SunVTS アーキテクチャーは、SunVTS カーネル、ユーザーインタフェース、ハードウェアテストの 3 つの部分に分かれています。図 1-2 は、SunVTS のアーキテクチャーを表しています。
SunVTS カーネルの主な機能は以下のとおりです。
起動時にシステムのハードウェア構成を調べ、その情報を保存する
テストから報告されたメッセージを記録する
実行中のすべてのテストの状態を保持する
ユーザーインタフェースや他のアプリケーションからの状態要求や、制御コマンドを監視する
ユーザーにより有効にされたテストの実行予定を立てる
バックグラウンドプロセス (デーモン) として動作する
SunVTS カーネルには、以下の 2 つのバージョンがあります。
32 ビットカーネル - /opt/SUNWvts/bin/vtsk
64 ビットカーネル - /opt/SUNWvts/bin/sparcv9/vtsk
SunVTS ユーザーインタフェースは、SunVTS カーネルとは異なるプロセスです。アプリケーションプログラミングインタフェース (API) を介して SunVTS カーネルと通信します。これにより、SunVTS は、システムの環境に基づいて適切なインタフェース (CDE、OPEN LOOK、TTY) を実行することができ、ユーザーインタフェースは、テスト中のシステム以外のシステムで動作することができます。
SunVTS アプリケーションには、多くのテストがまとめられています。各テストは、SunVTS カーネルからは独立したプロセスとして動作します。
SunVTS を起動すると、SunVTS カーネルが自動的にシステムカーネルを調査し、接続されているハードウェアデバイスを特定し、デバイスの情報が SunVTS 制御パネルに表示されます。このとき、各デバイスに適切なテストやテストオプションが表示されるため、システムのハードウェア構成を確認することができます。このため、実際のシステム構成に適さないテストを実行する無駄がなくなります。
テスト中、すべての SunVTS ハードウェアテストは、プロセス間通信 (IPC) プロトコルを使用してテスト状態とメッセージを SunVTS カーネルに送信します。カーネルは、その状態をユーザーインタフェースに渡し、メッセージを記録します。
SunVTS には、個々のテスト専用の調査ルーチンを含む共用オブジェクトライブラリがあります。SunVTS カーネルは、実行時に調査ルーチンに動的にリンクして呼び出し、個々のテスト専用の情報でそのデータ構造を初期化します。このため、SunVTS のソースコードを再コンパイルすることなく SunVTS 環境に新しいテストを追加することができます。
SunVTS 3.0 以降では、SunVTS カーネルと大部分のテストは、32 ビットおよび 64 ビットオペレーティング環境の両方をサポートしています。sunvts コマンドを使用して SunVTS を起動すると、SunVTS インタフェースに、オペレーティング環境に適したバージョン (32 ビットまたは 64 ビット) のテストが表示されます。
テストは各々独立したプログラムであるため、各テストはコマンド行から直接実行することができます。その場合は、動作中のオペレーティングシステム (32 ビットまたは 64 ビット) に対応していないバージョンのテストを実行しないでください。32 ビットバージョンと 64 ビットバージョンのテストの格納場所は異なります。
32 ビットテスト - /opt/SUNWvts/bin/テスト名
64 ビットテスト - /opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名
コマンド行からではなく、sunvts コマンドを使用して、特定のユーザーインタフェースで SunVTS を起動した場合は、実際の Solaris オペレーティング環境に基づき、SunVTS によって自動的に適切なバージョン (32 ビットまたは 64 ビット) のテストが割り当てられます。
動作中のオペレーティングシステムのバージョン (32 ビットまたは 64 ビット) が不明な場合は、Solaris 8 のシステム管理に関するマニュアルを参照してください。 Solaris 8 では、以下のコマンドを使用して、システムアプリケーションのサポートを調べることができます。
# isainfo -v |
isainfo コマンドは、Solaris 2.6 以前のバージョンが動作するシステムでは提供されていません。