このマニュアルは、ToolTalkTM サービスについての説明と、ToolTalk メッセージを送受信できるようにアプリケーションを変更する方法について記述しています。このマニュアルでは、次の内容について説明しています。
ToolTalk サービスの概念
ToolTalk サービスとは何か、どのように機能するのか
ToolTalk サービスを設定および管理するための必要事項
ToolTalk サービスにアプリケーションを統合するための必要事項
プロセスまたは ToolTalk オブジェクトへメッセージを送信するようにアプリケーションを変更する方法
アプリケーションが受け取りたいメッセージパターンに関する情報を登録する方法
ToolTalk サービスからアプリケーションに配信されたメッセージを受信して処理する方法
アプリケーションデータ内で ToolTalk オブジェクトを作成し管理する方法
ToolTalk オブジェクトをシステム管理者レベルで管理する方法。ユーザーが、オブジェクトとオブジェクトが格納されているファイルを管理するための必要事項
ToolTalk サービスを使用したアプリケーション間通信の実現方法
このマニュアルは、ToolTalk サービスを使用して他のアプリケーションと連携するアプリケーションを作成し管理する開発者を対象としています。また、ワークステーションを設定するシステム管理者にも役立ちます。このマニュアルでは、読者が Solaris 操作環境のコマンド、システム管理者のコマンド、およびシステム用語についての知識があると想定しています。
このマニュアルは、次のように構成されています。
第 1 章「ToolTalk サービスの紹介」 では、ToolTalk サービスの働き、アプリケーションが提供した情報を使って ToolTalk サービスがメッセージを配信する方法、およびアプリケーションの ToolTalk サービスの使用法について説明します。
第 2 章「ToolTalk サービスの概要」 では、このリリースにおける新しい機能、変更された機能、およびアプリケーションと ToolTalk の構成要素について説明します。
第 3 章「メッセージパターン」 では、メッセージパターンの属性について説明します。
第 4 章「ToolTalk プロセスの設定と管理」 では、ToolTalk ファイルの配置、ハードウェアとソフトウェアの必要事項、ToolTalk バージョン情報の検索方法、および ToolTalk データベースのインストール上の注意事項について説明します。
第 5 章「アプリケーション情報の管理」 では、アプリケーション情報の管理方法について説明します。
第 6 章「ToolTalk メッセージで参照するファイルとオブジェクトの保守」 では、ToolTalk メッセージにおけるファイル参照の保守方法、システム管理者とユーザーが ToolTalk オブジェクトを保守する方法、および ToolTalk データベースの保守方法について説明します。
第 7 章「ToolTalk セッションの結合」 では、ToolTalk API ヘッダーファイルの配置、アプリケーションを初期化して ToolTalk サービスとのセッションを開始する方法、ファイルおよびセッションについての情報を ToolTalk サービスに対して指定する方法、記憶領域の管理方法とエラーの対処方法、およびプロセス終了時にメッセージパターンを登録解除して ToolTalk サービスとの通信を終了する方法について説明します。
第 8 章「メッセージの送信」 では、メッセージの配信、ToolTalkメッセージの属性とアルゴリズムについて説明します。また、メッセージの作成、メッセージ内容の記入、要求に対するコールバックの添付、メッセージの送信などそれぞれの方法についても説明します。
第 9 章「動的メッセージパターン」 では、動的メッセージパターンを作成する方法、ToolTalk サービスに動的メッセージパターンを登録する方法、および動的メッセージパターンにコールバックを追加する方法について説明します。
第 10 章「静的メッセージパターン」 では、インストール時にプロセスおよびオブジェクトタイプについての情報を指定する方法、ToolTalk サービスで静的メッセージパターンを使用できるようにする方法、ptype の宣言方法、Sun Vendor Type Registration プログラムで ptype を登録する方法について説明します。
第 11 章「メッセージの受信」 では、アプリケーションに配信されたメッセージを検索する方法、検査の済んだメッセージを処理する方法、応答を送信する方法、およびどのような場合にメッセージを破棄すべきかについて説明します。
第 12 章「オブジェクト」 では、ユーザーのプロセスが作成および管理するオブジェクトに対する ToolTalk 仕様のオブジェクトを作成する方法について説明します。
第 13 章「情報記憶領域の管理」 では、オブジェクトを管理および削除する方法について説明します。
第 14 章「エラー処理」 では、エラー状態を処理する方法について説明します。
付録 A 「分類機構データベースから ToolTalk 型データベースへの移行」 では、分類機構データベースから ToolTalk 型データベースへの移行方法について説明します。
付録 B 「ToolTalk サービスのデモンストレーション」 では、ToolTalk サービスがどのような方法でアプリケーション間の通信を実現しているかを示します。
付録 C 「ToolTalk の標準メッセージセット」 では、連携させたいアプリケーションと同じプロトコルのアプリケーションを開発するための ToolTalk メッセージセットについて説明します。
付録 D 「Q & A」 では、ToolTalk サービスについてよく質問を受ける項目とその解答をまとめています。
次に、ToolTalk の関連文書を示します。
『ToolTalk リファレンスマニュアル』
『ToolTalk Message Sets』
『CASE Inter-Operability Message Sets』
『ToolTalk and Open Protocols』、ISBN 013-031055-7、SunSoft Press/Prentice Hall 発行
専門書を扱うインターネットの書店 Fatbrain.com から、米国 Sun MicrosystemsTM, Inc. (以降、SunTM とします) のマニュアルをご注文いただけます。
マニュアルのリストと注文方法については、http://www1.fatbrain.com/documentation/sun の Sun Documentation Center をご覧ください。
http://docs.sun.com では、Sun が提供しているオンラインマニュアルを参照することができます。マニュアルのタイトルや特定の主題などをキーワードとして、検索をおこなうこともできます。
このマニュアルでは、次のような字体や記号を特別な意味を持つものとして使用します。
表 P-1 表記上の規則
字体または記号 |
意味 |
例 |
---|---|---|
AaBbCc123 |
コマンド名、ファイル名、ディレクトリ名、画面上のコンピュータ出力、コード例を示します。 |
.login ファイルを編集します。 ls -a を使用してすべてのファイルを表示します。 system% |
AaBbCc123 |
ユーザーが入力する文字を、画面上のコンピュータ出力と区別して示します。 |
system% su password: |
AaBbCc123 |
変数を示します。実際に使用する特定の名前または値で置き換えます。 |
ファイルを削除するには、rm filename と入力します。 |
『 』 |
参照する書名を示します。 |
『コードマネージャ・ユーザーズガイド』を参照してください。 |
「 」 |
参照する章、節、ボタンやメニュー名、強調する単語を示します。 |
第 5 章「衝突の回避」を参照してください。 この操作ができるのは、「スーパーユーザー」だけです。 |
¥ |
枠で囲まれたコード例で、テキストがページ行幅を超える場合に、継続を示します。 |
sun% grep `^#define ¥ XV_VERSION_STRING' |
ただし AnswerBook2TM では、ユーザーが入力する文字と画面上のコンピュータ出力は区別して表示されません。
コード例は次のように表示されます。
[ ] は省略可能な項目を示します。上記の例は、filename は省略してもよいことを示しています。
| は区切り文字 (セパレータ) です。この文字で分割されている引数のうち 1 つだけを指定します。
キーボードのキー名は英文で、頭文字を大文字で示します (例: Shift キーを押します)。ただし、キーボードによっては Enter キーが Return キーの動作をします。
ダッシュ (-) は 2 つのキーを同時に押すことを示します。たとえば、Ctrl-D は Control キーを押したまま D キーを押すことを意味します。
このマニュアルでは、英語環境での画面イメージを使っています。このため、実際に日本語環境で表示される画面イメージとこのマニュアルで使っている画面イメージが異なる場合があります。本文中で画面イメージを説明する場合には、日本語のメニュー、ボタン名などの項目名と英語の項目名が、適宜併記されています。
このマニュアルでは、「IA」という用語は、Intel 32 ビットのプロセッサアーキテクチャを意味します。これには、Pentium、Pentium Pro、Pentium II、Pentium II Xeon、Celeron、Pentium III、Pentium III Xeon の各プロセッサ、および AMD、Cyrix が提供する互換マイクロプロセッサチップが含まれます。