この章では、Solaris 8 のインストールに関する注意事項とバグ情報について説明します。本章の内容を理解してからインストールを開始してください。
Solaris 8 DOCUMENTATION CD (アジア言語版) に含まれているものおよび印刷マニュアルの『Solaris 8 ご使用にあたって (Intel 版)』の作成後に見つかった、以下のバグの情報が追記されています。また、既存のバグ情報・注意事項の一部についても、最新の内容に変更されています。
バグ ID: 1146863
バグ ID: 4313411
バグ ID: 4283839
バグ ID: 4302549
バグ ID: 4305420
バグ ID: 4306260
対話式インストールで Solaris 8 のインストールを開始する前に、知っておく必要がある情報について説明します。
IA (Intel Architechure) ベースのシステムを Solaris 8 オペレーティング環境にアップグレードする場合は、インストールを開始する前に、「DiskSuite でデータが失われる可能性がある (バグ ID: 4121281)」の説明を必ずお読みください。
Solaris 8 では、インストールするロケールを選択する機構が変更されました。Solaris 2.5.1、Solaris 2.6、Solaris 7 では、一部のロケールは、選択するソフトウェアグループ (ソフトウェアクラスタ) によって、インストールするロケールを決定していました。Solaris 8 では、新しいインストールインタフェースが導入され、地域を選択することによって必要なロケールを決定します。このため Solaris 8 では、Solaris 2.5.1、Solaris 2.6、Solaris 7 よりも柔軟にオペレーティングシステムのインストール時にシステム構成をカスタマイズすることができます。
初期インストールの場合、インストールするロケールは「地域の選択」画面で選択してください。ただし、C ロケール (POSIX ロケール) と en_US.UTF-8 ロケール (Unicode をサポート) は、自動的にインストールされます。
従来のリリースからのアップグレードインストールの場合、「地域の選択」画面でいくつかのロケール (アップグレードするシステムによって使用できるロケールは異なる) が自動的に選択されています。これは、Solaris 2.5.1、Solaris 2.6、Solaris 7 では、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、スウェーデン語の一部のロケールがシステム上に暗黙のうちにインストールされていたためです。
Unicode ロケール (UTF-8) には、複数言語の入力を可能にする機能があります。Unicode ロケールは、その個々のロケールで提供されるアジア言語の入力方式を利用しているので、文字入力に必要なアジア言語のロケールをインストールしてください。たとえば、韓国語入力を可能にするには、ko.UTF-8 ロケールをインストールしてください。
以下に示すコントローラのいずれかを使用するディスク上に 8G バイトを超えるパーティションを作成すると、インストールされたシステムが正常に動作しません。
Solaris オペレーティング環境のインストールプログラムは、ドライバが 8G バイトを超えるパーティションをサポートしないことを検知できません。したがって、エラーを表示せずにインストールを続けますが、システムをリブートしようとするとリブートは失敗します。
システムをリブートできたとしても、ブートデバイスや追加されたパッケージに関連する他の変更が原因となって、後で異常終了します。これらのドライバに関連するディスクコントローラは、次のとおりです。
Symbios 53C896 ベースのコントローラ (symhisl)
AMI MegaRAID コントローラ (mega)
Compaq 53C8xx ベースの SCSI コントローラ (cpqncr)
回避方法 : symhisl、mega、cpqncr などのドライバによって稼動するディスクコントローラを持つシステムに、ディスクの最初の 8G バイトを超える大きなパーティションをインストールしないでください。
Solaris 8 オペレーティング環境には、サイズの大きいパーティションをインストールするための新しい機能が追加されています。DPT PM2144UW コントローラの BIOS は、LBA (論理ブロックアドレス指定, Logical Block Addressing) をサポートしていなければなりません。最新の BIOS は、LBA アクセスを完全にサポートしています。問題が発生した場合は、ほかの DPT コントローラモデルにも影響します。
回避方法 : Solaris 8 オペレーティング環境にアップグレードする前に、 DPT PM2144UW コントローラの BIOS が最新のバージョンであることを確認してください。
システムに DPT コントローラがインストールされているかどうかは、次の手順で確認できます。
次のコマンドを実行します。
prtconf -D
名前 dpt が表示されたら、カードの構成ユーティリティを起動して、機種や BIOS のバージョンに関する情報を取得します。
BIOS をフラッシュするか、最新の BIOS EPROM をインストールして、DPT PM2144UW コントローラをアップグレードします。すべての DPT コントローラの最新の BIOS イメージについては、http://www.dpt.com を参照してください。
これで、システムを Solaris 8 オペレーティング環境にアップグレードできます。
Solaris 8 オペレーティング環境には、サイズが大きいパーティションをインストールできる新しい機能が含まれています。システム BIOS は Logical Block Addressing (LBA) をサポートしている必要がありますが、BIOS バージョン GG.06.13 は LBA アクセスをサポートしていません。このような衝突を Solaris ブートプログラムは処理できません。この問題は他の HP Vectra システムにも影響します。
このシステムをアップグレードすると、HP システムはブートしなくなります。暗い画面上に点滅する下線が表示されるだけです。
回避方法 : HP Vectra XU シリーズシステムを最新の BIOS バージョン GG.06.13 で、Solaris 8 オペレーティング環境にアップグレードしないでください。Solaris 8 オペレーティング環境では、これらのシステムはサポートされていません。
ブートパスはハードディスクコードを使用しないため、ブートフロッピーディスクまたはブート CD でシステムをブートすることができます。、ブート可能デバイスとしてネットワークまたは CD-ROM ドライブの代わりに、ハードディスクを選択してください。
デフォルトでは、Solaris ata デバイスドライバは、ATA/ATAPI デバイスに対して DMA (Direct Memory Access) 機能を無効にします。Solaris 8 オペレーティング環境は、DMA 機能が無効になっている状態で正しく動作します。
パフォーマンスを向上させるために DMA 機能を有効にするには:
「PCI-IDE システム上で DMA が無効になる」の手順 1 の代わりに、次の手順を実行してください。
Device Configuration Assistant フロッピーディスクまたは INSTALLATION (Multilingual) CD を使用して、Intel 版 Solaris の Device Configuration Assistant を実行します。
Device Configuration Assistant フロッピーディスクでブートする時に、新しい ata-dma-enabled 属性の値がフロッピーディスク上に保存されます。したがって、属性値を変更した場合、Device Configuration Assistant フロッピーディスクを再度使用した時に変更後の値が適用されます。
次に、「PCI-IDE システム上で DMA が無効になる」の手順 5d の代わりに、次の手順を実行してください。
どのデバイス (ネットワークアダプタまたは CD-ROM ドライブ) からインストールを実行するかを選択し、F2 キーを押します。
DiskSuiteTM metadb 複製には、DiskSuite 構成データの一部にドライバ名が含まれています。Solaris オペレーティング環境 2.5.1 または 2.6 を実行する IA ベースのシステムでは、SCSI ドライバ名は cmdk です。cmdk ドライバは、Solaris 8 オペレーティング環境では sd ドライバに置換されています。
回避方法 : Solaris 8 オペレーティング環境へのアップグレード中にデータを損失しないようにするには、DiskSuite が動作している IA システムのアップグレードを開始する前に、メタデバイス構成をテキストファイルに保存し、metadb 複製を削除してください。IA システムのアップグレード後に、DiskSuite のコマンド行インタフェースを使用してメタデバイス構成を復元してください。
『Solstice DiskSuite 4.2 ご使用にあたって』には、metadb 構成の保存、metadb 複製の削除、IA システムの Solaris 8 オペレーティング環境へのアップグレード、DiskSuite のバージョン 4.2 へのアップグレード、メタデバイス構成の復元について、それぞれの手順が記載されています。Solairs 8 オペレーティング環境には、これらの手順を自動化する Bourne シェルスクリプトが含まれています。
対話式インストールで Solaris 8 のインストールを実行中に発生するバグの情報について説明します。
Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD から対話式インストールを行い、日本語環境をインストールする場合、「媒体の指定」画面で Solaris 8 Localizations CD の挿入を求めるメッセージが表示されます。しかし、Solaris 8 には Localization CD という名前の CD は存在しません。
回避方法:Solaris 8 Localizations は、Solaris 8 LANGUAGES を意味していますので、Solaris 8 LANGUAGES CD を挿入してください。
ネットワークを介するブートは、IA システムの一次ネットワークインタフェース上で実行する必要があります。
一次ネットワークインタフェースは、ネットワークインタフェースの選択とインストールを繰り返すことによって特定できますが、「Boot Solaris」メニューの最初または最後にリストされているネットワークデバイスが一次ネットワークインタフェースであることが多いです。
一次ネットワークインタフェースを特定できたら、ハードウェア構成を変更しない限り、システムをブートする度に一次ネットワークインタフェースは変わりません。ハードウェア構成を変更した場合、変更したハードウェア構成によって、一次ネットワークインタフェースが変更される場合と変更されない場合があります。
一次ネットワークインタフェース以外のネットワークインタフェースからブートした場合、ブートシステムがハングし、ブートサーバーに接続できなくなります。この問題は、システムがブートサーバーのクライアントとして登録されていない場合にも発生します。
Solaris ソフトウェアのインストール中であるにもかかわらず、「Solaris ソフトウェアのインストール - 実行中」のスケールがインストールの完了を示す場合があります。
スケールがインストールの完了を示した後も、インストールプログラムによってパッケージが追加されている可能性があるので、インストールが完了したかどうかをスケールの表示で判断しないでください。すべてのインストール処理が完了すると、プロンプト # が表示されます。
インストール中、ファイルシステムの作成時に、次のどちらかの警告メッセージが出力されることがあります。
Warning: inode blocks/cyl group (87) >= data blocks (63) in last cylinder group. This implies 1008 sector(s) cannot be allocated. |
Warning: 1 sector(s) in last cylinder unallocated |
回避方法 : 警告メッセージは無視してください。警告メッセージが表示されても問題は発生しません。
Java プログラムのパスに # が含まれていると、プログラムを実行した時に次のようなメッセージが表示されます。
Exception in thread "main" java.lang.NoClassDefFoundErrorVolume Management (vold) sometimes uses a pound sign in a pathwhen creating directory names: |
回避方法 : # を削除してください。または Java インストールウィザードを使用しないでください。
Zip ドライブが接続されていて、ドライブ中にディスクが挿入されていない場合、Solaris Web Start から演算例外が発生し、次のようなメッセージが表示されます。
Starting the Web Start 3.0 Solaris installer ./W00.findswap[1823]: 173 Arithmetic Exception Could not get disk information. Exiting |
回避方法: システムをブートする前に Zip ドライブの接続を外すか、またはドライブに Zip ディスクを挿入してください。
ヘッドレスシステムに日本語端末から tip(1) 接続によるインストールを行う場合、言語の選択画面で「Japanese」を選択すると端末タイプの選択画面は日本語で表示されますが、それ以降のすべてのインストール画面は英語で表示されます。
また、sysidcfg ファイルで system_locale に日本語ロケールを設定した場合、すべてのインストール画面は英語で表示されます。
回避方法 : インストール画面が英語で表示されるだけで、インストール後のシステムのデフォルトロケールは、インストール時に選択したロケールに設定されます。なお、シリアル端末のシステムにインストールする場合は、言語の選択画面で「English」を選択してください。
カスタム JumpStart インストールは、Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD をインストールした後、Solaris 8 SOFTWARE 2 of 2 CD および Solaris 8 LANGUAGES CD をインストールしません。
回避方法 : 「コアシステムサポート」ソフトウェアグループまたは「エンドユーザーシステムサポート」ソフトウェアグループを Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD に含まれる基本ロケール (部分ロケールともいい、ユーザーインタフェースの翻訳を含まない) 環境のみで利用する場合は、SOFTWARE 2 of 2 CD および LANGUAGES CD をインストールする必要はありません。
「開発者システムサポート」、「全体ディストリビューション」、「全体ディストリビューションと OEM サポート」のいずれかのソフトウェアグループをインストールする場合は、Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD、SOFTWARE 2 of 2 CD、LANGUAGES CD を含むインストールサーバーを使用して、ネットワーク上でカスタム JumpStart インストールを行なってください。詳細は、『Solaris 8 インストールガイド (上級編)』の 「JumpStart ディレクトリをサーバー上に作成する方法」を参照してください。
なお、プロファイルフロッピーディスクを使用したカスタム JumpStart インストールを行う場合は、次の手順に従って Solaris 8 SOFTWARE 2 of 2 CD、LANGUAGES CD をインストールしてください。
カスタム JumpStart による Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD のインストールが終了したら、システムをリブートします。
システムにログインします。
Solaris 8 SOFTWARE 2 of 2 CD を CD-ROM ドライブに挿入します。
installer コマンドを実行します。インストール画面に従ってソフトウェアをインストールします。
Solaris 8 LANGUAGES CD を CD-ROM ドライブに挿入します。
installer コマンドを実行します。インストール画面に従ってソフトウェアをインストールします。
Solaris Web Start 3.0 を使用する場合のインストールに関する問題について説明します。この節に記載されている問題は、Solaris 対話式インストールプログラムを使用するときには発生しません。
Solaris Web Start 3.0 が、システム上の Solaris fdisk パーティションを認識できない場合は、ルートディスク上に Solaris fdisk パーティションを作成する必要があります。
既存の fdisk パーティションのサイズを変更すると、そのパーティション上のすべてのデータが自動的に削除されます。データのバックアップをとってから、Solaris fdisk パーティションを作成してください。
Solaris Web Start でインストールを行うには、2 つの fdisk パーティションが必要です。
Solaris fdisk パーティション
通常の Solaris fdisk パーティションです。
x86 ブート fdisk パーティション
10 M バイトの fdisk パーティションです。これによって Intel アーキテクチャは、Solaris fdisk パーティション上に新しく作成されるスワップスライス上に置かれるミニルートを、ブートできるようになります。
Solaris Web Start 3.0 は、以前の Solaris リリースのシステムには作成されていない x86 ブートパーティションを作成します。この x86 ブートパーティションは、既存の fdisk パーティションのうちの 10 M バイトを利用して自動的に作成されるので、既存の fdisk パーティションは変更しないでください。
また、x86 ブートパーティションを手動で作成することは許されていないので、Solaris 2.5.1、Solaris 2.6、Solaris 7 オーペレーティング環境は x86 ブートパーティションを持つことができません。そのため、これらのオペレーティング環境のシステムを、Solaris 8 INSTALLATION (Multilingual) CD を使用して Solaris 8 にアップグレードしようとしても、Solaris Web Start 3.0 によってアップグレード可能なシステムとして認識されないため、アップグレードすることができません。詳細は、「アップグレードに関する注意事項とバグ情報」を参照してください。
英語の AnswerBook ドキュメントは、Solaris 8 DOCUMENTATION CD (英語 + ヨーロッパ言語版) に含まれており、アジア言語版の DOCUMENTATION CD には含まれていません。
英語の AnswerBook ドキュメントは、Solaris Web Start 3.0 のデフォルトインストールでインストールされます。カスタムインストールの場合は、「製品の選択」画面で「Solaris 8 Documentation European」の「European Collections for Solaris 8」が選択されている場合にインストールされます。
また、「Solaris 8 Documentation European」と「Solaris 8 Documentation Asian」の両方に「AnswerBook2 Documentation Server」が含まれていますが、どちらも同じものです。両方を選択してもインストールには問題ありませんが、どちらか一方が選択されていれば十分です。
Solaris Web Start 3.0 は、選択したソフトウェアグループ、ロケール、製品に応じて必要な CD を挿入するように要求し、インストールを行います。
Solaris 8 SOFTWARE 2 of 2 CD には、「開発者システムサポート」以上のソフトウェアグループとアーリーアクセス・ソフトウェア (Appcert 2.1、Live Upgrade 1.0、DiskSuite 4.2.1、Solaris Management Console 2.0) が含まれています。
「開発者システムサポート」以上のソフトウェアグループおよび アーリーアクセス・ソフトウェアを選択した場合、Solaris Web Start 3.0 は、SOFTWARE 1 of 2 CD のインストールが完了すると SOFTWARE 2 of 2 CD を挿入するように要求します。その後、LANGUAGES CD や DOCUMENTATION CD をインストールした後に再度 SOFTWARE 2 of 2 CD を挿入するように要求します。これは、アーリーアクセス・ソフトウェアをインストールするためで、Solaris ソフトウェアをインストールするためではありません。メッセージに従って SOFTWARE 2 of 2 CD を挿入し、アーリーアクセス・ソフトウェアのインストールを行なってください。
Solaris Web Start 3.0 のインストールにおいて「製品の選択」画面で、Solaris 8 SOFTWARE 2 of 2 CD に含まれている Live Upgrade を選択した場合、Live Upgrade のインストール画面の一部が英語で表示されます。
また、Live Upgrade を Solaris Web Start 2.1.0 を使用してインストールする場合 (Solaris_8/EA/installer または Solaris_8/EA/products/Live_Upgrade_1.0/installer を起動) も、インストール画面の一部が英語で表示されます。
旧リリースの Solaris がインストールされているシステムを、Solaris 8 にアップグレードする場合の注意事項とバグについて説明します。
Solaris 8 をアップグレードオプションによってインストールする場合、Solaris 2.5.1 以降のシステムからのアップグレードをサポートします。それより前のリリースからのアップグレードは保証されません。
x86 ブートパーティションに関する制限事項のために、Solaris 8 INSTALLATION (Multilingual) CD の Solaris Web Start 3.0 を使用して、IA ベースのシステムを Solaris 8 へアップグレードすることはできません。IA ベースのシステムでは、対話式インストールを使用して Solaris 8 へのアップグレードを行なってください。
「ロケール選択機構の変更」で説明したように、Solaris 8 では、インストールするロケールを選択する機構が変更されました。このため、対話式インストールを使用してシステムを Solaris 8 へアップグレードすると、既存システムのインストール時に明示的にインストールしなかったロケールが「地域の選択」画面で自動的に選択されます。これは、既存システムのインストール時に明示的に指定していないロケールのソフトウェアが、暗黙のうちにインストールされていたためです。
既存システムのインストール時にインストールするロケールとして明示的に指定しなかったロケールが含まれている地域を、「地域の選択」画面で選択解除することができます。余分なロケールをそのまま選択解除せずにアップグレードを行なっても問題はありません。アップグレードしたシステムには、アップグレード前と同じレベルのロケール環境がサポートされます。ただし、既存のシステムに明示的にインストールしたロケールは、「地域の選択」画面で削除することはできません。
Solaris 2.5.1 に同梱されていた「日本語 Solaris 2.5.1 PC 漢字コード開発キット」がインストールされているシステムをアップグレードする場合、それをサポートするパッケージ (SUNWjpr、SUNWjpu、SUNWjpxw、SUNWjpdt) は自動的に削除されます。ja_JP.PCK ロケール環境をインストールするには、「言語の選択」画面で「Japanese PC Kanji (ja_JP.PCK)」を追加選択してください。
Solaris 2.6 から、cs00 は「コアシステムサポート」ソフトウェアグループには含まれなくなりました。「コアシステムサポート」でインストールされた Solaris 2.5.1 システムをアップグレードすると、システム上から cs00 をサポートするシステムファイルが削除されてしまうため、注意が必要です。
「コアシステムサポート」で cs00 を利用する場合は、「エンドユーザーシステムサポート」以上のソフトウェアグループを選択するか、インストール後に pkgadd コマンドにより次のパッケージをインストールしてください。
SUNWjc0r : Japanese Kana-Kanji Conversion Server cs00 Root File
SUNWjc0u : Japanese Kana-Kanji Conversion Server cs00 User Files
なお、かな漢字入力機能を持たない漢字表示可能な端末や端末エミュレータ上で日本語を入力するためのフロントエンドプロセッサ mle を利用する際にも、cs00 が必要になります。
Solaris 8 オペレーティング環境では、SEAS のアプリケーションの動作は保証されていません。Solaris 8 オペレーティング環境で SEAS のアプリケーションが正しく動作するようにするためには、Solaris 8 Admin Pack をインストールする必要があります。
SEAS に含まれていた次のアプリケーションは、Solaris 8 オペレーティング環境に含まれるようになりました。
Solaris WBEM (Web-Based Enterprise Management) Services
Solaris Print Manager
NetscapeTM Communicator
Java Development Kit (JDKTM)
Solstice DiskSuite
次の SEAS アプリケーションは、Solaris 8 オペレーティング環境で正しく動作することが保証されていません。
Solstice Internet Mail Server
Sun Directory Services
Sun WebServer
Solaris PC NetLink
SunScreenTM SKIP
Solstice NFS ClientTM
Java IDL
Solstice AutoClientTM
Solaris Data Backup Utility
Solaris 8 オペレーティング環境には、Solaris 7 の Priority Paging 機能を包含する、新しいファイルシステムキャッシュアーキテクチャが導入されています。Solaris 8 オペレーティング環境では、システム変数 priority_paging を設定しないでください。Solaris 8 オペレーティング環境にアップグレードする時に、システム変数 priority_paging を /etc/system から削除する必要があります。
新しいキャッシュアーキテクチャでは、ファイルシステムの動作で発生する仮想メモリーシステムへの負荷の大部分が削減されます。これによって、メモリーページング統計のダイナミクスが変わり、システムメモリーの監視機能がより簡素化されます。ただし、従来とは大幅に異なる統計値が出される場合もあることを、メモリー動作を解析する時またはパフォーマンス監視のしきい値を設定する時には留意する必要があります。主な相違点は次のとおりです。
ページ要求の量が多くなります。負荷が大きいファイルシステム動作中には、通常の処理とみなす必要があります。
空きメモリーの量が多くなります。これは、ファイルシステムキャッシュの大規模コンポーネントも空きメモリー量として計算されるようになったためです。
システム全体で利用可能なメモリーが不足しない限り、走査率はほぼゼロになります。通常のファイルシステム入出力中に空きリストを置き換えることを目的として、走査を行うことはなくなりました。
Solaris 8 へのアップグレードを行うと、アップグレード時に設定したデフォルトロケールがシステムのデフォルトロケールに正しく設定されない場合があります。
CD を使用した対話式アップグレードの場合、Solaris 8 SOFTWARE 1 of 2 CD の インストールの終了後、自動ブートしたシステムが英語環境で起動し、SOFTWARE 2 of 2 CD および LANGUAGES CD のインストール画面が英語で表示されることがあります。
回避方法:アップグレード終了後、システムのデフォルトロケールを /etc/default/init ファイルの LANG 環境変数に設定してください。
Solaris 8 へのアップグレードにおいて、Solaris 8 LANGUAGES CD の日本語ロケールのパッケージをインストールすると、ログファイル Solaris_8_Japanese_Localization_install.B* 中に次のような警告メッセージが出力される場合があります。
WARNING: /usr/dt/appconfig/appmanager/ja/Desktop_Controls <no longer a symbolic link>
回避方法 : 警告が出力されているファイルは正しくインストールされており問題はありませんので、警告メッセージは無視してください。
Solaris 7 オペレーティング環境を実行しているシステムに、Solaris Easy Access Server (SEAS) 3.0 CD-ROM から WBEM 1.0 をインストールしている場合は、Solaris 8 オペレーティング環境にアップグレードする前に WBEM 1.0 のパッケージを削除してください。WBEM 1.0 がインストールされたままアップグレードすると、Solaris WBEM Services 2.0 が起動しません。また、CIM Object Manager の起動にも失敗します。この場合、次のエラーメッセージが表示されます。
File not found: /opt/sadm/lib/wbem/cimom.jar |
回避方法 : Solaris 8 オペレーティング環境にアップグレードする前に、WBEM 1.0 パッケージを手作業で削除してください。削除には、pkgrm コマンドを使用してください。
pkginfo コマンドを実行して、WBEM 1.0 パッケージがインストールされているかどうかを確認します。
% pkginfo | grep WBEM |
スーパーユーザーになります。
コマンドを実行して、WBEM 1.0 のパッケージをすべて削除します。
# pkgrm SUNWwbapi # pkgrm SUNWwbcor # pkgrm SUNWwbdev # pkgrm SUNWwbdoc # pkgrm SUNWwbm |
各ロケールのメッセージおよびヘルプに関するパッケージが入っているときは、それらのパッケージも削除します。以下は日本語版の例です。
# pkgrm SUNWjewbi # pkgrm SUNWjewbs # pkgrm SUNWjwbd |
アップグレードプログラムは、Solaris ソフトウェアのシステムをアップグレードするために必要な容量よりも 30% 多くの容量を見積もります。このため、パッケージの選択を解除したり容量を増やしたりしないと、アップグレードできない場合があります。
回避方法 : ファイルシステムのディスク容量を手作業で割り当ててください。または、「ソフトウェアのカスタマイズ」メニューを選択し、不要なソフトウェアパッケージを削除してください
SUNWeeudt パッケージのインストールが部分的に失敗したことを示す次のようなメッセージが、アップグレードログに出力されます。
Doing pkgadd of SUNWeeudt to /. ERROR: attribute verification of </a/usr/dt/appconfig/types/ru_RU.KOI8-R/datatypes.dt> failed pathname does not exist ... Installation of <SUNWeeudt> partially failed. pkgadd return code = 2 |
回避方法: アップグレード完了後に、次の手順を実行してください。
次のように入力して、SUNWeeudt パッケージを削除します。
# pkgrm SUNWeeudt |
次のように入力して、SUNWeeudt パッケージを追加します。
# pkgadd SUNWeeudt |
Solaris 8 のインストール全般に関する注意事項とバグ情報を説明します。
同梱されている CD を、その CD に含まれている Solaris Web Start 2.x (installer) を使用して日本語ロケール (日本語表示) でインストールしているときに、スワップ容量の不足のためインストールが失敗することがあります。この場合、コンソールにエラーメッセージが表示されますが、エラーメッセージは次のように文字化けしています。
RunCmd Error:java.io.IOException: ???????????????????? |
回避方法 : 同梱されている CD に含まれている Solaris Web Start 2.x は、実行時におよそ 50M バイトのメモリーを消費します。Solaris Web Start 2.x を使用してインストールする場合は、swap -s コマンドなどで空きスワップ容量を確認し、不足している場合は、メモリーの消費量が多いアプリケーションを終了するか、スワップファイルを作成してスワップ領域を追加してください。詳細は、swap(1M) のマニュアルページを参照してください。
選択したデフォルトロケールに関係なく、install_log、upgrade_log などの Solaris のインストールログファイルは、EUC (ja ロケール) テキストとして生成されます。
回避方法 : コードコンバータで変換して参照するか、テキストエディタなどの GUI ツールを ja ロケールで起動して参照してください。
Solaris 8 では、日本語入力システムとして、ATOK12、Wnn6、ATOK8、cs00 を利用できます。これらは LANGUAGES CD (cs00 の一部は SOFTWARE CD) に含まれており、「エンドユーザーシステムサポート」以上のソフトウェアグループでデフォルトでインストールされます。
ただし、複数言語入力環境で利用できる日本語入力システムは、ATOK12 または cs00 です。Wnn6 および ATOK8 は、複数言語入力環境では利用できません。
デフォルトのキーボードは US-English タイプになっているため、構成用補助ブートフロッピーディスクの「Identified Devices」画面で以下のように表示されます。
ISA: System keyboard (US-English) |
To select the Windows 104-key keyboard format, choose Continue. To select the default 101-key keyboard format, choose Cancel. |
設定後は、「Identified Device」画面で次のように表示されます。
ISA: System keyboard (Japanese(106)) |
日本語 109 キーボードに追加された Windows キーは、Solaris では使用できません。日本語 109 キーボードでは、日本語 106 キーボードと同じ機能を利用できます。
日本語 106/109 キーボードを使用しているシステムの場合、Device Configuration Assistant で「Japanese (106)」を選択しないでインストールを行うと、Solaris のブート時に、周辺デバイスの設定不備の可能性を示す次のメッセージが表示されます。
The peripheral device configuration may be incomplete or incorrect... |
Solaris をインストールする前に日本語 106 キーボードを利用すると、一部キーボード上の印字と実際の入力が異なります。次の表を参照してください。
表 3-1 日本語キーボード上の印字と実際の入力文字OADG 規格の日本語キーボード上の印字 | 実際の入力文字 |
---|---|
" | @ |
& | ^ |
' | & |
( | * |
) | ( |
Shift-0 | ) |
= | _ |
‾ | + |
^ | = |
¥ | 割り当てなし |
| | 割り当てなし |
@ | [ |
` | { |
[ | ] |
{ | } |
+ | : |
: | ' |
* | " |
] | ¥ |
} | | |
_ | 割り当てなし |
¥ | 割り当てなし |
半角 / 全角 | ‾ |
Shift-半角 / 全角 | ' |
英語および日本語以外のロケールをインストールする場合に発生するバグについて説明します。
フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、スウェーデン語のロケールでは、一部のダイアログのユーザーインタフェースや、オンラインヘルプ中のダイアログボックスが、英語で表示されます。また、インストール中に表示できるヘルプが、上記の各言語に翻訳されていません。
「コアシステムサポート」ソフトウェアグループをインストールすると、ヨーロッパ言語ロケールにおけるウィンドウ処理、インストール、64 ビットサポート、フォントに関連するソフトウェアもインストールされてしまいます。ただし、これらのソフトウェアに必要な容量はわずかなので、このバグによる実質的な問題はありません。
Solaris 対話式インストールのダイアログにおいて、タイトルはスウェーデン語で表示されますが、以下に示す部分以降がスウェーデン語に翻訳されていないため、英語で表示されます。
You'll be using the initial option ..... |
フランス語およびイタリア語のロケールで、本来は CD のタイトルが表示されるべき箇所に {0} と表示されることがあります。
上記のロケールを使用して Solaris 8 オペレーティング環境をインストールすると、一部のインストール画面が英語で表示されます。また、これらの言語に翻訳されたパッケージが一部インストールされません。次のような警告メッセージが表示されます。
XView warning: "de" kann nicht als Sprachumgebungs-Kategorie Ausgabesprache (gesetzt 端ber Umgebungsvariable(n)) verwendet werden, wenn Standardspracheauf"de_AT.ISO8859-15" gesetzt ist (Server Package) XView warning: Requested input method style not supported. (Server package) |
回避方法: ドイツ語またはフランス語の ISO8859-1 ロケールを使用して、Solaris オペレーティング環境をインストールしてください。
Web Start Kiosk のプロキシを設定するダイアログに「OK」ボタンと「Cancel」ボタンがありますが、ドイツ語の Web Start Kiosk ではこれらのボタンが「Undefined」と表示されます。左側のボタンが「OK」で、右側のボタンが「Cancel」ボタンです。