「エンタープライズレベル」のネームサービスは、エンタープライズレベルのネットワーク内のマシン (ホスト)、ユーザー、ファイルを識別 (ネーミング) します。FNS でも、組織ユニット、地理的なサイト、アプリケーションサービスのネーミングが可能です。「エンタープライズレベル」のネットワークは、ケーブル、赤外線、ラジオブロードキャストを通して通信する単一のローカルエリアネットワーク (LAN) にできます。または、ケーブルや直接通話接続によってリンクされた複数の LAN にできます。エンタープライズレベルのネットワーク内では、DNS や X.500/LDAP などのグローバルネームサービスを参照しなくても、すべてのマシンが他のマシンと通信できます。
FNS は現在、次に 3 つのエンタープライズレベルのネームサービスをサポートしています。
NIS+
下記の、「FNS と NIS+ のネーミング」、「FNS ポリシーと NIS+ との関連」、「FNS と NIS+ の詳細情報」を参照
NIS
詳細は、「FNS と NIS のネーミング」、「FNS ポリシーと NIS の関連」、「FNS と NIS の詳細情報」を参照
ファイル
詳細は、「FNS とファイルベースのネーミング」、「FNS ポリシーとファイルベースのネーミングの関連」、「FNS とファイルベースのネーミングの詳細情報」を参照
FNS とエンタープライズレベルネームサービスの管理情報については、第 23 章「FNS とエンタープライズのネームサービス」を参照してください。
NIS+ とその用語については、このマニュアルのパート I「ネーミングの紹介」と用語集を参照してください。典型的な NIS+ 環境の構造を理解しておくと有効です。
NIS+ は、Solaris 環境で推奨される組織規模の情報サービスです。NIS+ では、NIS とローカルファイルの両方を使用できます。NIS+ を使用すると、ドメインとサブドメインからなる階層組織レベルに組織を分割できます。
FNS 組織ユニットは、NIS+ のドメインとサブドメインに対応します。各ドメインとサブドメインに 1 つの orgunit コンテキストがあります。
FNS は NIS+、NIS、ローカルファイルをフェデレートして、Solaris 環境でのネーミングポリシーをサポートします。FNS はこのために、organization、site、user、host の各オブジェクトに対してネーミング操作を実行するための XFN インタフェースを提供します。このインタフェースは、ファイル、ディレクトリ、テーブルにアクセスするために適切なプログラミングインタフェースを使用して、これらの操作を実装します。
NIS+ のもとでは、FNS コンテキストと属性データは、NIS+ タイプテーブルに格納されます。これらのテーブルは、ctx_dir という名前の NIS+ タイプのディレクトリオブジェクトに格納されます。各 NIS+ ドメインとサブドメインに ctx_dir ディレクトリオブジェクトがあり、ドメインの groups_dir と org_dir ディレクトリオブジェクトと同じレベルにあります。したがって、ディレクトリオブジェクト ctx_dir.sales.doc.com. には、sales.doc.com ドメインの FNS コンテキストと属性データを格納する FNS テーブルが含まれます。
NIS+ では、FNS と NIS+ のコマンドを使用して、FNS テーブル内の情報を処理します。これらのテーブルを直接編集したり、UNIX コマンドで操作したりしないでください。
NIS は Solaris 環境でのエンタープライズ規模の情報サービスです。ローカルファイルは、NIS とともに使用できます。NIS のもとでは、エンタープライズは単一の NIS ドメインとして構成されます。
各エンタープライズは、単一の NIS ドメインです。1 つの NIS ドメインに対応して、1 つの FNS エンタープライズユニットがあります。
FNS は、NIS とローカルファイルをフェデレートして、Solaris 環境でのネーミングサービスをサポートします。FNS はこのために、organization、site、user、host の各マップに対してネーミング操作を実行するための XFN インタフェースを提供します。このインタフェースは、ファイル、ディレクトリにアクセスするために適切なプログラミングインタフェースを使用して、これらの操作を可能にします。
NIS では、FNS コンテキストと属性データは NIS マップに格納されます。これらのマップは、NIS サーバー上の /var/yp/domainname ディレクトリに格納されます。NIS では、スーパーユーザーが FNS コマンドを使用して、FNS マップ内の情報を処理できます。
一定の条件が合えば、NIS クライアント (マシン、プロセス、またはユーザー) はすべて、fncreate_fs や fncreate_printer などの FNS コマンドを使用して、クライアント自身のコンテキストを更新できます。これにより、NIS クライアントは、FNS コマンドを使用して、Printer Administrator、CDE カレンダマネージャ、admintool などを更新できます。
スーパーユーザー以外のユーザーが、FNS コマンドによって各自のコンテキストを更新するには、次の条件が必要です。
SKI (Secure Key_management Infrastructure) が NIS マスターサーバー上で使用可能
fnsypd デーモンが NIS マスターサーバー上で実行されている。このデーモンは、スーパーユーザー特権を持つユーザーが開始する
クライアントユーザーまたはマシンだけが各自のコンテキストを更新できる
クライアントは、要求された更新の実行権限を持っている
「ファイル」とは、通常、マシンの /etc ディレクトリにあるネーミングファイルのことを指します。これらのマシンベースのファイルには、UNIX ユーザーとパスワードの情報、ホスト情報、メールエイリアスなどが入っています。これらは、オートマウントマップなどの Solaris 特定のデータもサポートします。
FNS は、ローカルファイルをフェデレートして、Solaris 環境でのネームサービスをサポートします。FNS はこのために、organization、site、user、host の各ファイルに対してネーミング操作を実行するための XFN インタフェースを提供します。これらの操作は、ファイル、ディレクトリにアクセスするための適切なプログラミングインタフェースを使用して実装されます。
ファイルベースのネーミングシステムでは、FNS コンテキストと属性は、ファイルに格納されます。これらのファイルは、NFS ファイルサーバーからエクスポートされた /var/fn ディレクトリに格納されます。
ファイルベースのネーミングシステムでは、FNS コマンドを使用して、FNS ファイル内の情報を処理します。