状況によっては、コマンド行から SunVTS のテストを単独で実行した方が都合の良いことがあります。その場合、テストは SunVTS カーネル (vtsk) なしで実行されます。すべてのイベントとエラーメッセージは stdout または stderr に送られ、ログファイルに記録されることはありません。
テストは、以下の 2 つのディレクトリに格納されています。
32 ビットテスト - /opt/SUNWvts/bin/テスト名
64 ビットテスト - /opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名
使用しているオペレーティングシステムのバージョン (32 ビットまたは 64 ビット) に基づいて、テストのパス名を使用してください。
コマンド行からテストを実行する場合、すべてのテストオプションは、コマンド行引数の形式で指定する必要があります。
コマンド行引数は、以下の 2 種類があります。
標準の引数 - すべてのテストに共通の引数です。詳細は、表 A-2 を参照してください。
テスト固有の引数 - 個々のテストに固有の引数です。詳細は『SunVTS 4.0 テストリファレンスマニュアル』を参照してください。
テスト名 [-scruvdtelnf] [-i 数値] [-w 数値] [-o テスト固有の引数]
SunVTS のすべてのテストに共通の標準コマンド行引数の意味は、以下の表に示すとおりです。
表 A-2 標準のコマンド行引数
引数 |
意味 |
---|---|
-s |
SunVTS カーネル (vtsk) から起動したかのようにテストを実行します。テストの出力は、SunVTS カーネルが使用している RPC ポートに送信されます。デフォルトでは、出力は stdout または stderr に送信されます。 |
-c |
いくつかのシグナルを受信したとき、現在の作業用ディレクトリにテストプロセスのコアイメージを作成します。このオプションが無効な場合は、コアイメージが作成されないように、シグナルは捕捉、処理されます。デフォルトでは、コアイメージの作成は無効です。 |
-r |
エラー発生時の実行 (run on error) を有効にします。この場合は、エラーが発生しても、テストは終了せず、次のテストシーケンスに進みます。デフォルトでは、このオプションは無効です。 |
-u |
コマンド行の使用法を表示します。 |
-v |
詳細モードでテストを実行し、テストプロセスに関する詳細メッセージを表示します。デフォルトでは、このオプションは無効です。 |
-d |
デバッグモードでテストを実行し、テストコードのデバッグに役立つ情報を表示します。デフォルトでは、このオプションは無効です。 |
-t |
テスト機能の Trace モードでテストを実行し、テストコードによって使用されている関数呼び出しとシーケンスを含むメッセージを表示します。デフォルトでは、このオプションは無効です。 |
-e |
システム負荷を大きくすることによって Stress モードでテストを実行します。デフォルトでは、このオプションは無効です。 |
-l |
Functional テストモードでテストを実行します。これは、vtsui.online コマンドから実行したときと同じモードです。他のアプリケーションに多大な影響を及ぼすことのない非占有型のテストが実行されます。下記の注を参照してください。デフォルトでは、このオプションは有効です。 |
-n |
Connection テストモードでテストを実行します。下記の注を参照してください。デフォルトでは、このオプションは無効です。 |
-f |
完全な Functional テストモードでテストを実行します。このモードは、テスト中のデバイスを完全に制御できることが前提になります。下記の注を参照してください。デフォルトでは、このオプションは無効です。 |
-i 数値 |
スケーラブルテストのインスタンス数を指定します。 |
-w 数値 |
テストを割り当てるインスタンスを指定します (スケーラブルテストのみ)。 |
-o |
この後のオプションと引数がテスト固有であることを示します。 |
テスト固有の引数は、コンマで区切って指定してください。コンマの後に空白を挿入しないでください。
l、n、f オプションを使用してテストモードを指定する場合は、そのうちの 1 つのオプションだけを指定してください。異なるテストモードを同時に指定することはできません。
実行するテストのコマンド行構文と引数を確認します。
SunVTS には、約 50 種類のテストがあります。実行できるテストは、個々のシステム構成によって異なります。ここでは、どのような構成でも一般的なデバイスに対する 3 つのテストのうちの 1 つを説明します。実際のシステム構成に対応するテストの 1 つを選択し、実行してください。コマンド行構文とテストオプションについての詳細は、『SunVTS 4.0 テストリファレンスマニュアル』を参照してください。
テストに必要な記憶媒体 (テープ、CD、フロッピーディスクなど) やループバックコネクタを装着します。
いくつかのテストでは、この作業は必須です。ただし、このチュートリアルでは、記憶媒体やループバックコネクタを必要とするテストは説明しません。
下記の例のいずれか 1 つを選択して、テストを実行します。
# /opt/SUNWvts/bin/audiotest -vf -o M,X
この例では、-vf -o がすべてのテストに共通の標準引数で、 M、X の 2 つが audiotest に固有の引数です。テストに固有の引数が空白ではなく、コンマで区切られていることに注意してください。
# /opt/SUNWvts/bin/disktest -n -o dev=c0t0d0
このコマンドは、c0t0d0 という名前のディスクドライブをテストします。必要に応じて、このデバイス名を実際にシステムに接続されているドライブのデバイス名に置き換えてください。
64 ビット版の systest を使用した 64 ビット CPU のテスト:
# /opt/SUNWvts/bin/sparcv9/systest -v -f -i5
この例では、sparcv9 サブディレクトリを使用して 64 ビット版を実行しています。/opt/SUNWvts/bin/systest を代わりに指定した場合は、32 ビット版の systest が実行されます。
テストの実行中に画面に表示されるメッセージを確認します。
エラーが発生すると、画面にエラーメッセージが表示されます。SunVTS カーネルなしでテストを実行しているため、イベントやエラーがログファイルに記録されることはありません。