この章では、Alternate Pathing (AP) と Dynamic Reconfiguration (DR) の関係について説明します。
Dynamic Reconfiguration (DR) と Alternate Pathing (AP) は、密接に連携して動作するように設計されています。DR を使うと、『Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』で説明しているように、オペレーティングシステムを停止しないでシステムボードの接続や切り離しを実行できます。AP は、切り離すボードのコントローラの使用を切り替えて、可能であれば接続されているボードのコントローラが使用されるようにします。
Sun Enterprise 10000 サーバーでは、切り離すボード上に有効なコントローラを持っているディスクやネットワークメタデバイスを、AP が「自動的に」切り替えます (ただし、使用可能な代替パスがもう 1 つのボード上にあると想定した場合)。また、 Sun Enterprise 10000 サーバーでは、DR Detach 操作のドレイン状態にあるボード上のコントローラへの手動切り替えを、AP が防止します。
Sun Enterprise 10000 以外の Sun Enterprise サーバーでは、ボードを切り離す前に必要に応じて手動でディスクとネットワークメタデバイスを切り替える必要があります。
以下の例では、DE フラグが表示されていることから pln:1 のコントローラが切り離されたボード上にあることが分かります。したがって、そのコントローラには切り替えることができません。
# apconfig -S c1 pln:0 P A c2 pln:1 DE メタディスク名: mc1t5d0 mc1t4d0 mc1t3d0 mc1t2d0 mc1t1d0
同様に、以下の例では DR フラグが表示されていることから pln:1 のコントローラがドレイン状態のボード上にあることが分かります。したがって、そのコントローラには切り替えることができません。
# apconfig -S c1 pln:0 P A c2 pln:1 DR メタディスク名: mc1t5d0 mc1t4d0 mc1t3d0 mc1t2d0 mc1t1d0
ドレイン状態にあるかどうかが AP に通知されるのは、Sun Enterprise 10000 サーバー上にあるボードに関してだけです。
パスグループの有効なコントローラを持つボードを切り離す場合は、DR の切り離し操作の前か実行中に、手動でもう 1 つのボードのコントローラに切り替えることができます。
しかし、Sun Enterprise 10000 サーバー以外のマシンでは、切り離し操作が完了するか、切り離し操作が失敗する前に切り替える必要があります。そうでないと DR 切り離し操作が失敗します。DR 切り離し操作が失敗した場合は、切り替え作業を終了させてから、DR 切り離し操作を再実行できます。
ボードを直ちに AP にアクセスできる状態にしなくても、DR Attach 操作を完了させることができます。apconfig(1M) を使用して新しいボードに切り替える前に、物理デバイスが存在することを確認する必要があります。
DR についての詳細は、『Sun Enterprise 10000 Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』または『Sun Enterprise 6x00, 5x00, 4x00, 3x00 システム Dynamic Reconfiguration ユーザーマニュアル』を参照してください。
Sun Enterprise 10000 サーバー以外のマシンで、ディスクまたはネットワークパスグループ用の入出力コントローラのホストになっているボードを接続あるいは切り離す場合は、apconfig -F コマンドを実行する必要があります。このコマンドは、ボードに対する切り離しフラグ (DE) を設定あるいはクリアして、ボードが接続されているかどうかを正しく示します。
Sun Enterprise 10000 サーバーでは、接続や切り離しの操作の後に apconfig -F を実行する必要はありません。DR 操作の完了後、DE フラグは自動的に設定またはクリアされます。
ネットワークコントローラをホストするボードを切り離す場合で、ネットワークデバイスが前回の起動から使用されていないときは、apconfig -F コマンドを実行して、システムにネットワークデバイスが無効であることを通知します。
apconfig -N コマンドは、対応する AP メタドライバが読み込まれていない場合、切り離されたはずのボードにネットワークコントローラが常駐している、または、ないはずのコントローラがボード上にあるといった誤った情報を表示することがあります。apconfig -F を実行して、apconfig -N が正しい情報を表示するようにしてください。