「メールボックス」は、電子メールメッセージの最終宛先であるメールサーバー内のファイルです。メールボックスの名前は、ユーザー名、またはポストマスターのような特定の職務を持つ人にメールを届ける場所の名前でもかまいません。メールボックスは、ユーザーのローカルシステムかリモートのメールサーバーのいずれかの /var/mail/username ファイルにあります。ただし、いずれの場合でも、メールボックスはメールが配信されるシステム上にあります。
ユーザーエージェントがメールスプールからメールを取り出し、ローカルメールボックスに容易に格納できるように、メールは常にローカルファイルシステムに配信される必要があります。ユーザーのメールボックスの宛先として、NFS でマウントされたファイルシステムを使用しないでください。特にリモートサーバーから /var/mail ファイルシステムをマウントしているメールクライアントには、直接メールを送信しないでください。この場合ユーザー宛のメールは、クライアントのホスト名ではなく、メールサーバーにアドレス指定する必要があります。 NFS でマウントされたファイルシステムは、メールの配信と処理に問題を起こすことがあります。/var/mail を NFS でマウントしたクライアントは「リモートモード」となり、サーバーにメールの送信と受信を行うように要求を出します。
/etc/mail/aliases ファイルと NIS や NIS+ といったネームサービスは、電子メールのアドレスに別名を作成するメカニズムを持っているため、ユーザーは、ユーザーのメールボックスの正確なローカル名を知る必要はありません。
表 35-4 に、特殊な目的のメールボックスに対する共通の命名規則をいくつか示します。
表 35-4 メールボックス名のフォーマットについての規則
バージョン 8 から、所有者別名が存在する場合には、グループ別名に送信されたメールの封筒の送信者は、所有者別名から拡張されたアドレスに変更されるようになりました。この変更によって、メールエラーは、送信者に返送されるのではなく、別名の所有者に送信されるようになりました。別名に送信したメールは、配信時に、別名の所有者から来たようにみえます。つまり、別名宛てではなく、直接返信が必要な場合には、ユーザーは自らを識別するように注意する必要があります。次の別名のフォーマットは、この変更に関連したいくつかの問題に対応します。
mygroup: :include:/pathname/mygroup.list owner-mygroup: mygroup-request mygroup-request: sandys, ignatz |
この例では、mygroup の別名が、このグループの実際のメール別名です。owner-mygroup の別名は、エラーメッセージを受信します。mygroup-request の別名は、管理の要求に使用してください。この構造は、mygroup の別名に送信されたメールでは、封筒の送信者が mygroup-request に変更されることを意味します。