国際化対応言語環境の利用ガイド

システム環境

ロケールの環境変数

en_US.UTF-8 ロケール環境を使用するには、まずロケールを選択します。システムに en_US.UTF-8 がインストールされていることを確認してください (コアクラスタ以外のクラスタでデフォルトでインストールされます)。

en_US.UTF-8 ロケール環境の使用方法
  1. TTY 環境で、まず環境変数 LANGen_US.UTF-8 に設定してこのロケールを選択します。C シェルの例を以下に示します。


    system% setenv LANG en_US.UTF-8
    

    他のカテゴリが設定されていない (または、en_US.UTF-8 に設定されている) ことを確認します。これは、ロケールを設定する際、環境変数 LANG の優先順位が、 LC_ALLLC_COLLATELC_CTYPELC_MESSAGESLC_NUMERICLC_MONETARYLC_TIME などの他の環境変数に比べて低いからです。環境変数の階層についての詳細は、setlocale(3C) のマニュアルページを参照してください。

    さまざまなカテゴリの現在のロケール設定を調べるには、locale(1) ユーティリティを使用します。


system% locale 
LANG=en_US.UTF-8
LC_CTYPE="en_US.UTF-8"
LC_NUMERIC="en_US.UTF-8"
LC_TIME="en_US.UTF-8"
LC_COLLATE="en_US.UTF-8"
LC_MONETARY="en_US.UTF-8"
LC_MESSAGES="en_US.UTF-8"
LC_ALL=

また、CDE ログイン画面の「オプション」->「言語」メニューで en_US.UTF-8 を選択することにより、en_US.UTF-8 環境を起動することもできます。

TTY 環境の設定

現在使用している dtterm(1) のような端末と端末エミュレータに応じて、あるコードセット固有の STREAMS モジュールをストリームにプッシュしなければならない場合があります。

STREAMS モジュールの詳細および一般的なストリームについては、『STREAM Programming Guide』を参照してください。

次の表に、端末環境で en_US.UTF-8 ロケールによりサポートされる STREAMS モジュールを示します。

表 4-6 en_US.UTF-8 によりサポートされる 32 ビット STREAMS モジュール

32 ビット STREAMS モジュール 

説明 

/usr/kernel/strmod/u8lat1

UTF-8 と ISO 8859-1 (西ヨーロッパ) のコード変換 STREAMS モジュール

/usr/kernel/strmod/u8lat2

UTF-8 と ISO 8859-2 (東ヨーロッパ) のコード変換 STREAMS モジュール

/usr/kernel/strmod/u8koi8

UTF-8 と KOI8-R (Cyrillic) のコード変換 STREAMS モジュール

次の表に、en_US.UTF-8 ロケールによりサポートされる 64 ビット STREAMS モジュールを示します。

表 4-7 en_US.UTF-8 によりサポートされる 64 ビット STREAMS モジュール

64 ビット STREAMS モジュール 

説明 

/usr/kernel/strmod/sparcv9/u8lat1

UTF-8 と ISO 8859-1 (西ヨーロッパ) のコード変換 STREAMS モジュール

/usr/kernel/strmod/sparcv9/u8lat2

UTF-8 と ISO 8859-2 (東ヨーロッパ) のコード変換 STREAMS モジュール

/usr/kernel/strmod/sparcv9/u8koi8

UTF-8 と KOI8-R (Cyrillic) のコード変換 STREAMS モジュール

STREAMS モジュールのカーネルへのロード

STREAMS モジュールをカーネルにロードするには、まずルートになります。


system% su
Password:
 system#

次のように isainfo(1) ユーティリティを使用して、Solaris システムが 64 ビットと 32 ビットのどちらであるかを判断します。


system# isainfo -v
	64-bit sparcv9 applications
	32-bit sparc applications
	 system#

この情報が返された場合は、実行されているのは 64 ビットの Solaris システムです。実行されているのは 32 ビットの Solaris システムである場合は、次のように表示されます。


system# isainfo -v
	32-bit sparc applications
	 system#

modinfo(1M) を使用して、システムにすでに STREAMS モジュールがロードされていないかを確認します。


system# modinfo | grep u8lat1  modulename
system#

u8lat1 などの STREAMS モジュールがすでにインストールされている場合は、出力は次のようになります。


system# modinfo | grep u8lat1
89 ff798000  4b13  18   1  u8lat1 (UTF-8 <--> ISO 8859-1 module)
system#

モジュールがすでにインストールされている場合は、ロードする必要はありません。ただし、モジュールがロードされていない場合は、次のように modload(1M) を使用します。


system# modload /usr/kernel/strmod/u8lat1 modulename

32 ビットの u8lat1 STREAMS モジュールがカーネルにロードされ、ストリームにプッシュすることができます。64 ビットの Solaris 製品を実行している場合は、次のように modload(1M) を使用します。


system# modload /usr/kernel/strmod/sparcv9/u8lat1

STREAMS モジュールがカーネルにロードされ、ストリームにプッシュすることができます。

モジュールをカーネルからアンロードするには、次のように modunload(1M) を使用します。この例では、u8lat1 モジュールがアンロードされます。


system# modinfo | grep u8lat1
89 ff798000  4b13  18   1  u8lat1 (UTF-8 <--> ISO 8859-1 module)
system# modunload -i 89

UTF-8 文字の入出力が可能な dtterm および端末

Solaris オペレーティング環境の旧リリースとは異なり、UTF-8 コードセットの入出力をサポートする dtterm(1) とその他の端末では、ストリームにその他の追加 STREAMS モジュールを置く必要はありません。ldterm(7M) モジュールは、現在ではコードセットに依存せず、Unicode/UTF-8 もサポートしています。

Unicode ロケールに関する適切な端末環境の設定については、stty(1) ユーティリティを以下のように使用してください。


system% stty defeucw

注 -

/usr/ucb/stty は国際化されていないので、代わりに /bin/stty を使ってください。


Latin-1、Latin-2、および KOI8-R の端末サポート

Latin-1 (ISO 8859-1)、Latin-2 (ISO 8859-2)、または KOI8-R だけをサポートする端末の場合、STREAMS は次のように構成されている必要があります。


head <-> ttcompat <->  ldterm <->  u8lat1 <-> TTY

注 -

これは Latin-1 をサポートする端末用の構成です。Latin-2 端末の場合は、STREAMS モジュール u8lat1u8lat2 に置き換えます。KOI8-R 端末の場合は、このモジュールを u8koi8 に置き換えます。


STREAMS モジュールがすでにカーネルにロードされていることを確認してください。

上記の STREAMS の構成を設定するには、次のように strchg(1) を使用します。


system% cat > tmp/mystreams
ttcompat
ldterm
u8lat1
ptem
^D
system% strchg -f /tmp/mystreams

strchg(1) を使用する場合、スーパーユーザーかデバイスの所有者としてログインしていることを確認します。現在の構成を確認するには、次のように strconf(1) を使用します。


system% strconf
ttcompat
ldterm
u8lat1
ptem
pts
system%

元の構成に戻すには、次のように STREAMS の構成を設定します。


system% cat > /tmp/orgstreams
ttcompat
ldterm
ptem
^D
system% strchg -f  /tmp/orgstreams

端末オプションの設定

TTY 上での UTF-8 テキスト編集動作を設定するには、まず、次のように stty(1) を使用して端末オプションを設定してください。


system% /bin/stty  defeucw

注 -

/usr/ucb/stty はまだ国際化されていないので、代わりに /bin/stty を使用します。


次のように、stty(1) に -a オプションを指定して、現在の設定を照会することもできます。


system% /bin/stty -a

‾/.cshrc への設定の保存

必要な STREAMS モジュールがカーネルにロードされたら、以下の行を .cshrc ファイル (C シェルの場合) に保存すると便利です。


setenv LANG en_US.UTF-8
if ($?USER != 0 && $?prompt != 0) then
				 cat >! /tmp/mystreams$$ << _EOF
				 ttcompat
				 u8euc
				 ldtterm
				 eucu8
				 ptem
_EOF
				 /bin/strchg -f /tmp/mystream$$
				 /bin/rm -f /tmp/mystream$$
				 /bin/stty cs8 -istrip defeucw
endif

.cshrc ファイルに上記の行があると、毎回すべてのコマンドを入力する必要はありません。2 つめの _EOF は行の先頭になければなりません。C シェルを起動するたびに mystreams という名前のファイルを作成するのではなく、.cshrc ファイルで mystreams を参照することもできます。