Solaris X Window System 開発ガイド

アウトラインフォントとビットマップフォント

Solaris のフォントの表現方法には、「アウトライン」フォントと「ビットマップ」フォントの 2 種類があります。アウトラインフォントから文字を表示する際、サーバーは文字の輪郭線だけについて拡大・縮小と回転処理を行います。こうして形を整えられた輪郭線は、ピクセル形式 (ビットマップ) で「描画」され、画面上に表示されます。このビットマップは、再使用のためにグリフキャッシュにも格納されます。

頻繁に使用されるのは一部のフォントサイズであるため、そのビットマップはプリレンダリング済みビットマップ形式の別のファイルにも格納されます。これによりサーバーは、拡大・縮小やレンダリングの処理を行う手間が省けます。ただし、結果として得られるビットマップフォントはサイズと方向が一意に決まってしまうため、「手で調整」することによって見映えよく読みやすくするフォントもあります。これらのビットマップもグリフキャッシュに格納されます。推奨するビットマップフォーマットは、可搬コンパイル済形式 (.pcf) です。

/usr/openwin/bin というディレクトリには、さまざまなビットマップフォーマット間だけでなく、アウトラインフォントとビットマップフォント間の変換も行うツールとして次のものが入っています。詳細については、それぞれのマニュアルページを参照してください。

表 4-4 に示すように、ビットマップフォントのファイルフォーマットの多くは、アーキテクチャに依存したバイナリファイルです。これらは、アーキテクチャの異なるマシン間 (SPARC と IA 間など) では共有できません。

表 4-4 ビットマップフォントのフォーマット

フォントフォーマット 

バイナリ形式 

アーキテクチャに依存 

ビットマップ配付形式 

いいえ 

いいえ 

可搬コンパイル済形式 

はい 

いいえ 

リトルエンディアン可搬形式 

はい 

はい (IA および ppc)  

ビッグエンディアン可搬形式 

はい 

はい (SPARC) 

Solaris 環境には圧縮形式の .pcf ファイル (拡張子は .pcf.Z) があり、必要に応じて展開できます。システムにフォントを追加する際、フォントファイルは圧縮してもしなくてもかまいません。フォントをより高速で表示したい場合は、非圧縮形式のファイルを使用してください。ディスク領域をより多く確保するには、圧縮ファイルを使用してください。詳細については、compress(1) のマニュアルページを参照してください。

アウトラインからビットマップへのフォントの置き換え

アウトラインフォントによっては、フォントサイズが合えば Solaris 環境がビットマップフォントに自動的に置き換えるものもあります。これにより性能が向上し、場合によってはテキストも美しく読みやすくなります。1 つのアウトラインフォントに対して、置き換えが発生するサイズにはいくつかあります。

フォントの置き換えが発生する条件

現在の DPS では、F3 アウトラインフォント、Type1、および TrueType フォントは .pcf ビットマップフォーマットで置き換えられます。置き換えが発生するのは、正立で、要求された 1 ピクセルのサイズが .pcf フォントサイズの 1 ピクセルの半分以下であり、.pcf フォントが .upr (PostScript リソース) ファイル中のリソースになっている場合です。上記のすべてのスケーラブルフォントは .pcf フォーマットで置き換えられます。