Solaris 移行ガイド

Solaris をインストールする前に行うこと

インストールプログラムを実行してソフトウェアをロードすることだけが SunOS 4 を Solaris 7 に移行するときに必要な作業ではありません。通常は、SunOS 4 のシステム内にデータが存在するので、それらのデータを Solaris 7 システムに転送しなければなりません。これらのデータとしては、/home のようにファイルシステム全体の場合や、/etc/hosts/etc/passwd のように、ローカルごとにカスタマイズされたシステムファイルの場合があります。

データ転送についてどのような方法を計画する場合でも、インストールを始める前に、フルダンプを行なって全ディスクパーティションをバックアップしてください。Solaris 7 環境ではデバイス名の規則が変更されているため、誤認が発生して、Solaris 7 をインストールしたディスクを間違える可能性もあります。インストールを開始する前にファイルシステムをバックアップすることにより、このようなミスを未然に防ぐことができます。デバイス命名規則の詳細については、「デバイス命名規則」を参照してください。

ファイルシステムのフォーマットについて、次のことに注意してください。

ディスクパーティション情報の保存

インストールを開始する前に、システム内の既存のディスクパーティションのコピーを出力してください。このような情報をディスク上に保存すると、インストールの際に上書きされる可能性があります。Solaris 7 システムを構成するときに多くの決定を下す必要がありますが、既存のディスクパーティション情報を保存しておくと、決定を下す際の参考資料となります。ディスクパーティション情報を出力する方法の 1 つを説明します。

  1. システムに接続しているディスクの名前を調べます。

    システムに接続しているディスクの名前を調べるには、format(8) コマンドを使用します。

  2. ディスクパーティション情報を保存します。

    各ディスクにコード化された形で記録されているパーティション情報を調べるために、dkinfo(8) コマンドを使用します。この出力をプリンタへパイプにより接続します。または、他のシステムに保存するために、リダイレクト先のファイルを指定します。


    注 -

    このコマンドを使用した場合、構成が行われているパーティションの情報だけが得られます。構成が行われていないすべてのパーティションは、「No such device or address.」というメッセージとともに表示されます。


ファイルシステム情報の保存

ファイルシステム名 (例: /usr/home) とデバイス名 (例: /dev/sd0g) とのマッピングは、構成ファイル /etc/fstab に常駐しています。先に進む前に、/etc/fstab ファイルの印刷コピーを 1 部作成しておき、Solaris 7 ファイルの作成に役立ててください。

メタデバイス構成情報の保存

アンバンドル製品である SPARCserverTM Manager や Solstice DiskSuite を実行しているシステムをアップグレードする場合は、この節を読んでください (これらの製品は、複数のディスクのミラーリング、連結、ストライピングを行うために使用します)。

これらの製品を使用しないでシステムをアップグレードする場合、多重パーティションの構成を単一パーティションに変更しなければなりません。特に、連結やストライピングが行われていたファイルシステムは 1 つのディスクに再構成しなければなりません。また、多重パーティションで使用していたパーティションやミラーリング用のパーティションは使用できなくなります。

アップグレードを行いたいシステムで、SPARCserver Manager や Solstice DiskSuite を動作させている場合は、Solaris 7 ソフトウェアをインストールする前に、メタデバイスの構成情報を保存してください。こうすることにより、Solaris 7 ソフトウェアをインストールした後で、メタデバイスの状態を復元できるほか、システムに接続されるディスクのリストを作成する際に、参照することができます。

  1. 次の例のように metastat(8) コマンドを使用して、情報をプリンタに出力します。


    # /etc/metastat -p | lpr
    
  2. metadb(8) コマンドの出力を印刷します。

    たとえば、次のように入力します。


    # /etc/metadb -i | lpr
    

    metadb の出力からは、データベース構成の状態の情報がわかります。Solstice DiskSuite を再度インストールする場合は、状態データベースを再構築するために、この情報が必要になります。

バックアップ内容の決定

バックアップして、Solaris 7 ソフトウェアのインストール後に復元したい SunOS 4 ファイルとファイルシステムのリストを作成する必要があります。

バックアップするシステムコンポーネントのリスト作成

既存の SunOS 4 環境にあるすべてのシステムコンポーネントのリストを作成して、ユーザのシステムにとって重要なものを決定します。次のことを考慮してください。

バックアップするファイルとファイルシステムのリスト作成

次のガイドラインに従って、保存するファイルシステムのリストを作成してください。

バックアップする SunOS システム構成ファイルのリスト作成

Solaris プラットフォーム用にマージしたり変換できる SunOS 4 システム構成ファイルはたくさんあります。以下の例のリストを使って、バックアップしたいシステム構成ファイルの選択に役立ててください。


注 -

このリストには推奨されるファイルが含まれています。リストの各項目をよく調べた上で、サイトの構成に応じて項目をリストに追加したり、リストから削除してください。たとえば、サードパーティのソフトウェアベンダのディレクトリに特殊なファイルが含まれている場合は、それを保存する必要があります。


システムが NIS マスタサーバの場合は、NIS マスタディレクトリ (例: /etc) に入っているファイルをすべて保存する必要があります。さらに、NIS に追加したその他のマスタファイルもすべて保存してください。バックアップするファイルの例として、次のものがあります。

ディスク空間の所要量の決定

Solaris 7 アップグレードに移したいファイルシステムのディスク空間の所要量リストを作成します。Solaris 7 インストレーションプログラムの実行時に SunOS 4 ファイルシステム用にディスク空間を区分できるため、Solaris 7 ソフトウェアをインストールする時にこのリストを参照してください。

ネットワークのインストール順序の決定

SunOS 4 システムのネットワークを Solaris 7 ソフトウェアに移行するときは、ユーザが不便にならない状況を想定して、移行するシステムの順序を決定します。たとえば、サーバのアップグレードを始める前に、すべてのクライアントをアップグレードしたいと考えることもあります。最初にアップグレードするシステムとして、CD-ROM ドライブがローカル接続されている、スタンドアロンのシステムを選択するようにしてください。

しばらくの間は、SunOS 4 と Solaris 7 システムの両方が混在するネットワークを管理することになるでしょう。そのため、計画の一部として、どちらを優先するか決定しておくべきです。たとえば、1 つのドメインをアップグレードし、システム管理のテストや内部で開発されたアプリケーションの移植を行なった後、ネットワーク環境全体をアップグレードすることも考えられます。