isdntest は、Dual Basic Rate ISDN (DBRI) チップ の ISDN 部分の機能を検査します。
isdntest は複数のサブテストから構成される集合体です。ISDN 内には D、B1、B2 の 3 つの主チャネルが存在します。各チャネルは独立したスレッドとして動作します。表 29-2 の各サブテストの説明では特に記述のないかぎり、以下のように設定します。
表 29-1 isdntest チャネルの設定
チャネル |
データモード |
パケットサイズ |
パケット数 |
---|---|---|---|
D |
Basic Rate HDLC |
256 バイト |
10 パケット |
B1 |
56-kbps HDLC |
1024 バイト |
10 パケット |
B2 |
64-kbps HDLC |
1024 バイト |
10 パケット |
表 29-2 isdntest のサブテスト
サブテスト |
説明 |
---|---|
ローカルループバック (Local Loopback) テスト |
まず網終端 (NT: Network Termination) インタフェースと端末装置 (TE: Terminal Equipment) インタフェースの初期起動状態を調べてそれらのインタフェースが停止していることを確認し、次いで DBRI の「強制起動 (force activation)」機能を用いて各インタフェースを起動します。各インタフェースはローカルループバックモードに設定されます。各インタフェースにはホストメモリーの常駐データが書き込まれ、このデータを各インタフェース内でループバックします。その後、ホストメモリーはこのデータを読み戻して照合します。各チャネルごとに D、B1、B2 をテストします (ただしローカルループバックモードのテストができない TE D チャネルは除きます)。ローカルループバックテストは DBRI チップの内部で動作するため、NT から TE に接続する外部ループバックコネクタは必要ありません。 |
起動/停止 (Activation/ Deactivation) テスト |
起動/停止テストでは、まず NT に対して起動/停止シーケンスを実行し、次いで TE に対して起動シーケンスを実行します。T101 タイマーと T103 タイマーは 5 秒に設定されます。このサブテストの実行には NT とTE を接続する外部ループバックコネクタが必要です。 |
遠隔ループバック (Remote Loopback) テスト |
次に、遠隔ループバック機能をテストします。まず TE インタフェースを遠隔ループバックモードに設定して、NT がデータを TE の D、B1、B2 の 3 つのチャネルすべてに送信します。TE はすべてのデータを NT にループパックし、そのコピーを読み取り、データを照合します。以上の作業を終了すると、今度は同じ行程を TE が NT にデータを送信する方向で繰り返します。このサブテストの実行には NT と TE を接続する外部ループバックコネクタが必要です。 |
読み取り/書き込み (Read/Write) テスト |
次に、読み取り/書き込みテストを 6 つの ISDN チャネル TE D、TE B1、TE B2、NT D、NT B1、NT B2 のすべてに実行します。TE インタフェースの各チャネルを NT インタフェースの対応するチャネルに、外部ループバックコネクタで接続します。ここでは各パスごとに固有のデータパターンを使用します。読み取んだパケットは書き込んだパケットと比較照合されます。以上の一連の行程を、B1 チャネルの場合は 64 Kbps HDLC データモード、B2 チャネルの場合は 56 Kbps HDLC データモードに設定して、全チャネルに繰り返し適用します。このサブテストの実行には NT と TE を接続する外部ループバックコネクタが必要です。 |
パケットサイズ (Packet Size) テスト |
次に、パケットサイズをテストします。上記のサブテストと同様の読み取り/書き込みテストを、パケット数を 100 に設定して実行します。このテストで送受信する各パケットのサイズはランダムに計算され、パケットごとに異なる値になります。このサブテストの実行には NT と TE を接続する外部ループバックコネクタが必要です。 |
データパス (Data Path) テスト |
最後にデータパスをテストします。ISDN_SET_CHANNEL ioctl を使用して、DBRI 内の一連のショートパイプインターコネクトを通るように、データを送信します。このサブテストの実行には NT と TE を接続する外部ループバックコネクタが必要です。 |
ダイアログボックスを表示するには、システムマップにあるテスト名を右クリックし、Test Parameter Options を選択します。システムマップにこのテスト名が表示されない場合は、グループツリーを展開すると表示される場合があります。展開しても表示されない場合は、このテストに合ったデバイスがシステムに含まれていない可能性があります。詳細は、『SunVTS 4.1 ユーザーマニュアル』を参照してください。
オプション |
説明 |
---|---|
Packet Size |
B チャネルのパケットサイズを、バイト単位で指定します。デフォルトでは、B チャネルのサイズが 1024 バイト、D チャネルのサイズが 256 バイトに設定されています。B チャネルのパケットサイズは最大が 8186 バイト、最小が 1 バイトです。D チャネルのパケットサイズは通常は 256 バイトに固定されていますが、パケットサイズテストの時だけは 1 から 256 までのランダムな値に設定されます。 |
Packet Count |
すべてのチャネルに対して送受信するパケットの個数を設定します。パケット数のデフォルト値は 10 パケットで、最大で 100 パケットまで設定できます。 |
テストモード |
サポート |
説明 |
---|---|---|
接続テスト |
× |
サポートされていません。 |
機能テスト (オフライン) |
○ |
すべてのテストを実行できます。 |
機能テスト (オンライン) |
× |
サポートされていません。 |
/opt/SUNWvts/bin/isdntest 標準引数 -o size=パケットサイズ, count=パケット数
表 29-5 isdntest のコマンド行構文
引数 |
説明 |
---|---|
size=パケットサイズ |
B チャネルのデフォルトのサイズ = 1024 バイト D チャネルのデフォルトのサイズ = 256 バイト B チャネルの最大パケットサイズ = 8186 バイト B チャネルの最小パケットサイズ = 1 バイト D チャネルのパケットサイズ = 256 バイト (ただしパケットサイズテストの間は 1 〜 256 の任意の値に設定される) |
count=パケット数 |
すべてのチャネルに対する送受信パケット数を指定します。 デフォルトのパケット数 = 10 パケット 最大パケット数 = 100 パケット |
64 ビットのテストは、sparcv9 サブディレクトリに格納されています (/opt/SUNWvts/bin/sparcv9/テスト名)。このディレクトリにテストが存在しない場合は、そのテストは 32 ビットのテストとしてだけ実行することができます。詳細は、「32 ビットテストと 64 ビットテスト」を参照してください。