9 月 16 日 9:15 A.M. で、リース期間が 24 時間の場合、リース満了時間は 1999 年 9 月 17 日 9:15 A.M. になります。リース満了時は、クライアントの DHCP ネットワークレコード内に保存され、DHCP Manager または pntadm を使用して表示できます。

リース期間は、期限切れになった IP アドレスが迅速に回収されるように、比較的小さな値に設定します。ただし、DHCP サービスが利用できなくなった場合、DHCP サービスを提供しているマシン (複数も可) が回復できるまで、クライアントが動作を継続できるような長さでなければなりません。一般に、予想されるサーバーのダウンタイムの 2 倍の時間を指定するようにします。たとえば、故障部品を検出、交換し、サーバーをリブートするのに 4 時間かかるとすれば、8 時間をリース期間に指定します。

リースネゴシエーションオプションは、リースが満了する前に、クライアントが提供されたリースについてサーバーとネゴシエーションできるかどうかを決めるものです。リースについてのネゴシエーションが許可されている場合には、クライアントはそのリースで残っている時間を計測し、リース期間の半分が経過した時点で、リース期間を元の値まで延長するように、DHCP サーバーに要求します。リースネゴシエーションを不許可にする設定は、 IP アドレス数以上のマシンが存在するため、時間制限を IP アドレスの使用に課す方が好ましい環境に向いています。十分な数の IP アドレスがある場合は、クライアントが自身のネットワークインタフェースを停止して、新規のリースを取得しようとすることにより、TCP 接続 (NFS や telnet など) に悪影響をおよぼすことを回避するために、リースネゴシエーションを許可するようにします。リースネゴシエーションはサーバー設定時にサイト全体に渡って設定することが可能であり、また設定マクロの LeaseNeg オプションを使用して、特定のクライアントまたは特定のクライアントタイプにだけ設定することもできます。


注 -

ネットワーク上でサービスを提供しているシステムはそれ自身の IP アドレスを保持する必要があり、短期的なリースの対象としてはいけません。永続的なリースにより IP アドレスを割り当てるのではなく、予約済みの (手動設定の) IP アドレスを割り当てることにより、そのようなマシンにも DHCP を使用することができます。これにより、マシンの IP アドレスがいつ使用されなくなるのかを検出することができます。