NIS+ には、NIS に追加された機能があります。その要約を表 13-2 に示します。
表 13-2 NIS と NIS+ の機能の比較
機能 |
NIS |
NIS+ |
---|---|---|
名前空間 |
平坦で階層型でない構造に編成。独立したネットワークドメインごとの集中化平坦ファイルデータベース |
階層構造に編成。各ネットワークサブセットまたは自立したドメインをサポートするために、ディレクトリに分割 |
データ格納方式 |
キーと値の対がある複数の 2 列「マップ」 |
複数の検索可能な列があるテーブル |
ドメイン間のリソースアクセス |
サポートなし |
認定ユーザに対して許可 |
更新の特権 |
更新には、マスタサーバ上のスーパーユーザ特権が必要 |
更新は、権限を持つ管理者によってリモートに行うことが可能 |
更新プロセス |
更新では、マスタサーバ上の make ファイルの使用が必要 |
更新は、コマンド行インタフェースを通じて容易に実行 |
更新の通知 |
管理者が行い、マップ全体の転送が必要 |
増分転送による自動および高速伝播認証 |
セキュリティ |
データベースが安全ではない |
NIS+ ディレクトリ、テーブル列、エントリに対する詳細なアクセス制御 |
コマンドおよび関数の接頭辞 |
接頭辞として文字 yp が付く (例: ypmatch(1) および ypcat(1)) |
接頭辞として文字 nis が付く (例: nismatch(1) および nischown(1)) |
NIS+ には、NIS サイトが新しいネームサービスに円滑に段階的な方法で移行できるようにする機能が組み込まれています。NIS+ に移行する NIS サイトには、次のような利点があります。
許可を持つユーザによるネットワークドメインの分散リモート管理
階層ドメインに対するサポート
マスタから複製サーバへの更新の高速自動伝達
テーブルとネットワークリソースに対する詳細なアクセス制御
より簡単で整合性のある管理操作
強化されたネームサービス信頼性と可用性