『Solaris 移行ガイド』は、SunOSTM リリース 4 と SunOS リリース 5.7 オペレーティングシステムの違いを説明するものです。SunOS 4 を使い慣れているユーザを対象に、SunOS 5.7 環境に移行する際に役に立つように作られています。
この版の『Solaris 移行ガイド』は、SolarisTM 8 オペレーティング環境とともに配布され、前バージョンにおける小さな技術的問題や表の表示における問題を修正したものです。
このマニュアルでは、引き続き、SunOS 4 と SunOS 5.7 オペレーティングシステム間の違いを説明しています。SunOS リリース 5.8 特有の変更点については、同じく Solaris 8 オペレーティング環境で配布される『Solaris 移行ガイド (追補)』で説明されています。
このマニュアルは、SunOS リリース 4 環境から Solaris 7 環境へ移行する、ユーザ、システム管理者、ソフトウェア開発者を対象にしています。
このマニュアルは、Solaris 7 環境への移行を容易にするため、SunOS 4 環境と SunOS 5.7 環境の主な違いをユーザが把握することを目的としています。したがってこのマニュアルは、広い範囲の項目を網羅しています。作業手順の詳細については、このマニュアルで必要に応じて紹介している Solaris 7 マニュアルセットの各マニュアルを参照してください。
このマニュアルは 2 つのパートに分かれており、全部で 19 の章と 6 つの付録から構成されています。概要は次のとおりです。
パート I は、Solaris 7 ソフトウェアインストール時の注意点、ローカルコンピューティング環境の変化や、日常の作業の変更点を理解するのに役立ちます。
パート I は、次の章から構成されています。
第 1 章「概要」では、Solaris オペレーティング環境へ移行することの利点について説明し、SVR4 (System V リリース 4) と Solaris オペレーティング環境の主な違いを要約します。
第 2 章「主な変更について」では、SunOS 4 と SunOS 5.7 環境の主な違いを説明します。これ以降の章で取り上げられている項目の背景を説明し、これらのリリース間で変更された、手順、ツール、概念に焦点を当てています。
第 3 章「SunOS 4 システムから Solaris 7 オペレーティング環境への変換」では、ソフトウェアのインストールとその後の作業を通じて、移行を容易に行うために考慮すべき点を挙げ、SunOS 4 のデータを Solaris 7 オペレーティング環境に最も容易に移行できるようにしています。
第 4 章「互換パッケージの使用方法」では、SunOS/BSD ソース互換パッケージとバイナリ互換パッケージについて説明します。これらのパッケージにより、Solaris 7 環境への移行の際に、SunOS 4 のコマンドとアプリケーションを使用することができるので、移行が容易になります。
第 5 章「セキュリティ」では、SunOS 4 と Solaris 7 のセキュリティの主な違いと、それらの違いがシステム管理作業に及ぼす影響について説明します。
第 6 章「ユーザ環境の管理」では、Solaris ソフトウェアをインストールした後で、ローカルのユーザ環境を設定する作業の変更点について説明します。デフォルトシェルの設定、ユーザ環境のカスタマイズ、ウィンドウシステム、ユーザとグループの管理についても説明します。さらに、マニュアルページの変更点についても取り上げます。
第 7 章「デバイスの管理」では、SunOS 5.7 のデバイス命名規則について説明します。また、ディスク情報の入手といったデバイスに関連する作業、システムへのデバイス追加、ボリュームマネージャの使用方法などに対する変更点も説明します。
第 8 章「起動とシャットダウン」では、システムのブートとシャットダウンの手順の変更について説明します。
第 9 章「ファイルシステムの管理」では、ファイルシステム、ディレクトリ、ファイルの変更点について説明します。また、ファイルシステムの管理に関する変更についても説明します。
第 10 章「SunOS 4 ディスクレスクライアントをサポートする Solaris 7 サーバの設定」では、クライアント用にサーバを設定する方法を説明します。また、Solaris 7 のサーバが SunOS 4 のクライアントにサービスを提供するための準備に必要になる discover4x、install4x、convert4x という 3 つのプログラムについても説明します。
第 11 章「プリンタ、端末、モデムの管理」では、Solaris 7 ソフトウェアをインストールした後でプリンタの設定と管理を行う方法について説明します。また、プリンタコマンドの変更点についても説明します。Solstice AdmintoolsTM と サービスアクセス機能 (SAF) を使用して端末とモデムを管理する方法についても説明します。
第 12 章「ネットワークサービスの管理」では、ネットワーク機能である TCP/IP と UUCP の変更点について概要を説明します。
第 13 章「ネームサービスの使用方法」では、NIS+ とドメインネームシステム (DNS) について説明し、NIS+ を NIS と DNS のそれぞれと比較します。
第 14 章「Solaris 共通デスクトップ環境」では、共通デスクトップ環境 (以降「CDE」とします) について説明し、OpenWindows 環境から CDE への移行方法を解説します。
パート II は、主に開発者やプログラミング環境に関係する Solaris 7 の変更点について説明します。
パート II は、次の章から構成されています。
第 15 章「コンパイラ、リンカ、デバッガ」では、コンパイラ、リンカ、デバッガに追加された機能や削除された機能について説明します。
第 16 章「ツールとリソース」では、開発環境用のツールとリソースの変更について説明します。変更点としては、ioctl() リクエスト、ptrace() リクエストの値、ライブラリ、make と SCCS が挙げられます。この章では、アプリケーションの互換性を調べる方法、Solaris 7 のパッケージ作成機能、SunOS 4 のツールの検索方法についても説明します。
第 17 章「ネットワークと国際化機能」では、プログラミング環境に関係する Solaris 7 のネットワーク機能について説明します。また、国際化機能の拡張についても説明します。
第 18 章「システムとデバイスの構成」では、システムとデバイスの構成の変更点について説明します。動的にロードされるカーネル、カーネルのレイアウト、config コマンドと boot コマンド、/etc/system ファイルなどを取り上げます。
第 19 章「デバイスドライバと STREAMS 」では、デバイスドライバのインタフェースにおける変更点、devinfo コマンド、移行に関する留意点、STREAMS、Solaris 7 ドライバアーキテクチャ、などのデバイスドライバの問題について説明します。
次の付録は、SunOS 4.1 のインタフェースと、他のオペレーティングシステムでの対応機能を示しているため、リファレンスとして活用することができます。この情報は、ユーザ、システム管理者、開発者にとって有用です。付録の構成は次のとおりです。
付録 A 「コマンドリファレンス」 では、SunOS 4 と SunOS 5.7 のコマンドを比較します。
付録 B 「システムコールリファレンス」 では、SunOS 4 と SunOS 5.7 のシステムコールを比較します。
付録 C 「ライブラリルーチンリファレンス」 では、SunOS 4 と SunOS 5.7 のライブラリルーチンを比較します。
付録 D 「システムファイルリファレンス」 では、SunOS 4 と SunOS 5.7 のシステムファイルを比較します。
付録 E 「/ と /usr ファイルシステムの変更」 では、/ と /usr ファイルシステムの変更点を示します。
付録 F 「基本的な変更についてのクイックリファレンス」 は、一般的なコマンド、ファイル、ディレクトリ、またデーモンと標準プロセスの変更点に対するクイックリファレンスです。
専門書を扱うインターネットの書店 Fatbrain.com から、米国 Sun MicrosystemsTM, Inc. (以降、SunTM とします) のマニュアルをご注文いただけます。
マニュアルのリストと注文方法については、http://www1.fatbrain.com/documentation/sun の Sun Documentation Center をご覧ください。
http://docs.sun.com では、Sun が提供しているオンラインマニュアルを参照することができます。マニュアルのタイトルや特定の主題などをキーワードとして、検索を行うこともできます。
このマニュアルでは、次のような字体や記号を特別な意味を持つものとして使用します。
表 P-1 表記上の規則
字体または記号 |
意味 |
例 |
---|---|---|
AaBbCc123 |
コマンド名、ファイル名、ディレクトリ名、画面上のコンピュータ出力、コード例を示します。 |
.login ファイルを編集します。 ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。 system% |
AaBbCc123 |
ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力と区別して示します。 |
system% su password: |
AaBbCc123 |
変数を示します。実際に使用する特定の名前または値で置き換えます。 |
ファイルを削除するには、rm filename と入力します。 |
『 』 |
参照する書名を示します。 |
『コードマネージャ・ユーザーズガイド』を参照してください。 |
「 」 |
参照する章、節、ボタンやメニュー名、強調する単語を示します。 |
第 5 章「衝突の回避」を参照してください。 この操作ができるのは、「スーパーユーザー」だけです。 |
¥ |
枠で囲まれたコード例で、テキストがページ行幅を超える場合に、継続を示します。 |
sun% grep `^#define ¥ XV_VERSION_STRING' |
ただし AnswerBook2TM では、ユーザーが入力する文字と画面上のコンピュータ出力は区別して表示されません。
コード例は次のように表示されます。
[ ] は省略可能な項目を示します。上記の例は、filename は省略してもよいことを示しています。
| は区切り文字 (セパレータ) です。この文字で分割されている引数のうち 1 つだけを指定します。
キーボードのキー名は英文で、頭文字を大文字で示します (例: Shift キーを押します)。ただし、キーボードによっては Enter キーが Return キーの動作をします。
ダッシュ (-) は 2 つのキーを同時に押すことを示します。たとえば、Ctrl-D は Control キーを押したまま D キーを押すことを意味します。
このマニュアルでは、「IA」という用語は、Intel 32 ビットのプロセッサアーキテクチャを意味します。これには、Pentium、Pentium Pro、Pentium II、Pentium II Xeon、Celeron、Pentium III、Pentium III Xeon の各プロセッサ、および AMD、Cyrix が提供する互換マイクロプロセッサチップが含まれます。
コマンド、システムファイル、ライブラリールーチン名が本文中で最初に言及されるときは、詳細な説明が記載されているマニュアルページのセクション番号が追加されています。たとえば「mv(1)」と記されている場合は、このマニュアルページは、『man pages section 1 : User Commands』の中に記載されています。
Solaris 7 オペレーティング環境に関する詳細は、次のマニュアルを参照してください。
『NFS の管理』
『Source Compatibility Guide』
『リンカーとライブラリ』
『プログラミングユーティリティ』
以下の URL にアクセスすると、Solaris の移行に関する追加情報が得られます。
http://www.sun.com/smcc/solaris-migration/index.html
Solaris Migration Initiative ホームページは、SunOS リリース 4 からの移行に役立つツール、マニュアル、情報の配布の中心となるポイントです。