Solaris 8 ご使用にあたって (SPARC 版)

アップグレードに関する注意事項とバグ情報

旧リリースの Solaris がインストールされているシステムを、Solaris 8 にアップグレードする場合の注意事項とバグについて説明します。

Sun Microelectronics プラットフォーム用のパッチが適用されたオペレーティング環境を Solaris 8 にアップグレードすると、システムのブートが失敗する (バグ ID: 4240147, 4204436)

オペレーティング環境を Solaris 8 にアップグレードする時に、Sun Microelectronics プラットフォーム用のパッチ 107258-02 または 107258-01 が適用されたままになっていると、アップグレード完了後にシステムのブートが失敗します。

回避方法: パッチ 107258-02 または 107258-01 がインストールされている Solaris 7 オペレーティング環境を Solaris 8 にアップグレードする場合は、アップグレードを開始する前に次のコマンドを実行して、パッチを削除してください。


# patchrm 107258-02
# patchrm 107258-01

Solaris 8 へのアップグレードインストールの範囲

Solaris 8 をアップグレードオプションによってインストールする場合、Solaris 2.5.1 以降のシステムからのアップグレードをサポートします。それより前のリリースからのアップグレードは保証されません。

対話式インストールによるアップグレードでのロケール選択

「ロケール選択機構の変更」で説明したように、Solaris 8 では、インストールするロケールを選択する機構が変更されました。このため、対話式インストールを使用してシステムを Solaris 8 へアップグレードすると、既存システムのインストール時に明示的にインストールしなかったロケールが「地域の選択」画面で自動的に選択されます。これは、既存システムのインストール時に明示的に指定していないロケールのソフトウェアが、暗黙のうちにインストールされていたためです。

既存システムのインストール時にインストールするロケールとして明示的に指定しなかったロケールが含まれている地域を、「地域の選択」画面で選択解除することができます。余分なロケールをそのまま選択解除せずにアップグレードを行なっても問題はありません。アップグレードしたシステムには、アップグレード前と同じレベルのロケール環境がサポートされます。ただし、既存のシステムに明示的にインストールしたロケールは、「地域の選択」画面で削除することはできません。

[日本語環境のみ]「日本語 Solaris 2.5.1 PC 漢字コード開発キット」が入ったシステムからのアップグレード

Solaris 2.5.1 に同梱されていた「日本語 Solaris 2.5.1 PC 漢字コード開発キット」がインストールされているシステムをアップグレードする場合、それをサポートするパッケージ (SUNWjprSUNWjpuSUNWjpxwSUNWjpdt) は自動的に削除されます。ja_JP.PCK ロケール環境をインストールするには、「言語の選択」画面で「Japanese PC Kanji (ja_JP.PCK)」を追加選択してください。

[日本語環境のみ] Wnn6 に関するアップグレード時の注意事項

Solaris 2.5.1 (SMCC 版) で提供されていた Wnn6 (OMRONWnn6) を使用していたシステムでアップグレードインストールを行なった場合、/opt/Wnn6/lib/ja_JP/dic/usr に配置されていたユーザー辞書や学習ファイルは自動的に /var/locale/ja/wnn/ja/dic/usr にコピーされ、新しい環境に引き継がれます。ユーザー辞書などが不要な場合は、 /var/locale/ja/wnn/ja/dic/usr ディレクトリに作成されたユーザーのディレクトリを削除してください。

OMRONWnn6 で変更した設定ファイル (/opt/Wnn6/lib ディレクトリに配置されます) は、自動的には引き継がれません。必要に応じて /etc/lib/locale/ja/wnn ディレクトリにあるファイルを編集してください。標準のファイルは /usr/lib/locale/ja/wnn に置かれます。

OMRONWnn6 は、アップグレードインストールでは削除されません。 必要に応じて、アップグレード後に削除してください。ただし、OMRONWnn6 を削除すると、/opt/Wnn6 に置かれたすべてのファイル (変更された設定ファイル、ユーザー辞書、学習ファイルを含みます) が削除されてしまうので、充分に注意してください。

[日本語環境のみ] cs00 に関するアップグレード時の注意事項

Solaris 2.6 から、cs00 は「コアシステムサポート」ソフトウェアグループには含まれなくなりました。「コアシステムサポート」でインストールされた Solaris 2.5.1 システムをアップグレードすると、システム上から cs00 をサポートするシステムファイルが削除されてしまうため、注意が必要です。

「コアシステムサポート」で cs00 を利用する場合は、「エンドユーザーシステムサポート」以上のソフトウェアグループを選択するか、インストール後に pkgadd コマンドにより次のパッケージをインストールしてください。

なお、かな漢字入力機能を持たない漢字表示可能な端末や端末エミュレータ上で日本語を入力するためのフロントエンドプロセッサ mle を利用する際にも、cs00 が必要になります。

Solaris Easy Access Server (SEAS)

Solaris 8 オペレーティング環境では、SEAS のアプリケーションの動作は保証されていません。Solaris 8 オペレーティング環境で SEAS のアプリケーションが正しく動作するようにするためには、Solaris 8 Admin Pack をインストールする必要があります。

SEAS に含まれていた次のアプリケーションは、Solaris 8 オペレーティング環境に含まれるようになりました。

次の SEAS アプリケーションは、Solaris 8 オペレーティング環境で正しく動作することが保証されていません。

Priority Paging 機能と Solaris 8 キャッシュアーキテクチャ

Solaris 8 オペレーティング環境には、Solaris 7 の Priority Paging 機能を包含する、新しいファイルシステムキャッシュアーキテクチャが導入されています。Solaris 8 オペレーティング環境では、システム変数 priority_paging を設定しないでください。Solaris 8 オペレーティング環境にアップグレードする時に、システム変数 priority_paging/etc/system から削除する必要があります。

新しいキャッシュアーキテクチャでは、ファイルシステムの動作で発生する仮想メモリーシステムへの負荷の大部分が削減されます。これによって、メモリーページング統計のダイナミクスが変わり、システムメモリーの監視機能がより簡素化されます。ただし、従来とは大幅に異なる統計値が出される場合もあることを、メモリー動作を解析する時またはパフォーマンス監視のしきい値を設定する時には留意する必要があります。主な相違点は次のとおりです。

アップグレードを行うと、システムのデフォルトロケールが正しく設定されない (バグ ID: 4233535)

Solaris 8 へのアップグレードを行うと、アップグレード時に設定したデフォルトロケールがシステムのデフォルトロケールに正しく設定されない場合があります。

CD を使用した対話式アップグレードの場合、Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD の インストールの終了後、自動ブートしたシステムが英語環境で起動し、SOFTWARE 2 of 2 CD および LANGUAGES CD のインストール画面が英語で表示されることがあります。

回避方法:アップグレード終了後、システムのデフォルトロケールを /etc/default/init ファイルの LANG 環境変数に設定してください。

[日本語環境のみ] アップグレード後のログファイル中に警告メッセージ no longer a symbolic link が出力されることがある (バグ ID: 4279768)

Solaris 8 へのアップグレードにおいて、Solaris 8 LANGUAGES CD の日本語ロケールのパッケージをインストールすると、ログファイル Solaris_8_Japanese_Localization_install.B* 中に次のような警告メッセージが出力される場合があります。

WARNING: /usr/dt/appconfig/appmanager/ja/Desktop_Controls <no longer a symbolic link>

回避方法 : 警告が出力されているファイルは正しくインストールされており問題はありませんので、警告メッセージは無視してください。

Solaris 2.5.1 で再配置した CDE が、Solaris 8 へのアップグレード後に残る (バグ ID: 4260819)

この問題は、Solaris 2.5.1 と Solaris 2.5.1 アンバンドル CDE オペレーティング環境を実行しているシステムのうち、アンバンドル CDE の場所を /usr/dt 以外のディレクトリにインストールしたシステムに影響します。これらのシステムでは、インストール先の CDE を指すシンボリックリンクが /usr/dt に作成されています。

Solaris 8 オペレーティング環境にアップグレードすると、CDE が /usr/dt に再インストールされ、アップグレード前にインストールしていた CDE へのシンボリックリンクは削除されます。アップグレード前にインストールしていた CDE 自体は、削除されないで残ります。

アップグレードで、ファイルシステムの再配置に関連する処理が行われる場合、アップグレードに失敗します。ファイルシステム再配置で、新しい CDE に必要な /usr/dt の容量が考慮されないためです。このアップグレードの失敗は、アップグレードの完了時までわかりません。アップグレードに失敗すると、容量が足りないことを示すメッセージがアップグレードログ中に出力されます。

回避方法 : インストールしたアンバンドル CDE をアンインストールしてから、Solaris 8 オペレーティング環境へのアップグレードを開始してください。 アンインストールは、Solaris 2.5.1 CDE の CD から install-cde スクリプトを使用して行うことができます。CDE を削除するためには、必ず -uninstall フラグを付けてこのスクリプトを実行する必要があります。

WBEM 1.0 がインストールされている Solaris 7 オペレーティング環境から Solaris 8 にアップグレードすると、WBEM 2.0 が動作しない (バグ ID: 4274920)

Solaris 7 オペレーティング環境を実行しているシステムに、Solaris Easy Access Server (SEAS) 3.0 CD-ROM から WBEM 1.0 をインストールしている場合は、Solaris 8 オペレーティング環境にアップグレードする前に WBEM 1.0 のパッケージを削除してください。WBEM 1.0 がインストールされたままアップグレードすると、Solaris WBEM Services 2.0 が起動しません。また、CIM Object Manager の起動にも失敗します。この場合、次のエラーメッセージが表示されます。


File not found: /opt/sadm/lib/wbem/cimom.jar

回避方法 : Solaris 8 オペレーティング環境にアップグレードする前に、WBEM 1.0 パッケージを手作業で削除してください。削除には、pkgrm コマンドを使用してください。

  1. pkginfo コマンドを実行して、WBEM 1.0 パッケージがインストールされているかどうかを確認します。


    % pkginfo | grep WBEM
    

  2. スーパーユーザーになります。

  3. コマンドを実行して、WBEM 1.0 のパッケージをすべて削除します。


    # pkgrm SUNWwbapi
    # pkgrm SUNWwbcor
    # pkgrm SUNWwbdev
    # pkgrm SUNWwbdoc
    # pkgrm SUNWwbm
    

    各ロケールのメッセージおよびヘルプに関するパッケージが入っているときは、それらのパッケージも削除します。以下は日本語版の例です。


    # pkgrm SUNWjewbi
    # pkgrm SUNWjewbs
    # pkgrm SUNWjwbd
    

アップグレードできるシステムが、ディスク容量不足のためにアップグレードできないとして間違って判断される (バグ ID: 4041733)

アップグレードプログラムは、Solaris ソフトウェアのシステムをアップグレードするために必要な容量よりも 30% 多くの容量を見積もります。このため、パッケージの選択を解除したり容量を増やしたりしないと、アップグレードできない場合があります。

回避方法 : ファイルシステムのディスク容量を手作業で割り当ててください。または、「ソフトウェアのカスタマイズ」メニューを選択し、不要なソフトウェアパッケージを削除してください

アップグレード時に SUNWeeudt のインストールが部分的に失敗する (バグ ID: 4304305)

SUNWeeudt パッケージのインストールが部分的に失敗したことを示す次のようなメッセージが、アップグレードログに出力されます。


     Doing pkgadd of SUNWeeudt to /.
     ERROR: attribute verification of 
     </a/usr/dt/appconfig/types/ru_RU.KOI8-R/datatypes.dt> 
     failed pathname does not exist ...
 
     Installation of <SUNWeeudt> partially failed.
     pkgadd return code = 2  

回避方法: アップグレード完了後に、次の手順を実行してください。

  1. 次のように入力して、SUNWeeudt パッケージを削除します。


    # pkgrm SUNWeeudt
    

  2. 次のように入力して、SUNWeeudt パッケージを追加します。


    # pkgadd SUNWeeudt