共通デスクトップ環境 プログラマ概要

セッション管理

デスクトップの状態は保存しておくことができます。後で、あるいは別のコンピュータで、デスクトップの状態を再現できます。セッションは、ユーザのデスクトップの状態の、ある瞬間におけるスナップショットです。共通デスクトップ環境は次のような 2 つのセッションをサポートし、いずれかをユーザが選択できるようにしています。

共通デスクトップ環境セッション・マネージャはこれらのアクティビティを調整しますが、アプリケーションの状態の保存についてはアプリケーションが責任を持ちます。

デスクトップは X11R5 で採用されたセッション管理のクライアント間通信規約のスタイルを使用します。これには、トップレベル・ウィンドウの属性を設定するための規約のほとんどが含まれています。デスクトップはこれを拡張し、アプリケーションが状態を格納できる特定のファイルを割り当てる機能を提供します。アプリケーションを再起動するときにコマンド行フラグがこのファイルを指します。複数のトップレベル・ウィンドウを管理するアプリケーションは、それぞれの状態を保存しなければなりません。

セッションは特定のユーザに関連付けられます。共通デスクトップ環境では、ログイン・マネージャがユーザの最初のログインに責任を持ちます。ログイン・マネージャは、UNIX ログイン・プログラムに代わる GUI です。通常は入力されたパスワードがユーザの登録したパスワードかどうかチェックします。ただし、ベンダは各プラットフォームに最適な認証スキーマを提供できます。

ログイン・マネージャはネットワークを認識します。ユーザは、ホスト A がサーバである X ディスプレイに向かい、ホスト B からのセッションを実行することにより、ユーザのディスクトップにログインできます。このセッションにより、ユーザの通常のファイルやホスト B のサービスにアクセスできます。これはデスクトップの X11 ディスプレイ・マネージャ (XDM) としてログイン・マネージャを動作させることにより可能です。XDM コントロール・プロトコル (XDMCP) は、ネットワーク上で X11 ウィンドウ・サーバと XDM との間で使用されます。ログイン・マネージャはログイン・ウィンドウまたはホスト選択ウィンドウを、XDM サービスを要求する任意の X11 サーバに表示します。これにより、XDMCP を認識する X 端末で共通デスクトップ環境が使用できます。

X サーバへ接続するため、デスクトップは X マジック・クッキー・スキーマを使用してアクセスをコントロールします。あるホスト・マシン上でユーザが、セッション所有者のホーム・ディレクトリ内の特定のファイルを読むことができる場合、X サーバへアクセスが許可されます。このユーザごとの利用権の他にホストごとの利用権があります。X マジック・クッキー・スキーマを使用して X サーバへ接続できない X11R4 以前のクライアントをサポートするインストールを行う場合に便利です。

X リソース・ファイルは共通デスクトップ環境のセッションのコンテキストで次のように処理されます。まず、一連の共通デスクトップ環境のデフォルト・リソースはホストのリソース・ファイルとマージされ、次にユーザの $HOME/.Xdefaults ファイルが続き、次にスタイル・マネージャでのユーザ対話により変更されるリソースのセッション固有ファイルが続きます。その結果はルート・ウィンドウの RESOURCE_MANAGER 属性に格納されます。精密なカスタマイズを可能にするために、リソース・ファイル上に C プリプロセッサを実行します。