次に、印刷アクションが可能な場所で使用される印刷ダイアログ・ボックスの共通した外観と操作性を実現するためのガイドラインを示します。印刷ダイアログはウィジェットではありません。開発者は、これらのガイドラインを出発点として使用し、アプリケーションに応じて機能を追加していくことをお勧めします。ただし、ユーザが印刷ダイアログの間での一貫性を期待していることを忘れてはなりません。したがって、共通領域はできるだけ変更しないでおくべきです。ユーザがファイル、選択、あるいはその他のオブジェクトの印刷のためのオプションを選択する場面では、必ず印刷ダイアログ・ボックスを使用してください。アプリケーションが印刷をサポートする場合は、印刷ダイアログ・ボックスを使用するべきであり、オプションとして「暗黙」の印刷方法として、直接に印刷を行うための非ダイアログ的な手段を用意することもできます。
[印刷...]: ユーザが、選択されたオブジェクトを印刷する前に、使用可能なオプションから選択できるようにするための印刷ダイアログを表示します。
[印刷]: 事前にユーザが定義したデフォルトの印刷方法を使用して、選択されたオブジェクトを 1 部印刷します。ユーザにダイアログを通しての情報の入力は求めません。
アプリケーションは、さまざまなタイプの印刷機能や印刷能力を提供することが期待されています。この節では、各種の項目の概念と動作がアプリケーション間で一貫性のあるものになるように、最もよく使用されるタイプの印刷オプションのガイドラインを示します。これらの一般的な項目は、[印刷] ダイアログの上部にある共通領域にまとめられます。図 7-5 に、典型的な [印刷] ダイアログを示します。共通領域は、セパレータ線の上の領域です。
共通領域は次のコンポーネントを含んでいます。
[ダイアログ・タイトル]: 印刷
[ファイル]: これは編集不可能なフィールドです。これはファイル名 (存在する場合) を表示します。ユーザがファイル以外のオブジェクトを印刷している場合、このフィールドは可能ならばオブジェクト型を表示します (たとえば、メール・メッセージ、カレンダのアポイントなど)。
[プリンタ]: コンビネーション・ボックスですが、テキスト・フィールドであってもかまいません。プリンタの出力先の名前を含んでいます。デフォルトのエントリは「デフォルト」で、デフォルトの出力先となっているプリンタが使用されます。ユーザは他の有効なプリンタ名を選択または入力できます。コンビネーション・ボックスの場合、プリンタのリストに、その印刷ジョブに適しているかどうかという条件を反映できます。ダイアログは、ユーザの最後の入力または選択を保持できます。
[印刷部数]: ユーザが、希望の出力部数を選択または入力するスピン・ボックス (数値ウィジェット)。オプションとしてテキスト・フィールドにすることもできます。
[バナーページのタイトル]: ユーザが出力のバナーページ (カバーページ) に表示するテキストを入力できるテキスト・フィールド。このフィールドには、ユーザがデフォルトのバナー・タイトルを他の場所で設定している場合は、そのタイトルが反映されます。オプションとして、バナーページを完全にオフにするためのチェック・ボックスを追加することもできます。
セパレータ線: 共通フィールド、アプリケーション固有フィールド、およびボタンを区切るために使用します。
印刷ダイアログは、次の標準ボタンを含みます。
[印刷]: ユーザがダイアログで行なった選択を受け付け、選択されたオブジェクトを印刷し、ダイアログを終了します。
[取消し]: ダイアログの中でのユーザの選択を無視し、何も印刷せず、ダイアログを終了します。
[ヘルプ]: 関連するヘルプ・ウィンドウを表示します。
オプションのボタンとしては、[リセット]、[印刷プレビュー] などがあります。
標準の [印刷] ダイアログのアプリケーション固有領域は、図 7-6 に示す、ダイアログ・ボックスの下半分です。
アプリケーションまたは機能に応じて、開発者は共通の [印刷] ダイアログにフィールドを追加できます。ダイアログの中のコントロールは横向きに配置されます。フィールドを追加する必要がある場合は、図に示すようにセパレータ線を追加して、その下にコントロールを追加します。プッシュ・ボタンがさらに必要な場合は、[印刷] ボタンと [取消し] ボタンの間に置きます。
オプションのフィールドとして、次のようなものが考えられます。
このチェックボックスは、テキスト・ファイルの印刷のみに適用されます。印刷対象として選択されたオブジェクトがテキストではない場合は、このコントロールは選択不可にします。オンになっていると、出力ページにページ番号が付けられます。
ユーザが lp コマンドやスクリプト名を入力して、他のフィールドでの命令を無効にするためのテキスト・フィールド。lp 以外の印刷方法を使用する場合は、このフィールド名を変更します ([印刷方法]、[印刷コマンドの使用] など)。
これは、[高]、[中]、および [低] という値を含んでいるオプション・メニューか、数値を含んでいるスピン・ボックスです。
[ポートレート] と [ランドスケープ] という値を含んでいるオプション・メニュー (図 7-6 を参照)。
dpi 単位の数値を含んでいるオプション・メニューまたはスピン・ボックス (図 7-6 を参照)。
[片面] と [両面] という値を含んでいるオプション・メニュー (図 7-6 を参照)。
[レター]、[リーガル] などの値を含んでいるオプション・メニュー (図 7-6 を参照)。
[上トレイ]、[下トレイ] などの値を含んでいるオプション・メニュー (図 7-6 を参照)。
ダイアログ・ボックスをアプリケーションで使用する場合は、次のフィールドを考慮に入れます。
印刷する範囲を示す 2 つのテキスト・フィールド (図 7-7 を参照)。
比率の値を含むスピン・ボックス (図 7-7 を参照)。
出力の WYSIWYG (見た目そのまま) 表示を呼び出すボタン。
図 7-6 と、図 7-7 に、[印刷] ダイアログ・ボックスの配置の例を示します。