これらの機能の詳細を説明するためにクライアントおよびサーバーのローカル管理の必要条件を例に示します。例 3-3 ではクライアントプログラムで必要とされる定義を行ってから必要なローカル管理を行うステップを示しています。
#include <stdio.h>
#include <tiuser.h>
#include <fcntl.h>
#define SRV_ADDR 1 /* サーバーのアドレス*/
main()
{
int fd;
int nbytes;
int flags = 0;
char buf[1024];
struct t_call *sndcall;
extern int t_errno;
if ((fd = t_open("/dev/exmp", O_RDWR, (struct t_info *),NULL))
== -1) {
t_error("t_open failed");
exit(1);
}
if (t_bind(fd, (struct t_bind *) NULL, (struct t_bind *) NULL)
== -1) {
t_error("t_bind failed");
exit(2);
}
t_open(3NSL) の最初の引数はトランスポートプロトコルの識別を行うファイルシステムオブジェクトのパスです。/dev/exmp は汎用通信ベースのトランスポートプロトコルの識別を行う特別なファイル名の例です。2 つ目の引数 O_RDWR は読み書き可能なオープンを指定しています。3 つ目の引数は t_info 構造体を指定し、トランスポートのサービス特性が戻されます。
このデータはプロトコルに依存しないソフトウェアに適しています (「プロトコルに依存しない処理に関する指針」を参照)。この例では NULL ポインタが渡されています。例 3-3 においては、トランスポートプロバイダは以下の特性を持っている必要があります。
例は正常型解放を使用しているためトランスポートプロバイダは T_COTS_ORD サービスタイプをサポートする。
トランスポートプロバイダはプロトコル固有オプションを必要としない。
ユーザーが T_COTS_ORD 以外のサービスを必要とする場合、別のトランスポートプロバイダをオープンすることが可能です。T_CLTS サービス要請についての例は 「読み取り/書き込み用インタフェース」 で説明しています。
t_open(3NSL) は後に続くすべての XTI/TLI 関数呼び出しで使用されるトランスポートエンドポイントファイルハンドルを戻します。識別子はトランスポートプロトコルファイルをオープンして得られるファイル記述子です (open(2) を参照)。
クライアントはエンドポイントにアドレスを割り当てるため t_bind(3NSL) を呼び出します。t_bind(3NSL) の最初の引数はトランスポートエンドポイントハンドルです。2 つ目の引数はエンドポイントへバインドするアドレスを示す t_bind 構造体を指定します。3 つ目の引数はプロバイダがバインドしたアドレスを示す t_bind 構造体を指定します。
クライアントのアドレスは多くの場合、他の処理がアクセスを行わないため重要性を持ちません。そのため t_bind(3NSL) への 2 つ目および 3 つ目の引数は NULL です。2 つ目の NULL 引数がユーザー用のアドレスの選択のためトランスポートプロバイダへ指示を行います。
t_open(3NSL) または t_bind(3NSL) が失敗した場合、プログラムは stderr による適切なエラーメッセージを表示するために t_error(3NSL) を呼び出します。整数型の外部変数 t_error(3NSL) はエラー値に割り当てられます。エラー値のセットが tiuser.h に定義されています。
t_error(3NSL) は perror(3C) と類似しています。トランスポート機能エラーがシステムエラーの場合、t_errno(3NSL) は TSYSERR に設定され、errno は適切な値に設定されます。