この節では、mailx を使うために最低限必要なことについて説明します。この章の後半では、mailx プログラムを効率よく使うための機能と特徴について説明します。
メールの受信者のログイン名とマシン名は、mailx プログラム用の一意のアドレスとして使われます。メールの受信者が送信者と同じマシン上にいる場合は、ログイン名だけ分かれば十分です。各ユーザは、メールを受信するためのメールボックスを持っています。通常、このメールボックスは /var/mail/username ディレクトリ (username は各ユーザのログイン名) にあります。
メールが受信されると mailx プログラムはその旨をユーザに知らせ、メールボックスにメールを収納します。ユーザがメールを読んだ後、mailx はそれらのメールを自動的に mbox という記録ファイルに格納します。mbox ファイルは、ユーザのホームディレクトリにあります。
mailx を起動するには、プロンプトに対して次のコマンドを入力し、Return キーを押します。
$ mailx |
メールボックスにメールがない場合は、次のようなメッセージが画面に表示されます。
No mail for username $ |
username は各ユーザのログイン名です。
mailx の機能を試すには、まず最初に自分自身にメールを送信してみましょう。プロンプトに対して mailx コマンドをもう一度入力しますが、今回は自分のアドレス (ログイン名とマシン名) も指定します。たとえば、ログイン名が rose でマシン名が texas の場合、アドレスは rose@texas となります (@ シンボルは「at」の意味)。ローカルネットワーク上でのログイン名を使うこともできます (疑問点についてはシステム管理者に問い合わせてください)。
$ mailx rose@texas |
mailx プログラムは、Subject: という行を表示します。
$ mailx rose@texas Subject: |
ここで、メールの内容を説明する表題を入力して、Return キーを押します。次に、メールの本文を入力します。行の長さは短くおさえて、各行の終わりで Return キーを押します (Return キーを押す前ならば、Back Space キーで後退して再入力することによって文を修正できます)。
メールのサンプルを下記に示します (空白行は、Return キーで作成したものです)。
$ mailx rose@texas Subject: to someone who really cares Dear Rosey, From the ends of your fingers To the tip of your nose You're a cool breeze in August My sweet Texas Rose. See you soon, Rose |
メールを送信するには、メールの最終行で Return キーを押してから Ctrl-D を押します。メールが送信されると、コマンドプロンプトの状態に戻ります。
自分宛てのメールを読むには、mailx コマンドをもう一度入力します。画面に以下のようなメッセージが表示されます。
最初の行には実行中の mail のバージョンが表示され、2 行目には到着するメールが収納されるメールボックス (通常は /var/mail/username にある) の場所が表示されます。この例では 3 行目に、自分に送ったメールに関する情報が表示されています。行の先頭の「N」(new を表す) は、これが「新しい」メールであることを示します。「U」(unread を表す) は、新しいメールが到着したのに、前回 mailx プログラムを実行したときには読まれなかったことを意味します。(この画面の内容については、「メールの読み方」で詳しく説明します。) 各メールには、受信時に番号が割り当てられます。
ユーザ rose の自分宛てのメールには、1 というメール番号が付いています。
メールを読むには、アンパサンド (&) で示される mailx プロンプトに対して次のようにメールの番号を入力します。
mailx を使い終えたら、q (quit) または x (exit) コマンドのどちらかを入力してプログラムを終了できます。
今回の例では、mailx プロンプトに対して q と入力して Return キーを押します。
& q |
すると、次のようなメッセージが表示されます。
Saved one message in home_directory/mbox.
home_directory は、ホームディレクトリのパス名です。
mailx プロンプトに対して q と入力して mailx を終了した場合、mailx は読み終わったメールをメールボックスから削除してホームディレクトリ内の mbox ファイルに保存します。メールを変更したり削除した場合は、その内容も保存されます。
& x |
mailx プロンプトに対して x と入力して Return キーを押した場合、読み終わったメールは mbox ファイルに移動されず、変更や削除の内容も保存されません。