次のコード例は、otype ファイルの構文を示しています。
otid - 「オブジェクト型識別子」。オブジェクト型を識別します。otid は、導入システムごとに一意でなければなりません。この識別子は、インストール後は変更できません。したがって、選択する個々の名前は一意でなければなりません。たとえば、otype を実行するツールの ptid で始めることができます。otid には、64 文字以内という制限があり、予約済み識別子 (ptype、otype、start、opnum、queue、file、session、observe、または handle) は使用できません。
otype の定義のオブジェクト本体の部分は、アプリケーションが監視および処理の対象とするオブジェクトに関する、メッセージの osignature を記述したものです。
op - 操作名。この名前は、メッセージの操作属性と照合されます。
ptype と otype の両方にメッセージシグニチャを指定する場合は、それぞれに一意の操作名を使用します。たとえば、ptype と otype の両方に表示操作は指定できません。
args - 操作のための引数。args リストが void の場合、シグニチャは引数のないメッセージだけに一致します。args リストが空で (つまり ()) である場合は、シグニチャは引数とは無関係に一致します。
contextdcl - コンテキスト名。この名前の付いたコンテキストを持つパターンがシグニチャから生成される場合、パターンは空の値リストを持ちます。
ptid - この型のオブジェクトを管理するアプリケーションのプロセス型識別子
opnum - 指定された数をメッセージの opnum 属性に書き込み、メッセージと一致したシグニチャを識別できるようにします。
メッセージがシグニチャと一致するとき、シグニチャの opnum がメッセージに組み込まれます。これでアプリケーションは、tt_message_opnum 呼び出しによって opnum を検索できます。シグニチャごとに固有の opnum を指定すると、どのシグニチャがメッセージと一致したかを判定できます。
tt_otype_opnum_callback_add 呼び出しを使用すれば、opnum にコールバックルーチンを接続できます。メッセージが一致すると、ToolTalk サービスは、その opnum に接続されたコールバックをすべて調べ、それらを起動します。
inherit - otype は、操作を基本の型から引き継げる引き継ぎ階層を形成します。ToolTalk サービスでは otype を定義する場合、引き継いだすべての操作と引き継ぎ元の otype を明示的に指定しなければなりません。この明示的な指定によって、後からの変更 (階層に新しいレベルを追加することや、基本の型に新しい操作を追加することなど) が、otype の動作に予想外の影響を与えるのを防止できます。
scope - このパターン属性は、メッセージの配信範囲属性と照合されます。配信範囲は矢印の右端にあり、メッセージのディスパッチのときに ToolTalk サービスが書き込みます。これは otype を定義するときに、属性を指定できることを意味します。つまり、メッセージの送信側は、メッセージの配信方法を理解していなくてもかまいません。
start - osignature がメッセージに一致しても、この otype を持つ実行中プロセスの中にメッセージに一致したパターンを持つものがない場合は、この otype のプロセスを起動します。
queue - osignature がメッセージに一致しても、この otype を持つ実行中プロセスの中に、メッセージに一致したパターンを持つものがない場合は、この otype のプロセスがメッセージに一致したパターンを持つものを登録するまで、メッセージを待ち行列に入れます。
次に otype ファイルの例を示します。
Sun_EditDemo_opnums.h ファイルは、edit.c が使用するすべての opnum のシンボリック定義を定義します。これによって、edit.types ファイルと edit.c ファイルは同じ定義を共有できます。