Solaris ネーミングの管理

ダミーパスワードと chkey の使い方 - 例

ユーザーのログインパスワードを知らない場合、次に説明するようにダミーパスワードを使うことができます。

表 7-5 は、ダミーパスワードを使って資格情報を作成した管理者が、chkey コマンドを使ってパスワードを変更する方法を示します。この例では、UID が 119 の eiji という名前の管理者の資格情報を作成します。eiji はルートドメインに属しているので、rootmaster という名前のルートマスターサーバーから彼の資格情報を入力します。

表 7-5 管理者の資格情報を作成する作業

作業 

コマンド 

eiji の LOCAL 資格情報を作成する

rootmaster# nisaddcred -p 119 -P eiji.doc.com. local

eiji の DES 資格情報を作成する

rootmaster#nisaddcred -p unix.119@doc.com -P eiji.doc.com. des
Adding key pair for unix.119@doc.com (eiji.doc.com.).

eiji のダミーパスワードを入力する

Enter eiji's login password:  
nisaddcred: WARNING: password differs from login passwd

ダミーパスワードを再度入力する 

Retype password:

使用したダミーパスワードを eiji に伝える

 

eiji がルートマスターにログイン

rootmaster% login: eiji

eiji が本当のログインパスワードを入力

Password:

eiji はエラーメッセージを受けたが、ログインは許可される

Password does not decrypt secret key for unix.119@doc.com.

eiji がログインを実行

rootmaster% keylogin

eiji がダミーパスワードを入力

Password: dummy-password

eijichkey を実行

rootmaster%chkey -p
Updating nisplus publickey database
Generating new key for'unix.119@doc.com'.

eiji が本当のログインパスワードを入力

Enter login password:

eiji が本当のログインパスワードを再入力

Retype password: Done.

まず、通常の方法で eiji の資格情報を作成しますが、ダミーのログインパスワードを使用します。NIS+ は警告を発して、再入力を要求します。再入力を行うと、この操作は完了します。ドメインの cred テーブルには、ダミーパスワードに基づく eiji の資格情報が入っています。しかし、ドメインの passwd テーブル (あるいは /etc/passwd ファイル) には、まだ彼のパスワードエントリが残っているので、彼はシステムにログオンできます。

次に、eiji は本当のログインパスワードを入力して、ドメインのマスターサーバーにログインします (ログイン手順では、passwd テーブルまたは /etc/passwd ファイルのパスワードをチェックするため)。そこから eiji は、まずダミーパスワードを使用して keylogin を実行し (cred テーブルをチェックするため)、chkey -p コマンドを使用して cred エントリを本当のパスワードに変更します。