Solaris ネーミングの管理

FNS ポリシーと NIS+ との関連

FNS および NIS+ に関連する内容説明の概要については、「FNS と NIS+ のネーミング」を参照してください。NIS+ およびその用語を調べる場合は、このマニュアルのパート I「ネーミングの紹介」および用語集を参照してください。一般的な NIS+ 環境の構造を学ぶときに便利です。

FNS では、NIS+ サーバー上のドメインレベルの org_dir NIS+ ディレクトリにある FNS テーブルに、エンタープライズのオブジェクトに対するバインドが格納されます。FNS テーブルは NIS+ テーブルに類似しています。これらの FNS テーブルには、次のエンタープライズ名前空間に対するバインドが格納されます。

NIS+ ドメインと FNS 組織単位

FNS では、優先 Solaris エンタープライズのネームサービスである NIS+ 内の組織、ユーザー、ホストのエンタープライズオブジェクトがネーミングされます。NIS+ ドメインは、ユーザーおよびマシンの論理コレクションとそれらについての情報で構成され、エンタープライズ内の階層組織構造のフォームを反映するように配列されます。

FNS は、NIS+ ドメインを FNS 組織にマッピングして、NIS+ で実行されます。組織単位名は、NIS+ ドメイン名に対応しており、完全指定された形式の NIS+ ドメイン名または NIS+ ルートに関連した NIS+ ドメイン名のどちらかを使用して識別されます。最上位の FNS 組織名前空間は、NIS+ ルートドメインにマップされ、初期コンテキストから名前 org/ を使用してアクセスされます。

NIS+ では、ユーザーおよびホストに「ホームドメイン」の概念があります。ホストまたはユーザーのホームドメインは、それらの関連付けられた情報を保持する NIS+ ドメインです。ユーザーまたはホストのホームドメインは、直接 NIS+「主体名」を使用して決定できます。NIS+ 主体名は、原子ユーザー (ログイン) 名または原子ホスト名と、NIS+ ホームドメイン名からなります。たとえば、ホームドメイン doc.com. を持つユーザー sekou には NIS+ 主体名 sekou.doc.com が付けられ、マシン名 vega には NIS+ 主体名 vega.doc.com が付けられます。

ユーザーの NIS+ ホームドメインは、ユーザーの FNS 組織単位に対応します。同様に、ホストのホームドメインは、その FNS 組織単位に対応します。

組織名の後のドット

組織名の後のドットは、その名前が完全指定の NIS+ ドメイン名であることを示します。このドットがない場合は、その組織名は NIS+ ルートドメインに関連付けて解決される NIS+ ドメイン名です。

たとえば、NIS+ ルートドメインが doc.com. であり、サブドメイン ales.doc.com. を含む場合は、次の名前で同じ組織が参照されます。

表 22-4 NIS+ での相対および完全指定の組織名の例

相対名 

完全指定名 

org/

org/doc.com.

org/sales

org/sales.doc.com.

manf という名前だけを含む NIS+ ドメインは存在しないため、名前 org/manf. (ドット付き) はありません。

NIS+ ホストと FNS ホスト

NIS+ 名前空間のホストは、ホストのホームドメインの hosts.org_dir テーブルにあります。FNS 組織にあるホストは、対応する NIS+ ドメインの hosts.org_dir テーブル内のホストに対応します。FNS では、hosts テーブル内の各ホストにコンテキストが提供されます。

NIS+ ユーザーと FNS ユーザー

NIS+ 名前空間にいるユーザーは、ユーザーのホームドメインの passwd.org_dir テーブルのリストに入っています。FNS 組織にいるユーザーは、対応する NIS+ ドメインの passwd.org_dir テーブル内のユーザーに対応します。FNS では、passwd テーブル中の各ホストにコンテキストが提供されます。

NIS+ セキュリティと FNS

FNS の fncreate コマンドを使用して、コマンドが実行されたホストのドメインに関連付けられた NIS+ 階層に FNS テーブルとディレクトリを作成します。fncreate を実行するには、そのドメインの NIS+ オブジェクトの読み取り、作成、変更、削除を許可する資格を得て、認証された NIS+ 主体になる必要があります。fncreate で作成した FNS テーブルの「所有者」になります。この許可を得る 1 つの方法は、ドメインの管理者特権を持つ NIS+ グループのメンバーになることです。

fncreate を実行する前に、NIS_GROUP 環境変数をドメインに対する NIS+ 管理グループ名に設定する必要があります。個別のユーザーが、ユーザーに関連する FNS データを変更可能かどうかを指定できます。

NIS+ セキュリティの説明については、第 6 章「セキュリティの概要」を参照してください。