共通デスクトップ環境 スタイル・ガイド

第 2 章 入力、ナビゲーション、選択、および起動

入力デバイスは、ユーザが対話中のインタフェースの部分に応じて、さまざまなアクションを実行します。通常、マウス・ユーザは、マウス操作の本来の柔軟性によって、キーボード・ユーザよりも簡単にウィンドウやコントロールにアクセスできます。キーボード・ユーザは、アプリケーション内でカーソルを移動するために、特別なキーを使わなくてはなりません。

ユーザは、アクションを起こす場所を指定するために、インタフェースの内部でポインタやカーソルを移動する必要があります。このために、ユーザはナビゲーション方式を使用しますが、その変化はインタフェース内のカーソルの位置に依存します。つまり、ナビゲーションとは、ユーザがインタフェース内でポインタやカーソルを移動する方法という意味です。

ユーザは、インタフェース内の対話したい要素を示すことがしばしば必要になります。ユーザは選択を行なって、それ以降の操作の対象となる個々の要素、あるいは複数の要素を指定できます。

起動とは、コントロールを使ってアクションを実行することです。たとえば、ユーザがボタンを選択したり、メニューから項目を選択した場合、ユーザはそのコントロールを起動していることになります。

以下の節では、入力、ナビゲーション、選択、および起動のための共通デスクトップ環境の要件の概略を説明します。

入力のガイドライン

仮想キーとは、ユーザがインタフェースを介して実行できる一般的な操作の名前です。これらは 1 個以上の物理キーの組み合わせにマッピングされています。[ヘルプ]、[属性]、[元に戻す]、[カット]、[コピー]、および [ペースト] という仮想キーに対応する機能をアプリケーションが持つ場合には、アプリケーション開発者は、これらの仮想キーをサポートすることが強く望まれます。他の仮想キーは、必要に応じたサポートでよいでしょう。

必須 

a: 

Motif/共通デスクトップ環境の仮想キーに対応する機能を持っているコンポーネントやアプリケーションは、それらのキーをサポートしなければならない。 

仮想キーとそのマッピングのリストについては、チェックリスト項目を参照してください。 

ナビゲーション

デスクトップでは、メニューの表示に BSelect または BMenu を使用できます。この機能は、専用のマウス・メニュー・ボタンを提供する環境に慣れたユーザのために追加されたものです。

マウス・ベースのテキスト・フィールドのナビゲーションのために、デスクトップでは、テキスト・カーソルがテキスト・フィールドの先頭または末尾ではなく、マウス・カーソルの位置に置かれなくてはならないという要件が追加されています。

マウス・ベースのナビゲーション

オプション 

b: 

メニュー・バー項目の上で BMenu Press または BMenu Click を行うと、そのメニューが表示される。 

必須 

c: 

オプション・ボタンの上で BMenu Press か BMenu Click を行うと、オプション・メニューが表示される。 

必須 

d: 

テキスト・フィールドの上で BSelect Press を行うと、テキスト・カーソルがマウス・カーソル位置に挿入される。 

キーボード・ベースのナビゲーション

標準キーボードを使う上で困難があるユーザが、キーボード・ナビゲーションを簡単に利用できるように、プッシュ・ボタンのグループの中で [Tab] キーをナビゲーション・キーとしてサポートするという要件が追加されています。この変更は、ユーザが 1 つのダイアログ・ボックスの中でナビゲーションを行うために実行しなければならない、キーボード上の両端 ([Tab] キーと矢印キーの間) の移動回数を減らすことが目的です。

オプション 

e: 

新しいウィンドウが開かれると、キーボード・フォーカスは、そのウィンドウの性質に応じて、ウィンドウの中の最初のフィールドまたは最初の位置、あるいはデフォルトの位置に置かれる。 

必須 

f: 

[Tab] キーは、グループ内のプッシュ・ボタンの間で入力フォーカスを移動する。 

また、矢印キーでも指定のフォーカスを移動する。−『OSF/Motif スタイル・ガイド リリース 1.2

必須 

g: 

[Control] キー、[Shift] キー、および [Alt] キーは、他のキーまたはキーの組み合わせの機能を変更するためだけに使用する。 

オプション 

h: 

[Alt] キーは、ニーモニックにアクセスするためだけに使用する。 

選択

デスクトップには、Motif における選択に関して、2 つの重要な変更点が組み込まれています。1 番目の変更点は、ユーザが中マウス・ボタンに「アジャスト」または「転送」機能を割り当てることができるということです。さらに、デスクトップでは 1 番目のマウス・ボタンにドラッグと選択の組み合わせを割り当てています。

3 ボタンのマウスでは、ボタン 2 は一般に BTransfer (または BSelect) 機能に使用されています。しかし、共通デスクトップ環境では、ユーザは環境設定を変更して、マウス・ボタン 2 を BAdjust 機能に使用できます。BAdjust は、複数選択モデルにおいて、要素の選択状態を切り替えるために使用できます。

以下のガイドラインでは、BAdjust の動作について説明します。

マウス・ベースの複数選択

必須 

i: 

アプリケーションが、複数選択モデルに従うコレクションを含んでいる場合、BTransfer ボタンが BAdjust として動作するように構成されていれば、BAdjust がサポートされ、BSelect と同じように動作する。 

必須 

j: 

複数選択を使用するコレクションでは、未選択の要素の上で BSelect または BAdjust をクリックすると、その要素が現在の選択に追加される。選択されている要素の上で BSelect または BAdjust をクリックすると、その要素が現在の選択から削除される。BSelect または BAdjust をクリックすると、位置カーソルがその要素に移動する。 

マウス・ベースの範囲選択

必須 

m: 

アプリケーションが、範囲選択モデルに従うコレクションを含んでいる場合、BTransfer ボタンが BAdjust として動作するように構成されていれば、BAdjust がサポートされ、[Shift] + BSelect と同じように動作する。 

必須 

n: 

範囲選択を使用するコレクションで、ユーザが [Shift] + BSelect または BAdjust を押したとき、アンカーは変更せれずに残り、拡張モデルの 1 つに基づいて選択の拡張範囲が決定される。 

 

 

再選択

拡張範囲は、最初に選択を行なったときと同じように、アンカーと現在のポインタ位置によって決定される。 

 

 

拡大のみ

選択は拡大することだけができる。拡張範囲は、アンカーと現在のポインタ位置によって決定されるが、その後、現在の選択を含むように拡大される。 

 

 

バランス・ビーム

現在の選択の中点にバランス・ポイントが定義される。ユーザがバランス・ポイントから見てアンカーの反対側で [Shift] + BSelect または BAdjust を押した場合、このモデルは再選択モデルと同じように動作する。ユーザがバランス・ポイントから見てアンカーと同じ側で [Shift] + BSelect または BAdjust を押したり、[Shift] によって修正されたナビゲーション・アクションを開始した場合、このモデルはアンカーを選択の反対側に移動した後に、再選択モデルと同じように動作する。 

 

 

ユーザが BSelect または BAdjust を離すと、アンカーは移動せず、拡張範囲の中のすべての要素が選択され、その外側のすべての要素の選択が解除される。 

マウス・ベースの不連続選択

必須 

o: 

不連続選択を使用するコレクションでは、BAdjust を使用して、不連続選択の範囲を拡張できる。拡張範囲は、BAdjust を範囲選択の拡張に使用するときとまったく同じように決定される。 

コンポーネントの起動

以下のガイドラインは、ダブルクリックのタイミングとニーモニックを明確に示し、特定のコンポーネントの起動に関する変更点を説明し、CDE Motif で新しく取り入れられたコンポーネントの動作を説明します。

基本的な起動

必須 

x: 

ダブルクリックの検出時間 (*doubleClickTime: 500) は 500 ミリ秒以上でなければならない。 

ニーモニック

必須 

y: 

ニーモニック文字は、ラベルのテキストの中で探しやすい位置を選ばなければならない。可能な限り、ラベルの先頭の文字を使用する。これが不可能な場合は、ラベルの最後の文字を、また複数の単語があるときは 2 番目の単語の先頭の文字を使用する。これも不可能な場合は、ラベルの 2 番目の文字から始めて、固有のニーモニックが見つかるまで順番に調べていく。 

チェックボタン

必須 

7-1: 

アプリケーションは、相互排他的でない設定を選択するために、チェックボタンを使用する。チェックボタンは、チェックマークの有無によって、その状態をグラフィカルに表示する。 

チェックボタンは、相互排他的でない設定を選択するために使用されます。ユーザはボタンが設定されているかどうかがわかる必要があります。 

オプションボタン

必須 

7-23: 

ユーザがオプションボタン内で BSelect または BMenu を押すと、関連するオプション・メニューが固定表示される。 

BSelect Press は、オプションボタンを起動するための一貫性のある手段として利用できます。 

必須 

7-24: 

ユーザが、押したオプションボタン内で BSelect または BMenu を離すと、押した時点でオプション・メニューが固定表示されていない場合は、そのボタンに関連するオプション・メニューが表示される。ユーザがオプションボタンの外側で BSelect または BMenu を離すと、オプション・メニューの固定表示は消去される。 

BSelect Release または BMenu Release は、ボタンを離したのがオプションボタンの中だったのかどうか、また、ボタンを押したときにオプション・メニューが固定表示されていたかどうかに応じて、オプション・メニューの固定表示または消去を行います。 

ゲージ

必須 

ib: 

ゲージは、ユーザとの相互作用がない表示専用のデバイスであるという点を除けば、スケールと似ている。ゲージの外観はスケールと似ているが、ゲージにはスケール・スライダはない。 

オプション 

ic: 

ゲージは表示専用のデバイスであるが、ユーザが [ヘルプ] または [設定] コントロールにアクセスできるように、キーボード・フォーカスを取得するようになっていなければならない。